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マイクロソフトのカンファレンスでビル・ゲイツ氏が特別基調講演--新フレームワーク“BizTalk”に言及

1999年03月12日 00時00分更新

文● 報道局 佐々木千之/桑本美鈴

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 マイクロソフトは、情報システム担当者向けのカンファレンス“Business Applications Conference 99”を10~11日に開催、11日夕方に米マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長兼CEOによる特別基調講演が行なわれた。ここではその特別基調講演の内容を紹介する。

 “Builing a Digital_Nervous_System”と題したこの講演は、同社が提唱する次世代システムコンセプト“Digital Nervous System(Windows DNS)”を中心とした内容のものだった。同氏は、「インターネットはすべてを変えるものであり、企業のすべての社員は知識労働者である。システムは顧客中心でなければならない。また企業にとって悪いニュースは重要だが、会議や書類を使った情報の共有では、悪いニュースになるほど伝わりが遅くなる」と説明。

(C)Dee ブリヂストンのビデオ上映時に音声が出ないというアクシデントが発生し、講演が一時中断、小声でスタッフに「スキップさせろ」と指示を出す場面も。その後「この会場のオーディオシステムがWindowsで動いているのでなくて(音が出ないのがWindowsのせいではなくて)よかった」とギャグをとばした
(C)Dee ブリヂストンのビデオ上映時に音声が出ないというアクシデントが発生し、講演が一時中断、小声でスタッフに「スキップさせろ」と指示を出す場面も。その後「この会場のオーディオシステムがWindowsで動いているのでなくて(音が出ないのがWindowsのせいではなくて)よかった」とギャグをとばした



「システム構築では会社としての記憶力を高め、システム担当者だけでなく経営陣も同じ情報を所有することが重要だ。また、すべての顧客情報や顧客からのフィードバックを簡単に取り出せなければならない。顧客のシステムとも連携し、トラブルが起きた場合は早急に対応できる体制を取ることが必要だ。Windows DNSベースのシステムを構築することで、どのような情報も即座に社員に伝わり、それらに迅速に対応できる。これにより業務の付加価値は向上し、さらに顧客中心のビジネス展開が可能になる」と語った。

 説明の途中では、(株)ブリヂストンや米P&G社のシステム構築事例を紹介。ビデオでは、Windows DNSにより、顧客との情報連携により競争力のある情報システムが構築できたこと、コストの大幅な削減が可能になったことなどが挙げられた。

 同氏は、ソフトウェア/ハードウェアの機能拡張、UNIXやWindowsなど異なったシステムの相互接続性や管理性能の向上が重要であり、これらの技術革新により、もっとシンプルで統一化されたシステムの実現が可能になると説明。さらにWindowsアプリケーションは“プレゼンテーション層”、“ビジネスロジック層”、“データ層”の3層構造によって構築するべきだと語った。「私も、まる1日かけてWindowsのエラーメッセージを解析してみたが、自分自身わからないものもあり、ユーザーのいっていることがよくわかった。システムはもっとシンプルにならなければならない」

 続いて、3月4日(現地時間)米国で発表した同社の電子商取引戦略の中核を成す“BizTalk”について説明。BizTalkは、XMLを基盤とし、異種プラットフォームの企業間での情報交換を容易にする次世代Windows DNAアーキテクチャーのフレームワーク。同氏は「BizTalkは、各企業のオンラインビジネスにおいて中枢となるもの。またその中でXMLが重要な役割を果たす。システムはすべての言語をサポートしなければならない。プログラムを書き直す必要がないというのことが普及のためには重要だ」と強調。

「われわれは、システムのプラットフォームおよびシステム構築を容易にするツールを提供する。しかし業務システム自体を構築するわけではなく、それらはパートナー企業と協力して展開していく。従来システムのメインフレームはUNIXであったが、現在Windowsに移植されており、われわれは今後もリッチなプラットフォームを提供し続ける」

(C)Dee アクシデント発生時はさすがにむっとした表情だったものの、後半は時折笑みを見せるなど、全般的には落ち着いており、比較的機嫌はよかったようだ (C)Dee アクシデント発生時はさすがにむっとした表情だったものの、後半は時折笑みを見せるなど、全般的には落ち着いており、比較的機嫌はよかったようだ



 そして同氏は「今後ソフトのイノベーションはさらに加速するだろう。われわれは旧製品との互換性を保持しながらさらに強力なプラットフォームを提供する。ハードの面でもインテルのチップの性能向上、ネットワークの高速化、高解像度画面、さらには無線ネットワークなどシステム構築のための構成要素は揃ってきた。われわれはまだ発展途上の段階にある。変革はいままさに始まったばかりだ。皆さんと協力しながら次世代システムを現実のものとしていきたい」と締めくくった。

 講演後に行なわれたQ&Aセッションでの「マイクロソフトはERP(統合業務パッケージ)市場に参入する予定はあるか」との質問に対して同氏は、「ERPをわれわれ自身では開発しない。OBCやSAP、バーン、ピープルソフトといった専門的な知識をもった企業と協力し、競合しないことによって最もよい結果を得られる」と回答。

 また、成毛真代表取締役社長の「今もしマイクロソフトの会長ではなく新しくソフト会社を設立するとしたらどんなアプリケーションを作るか」との問いには、「ウェブサイト作成ソフトはどうだろう。サイトの作成はもっと簡単になるべきだ。ウェブサイトの世界にはビジネスチャンスがあると思う。それから学習機能を持ったソフトも重要だ。AI分野には非常に興味がある。これはまだ開発されていないフロンティア市場だ。またOSの機能に音声認識や文字認識は組み込まれるべきだと思う」と語った。

(C)Dee Q&Aセッションの成毛氏の突然の問い掛けに「いい質問だね」 (C)Dee Q&Aセッションの成毛氏の突然の問い掛けに「いい質問だね」

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