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交換機にコマンドを送るだけで盗聴可能----超党派国会議員が集会

1999年02月17日 00時00分更新

文● 高木寛

 15日、参議院議員会館第1会議室で、“盗聴法問題を考える超党派国会議員と市民の集い”が開かれた。これは、現在開会中の国会に提出されている『組織犯罪対策法』(以下、「いわゆる“盗聴法”」と記す)に盛り込まれている電話盗聴(通信傍受)について、最新の国会情勢と盗聴の実態について学習する集まりである。超党派の国会議員が14人と市民が80人ほど集まった。

司会を務める福島瑞穂(右)、中村敦夫(左)の両議員
司会を務める福島瑞穂(右)、中村敦夫(左)の両議員



 会は福島瑞穂、中村敦夫の両議員の司会で進められた。この集会では、緒方靖夫氏、NTT社員、小倉利丸氏の順で講演した。本稿では、小倉氏、NTT社員、緒方氏の順で内容を紹介する。なお、3月には米国の人権団体から、盗聴問題の第一人者が来日する。

“最後の手段”のはずが“最初の手段”に

 富山大学の小倉利丸教授は、米国の盗聴事情について報告した。米国では日本のいわゆる“盗聴法”に比べ、プライバシーに対する配慮が周到であって、令状発布の要件として裁判所で盗聴以外の手段がないことの陳述を義務づけている。捜査中も、裁判所にその進捗を報告させるなど厳格なものとなっているという。また、議会に毎年、個々の盗聴について詳細な“ワイヤタップレポート”を提出することが義務となっている。このように、人権侵害を排除する仕組みが設けられている。

米国の“盗聴事情”を語る富山大学の小倉利丸教授
米国の“盗聴事情”を語る富山大学の小倉利丸教授



 しかし、それでも犯罪と関連がない盗聴があとを絶たず、また、本来ほかの捜査方法がない場合の“最後の手段”のはずが“最初の手段”になってしまっているという。さらに“ワイヤタップレポート”によれば、1件あたり6万ドルあまりの税金を使い、そのわりに盗聴による有罪者が少ない。このため米国の世論調査では7割以上の人が反対している。その中で'94年にデジタルテレフォニー法という通信機器の開発に捜査当局が関与し、盗聴を容易にするハードウェアの利用を通信事業者に義務づける法律が成立している。しかし、人権団体などからの批判を受け、いまだに実施はされていないということである。

 厳格な要件のもとでの盗聴を肯定する法律実務家もいないわけではない。現在国会に上程されているいわゆる“盗聴法”の正式名称は『組織犯罪対策法』であって、暴力団や先年のオウム事件のように組織的な犯罪に対応する趣旨とされている。しかし、令状発布の要件が緩やかであり、また、日弁連、刑事法学者などからいくつかの問題が指摘されている。すなわち、組織犯罪といいながら、通常の共犯つまり最低2人でも適用がある、犯罪が起きる以前の段階で盗聴できるため濫用の危険が高い----などである。

「ISDNでは交換機にコマンドを送るだけで盗聴可能」

 NTTの社員は、“盗聴はこうしてやる”と題して技術的に盗聴の方法について説明した。後述の緒方氏の事件のような盗聴は屋外での工事が必要なため、実際にはなかなか難しい。しかし、いわゆる“盗聴法”が成立すれば、局内で盗聴することができる。また、ISDNのようなデジタル回線では交換機にソフトでコマンドを送るだけで聞くことができるのだそうである。

 ここでも盗聴発見の方法に話が及んだ。無線方式の盗聴では、緒方氏の場合のように雑音が入る。この雑音は隣近所の電話にも及ぶことがある。また、同じ場所に2台の電話機を用意して一方から他方にかけ、受話器をとるタイミングを耳で確認すると微妙にずれるので分かるということだ。NTTに二十数年勤務したこの社員はこれまで、電話の公共性という考え方から憲法の“通信の秘密”を守り、盗聴しないことに誇りをもって仕事をしてきたという。しかし、法案が通るとそれに荷担しなければならないという職業倫理との葛藤を語った。

香典の金額まで漏れる

 共産党参議院議員の緒方靖夫氏は、盗聴(被盗聴)体験について語った。

自らの被害を語る緒方靖夫議員
自らの被害を語る緒方靖夫議員



 緒方氏は、共産党国際部長だった当時、約9ヵ月あまりの間、神奈川県警によって盗聴され、その事件に関しては国家賠償訴訟で勝訴している。この盗聴被害者の立場から「家族も含めて自分たちの会話が盗聴され、そのプライバシーが記録としていまだにどこかに残っていると思うと非常に嫌な気分だ。日常の電話会話の中には、その日の食事の内容から身内の不幸に際してお香典の金額まであって、家計の状況まで知られてしまうし、そのプライバシー被害を回復することができないのが特徴」と率直な気持ちを述べた。

 さらに盗聴被害の実態について、事件解明の過程で警察関係者などから入手した情報を元に、今、警察が何をしようとしているかを報告した。それによれば、盗聴の対象者は共産党のみならずすべての議員であり、また、その情報は日本の警察だけでなく米国にも渡っていたという。どのようにして盗聴に気付いたかというのは、会場の参加者の最も関心がある点だった。雑音が入ったのがきっかけで日本電信電話(株)(NTT)に調査してもらって判明したということだった。

3月には米国から第一人者が来日

 3月には、会員数27万人を擁する米国の人権団体であるACLU(American Civil Liberty Union)から、盗聴問題の第一人者であるバリー・スタインハード氏が来日する。22日にネットワーカーとの交流会、23日は市民集会、さらに国会議員との勉強会や弁護士会での懇談会などが開かれる。米国での状況、わが国の実態などについて話し合われる予定である。

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