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広島東京往復“こころのこだま”----インターネットを利用した遠隔授業

1999年02月12日 00時00分更新

文● 報道局 白神貴司

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 前日の雪から一夜明けた今日12日、東京・世田谷区立三宿(みしゅく)小学校1年1組の生徒たちは、インターネットを利用した遠隔授業による道徳の授業を体験した。

1年1組の生徒たち
1年1組の生徒たち



 この取り組みは、同小学校が、広島県立安佐動物公園の獣医室と教室とを、テレビ会議システムで結んで授業するというもの。接続には、日本電信電話(株)(NTT)のインターネットを利用したマルチメディアテレビ会議システム『Phoenix(フェニックス)』を用いる。三宿小とNTT、世田谷区立小学校教育研究会、広島県立安佐動物公園、ピクチャーテル(株)が共同で運営している。過去数度開催されており、'98年10月には安佐動物公園の動物の生態に関する授業が実施されている。

東京から広島に生き物に関する質問がやつぎばや

 実施したのは、春の訪れを1つの契機として生命の大切さなどについて考えるという道徳の授業である。前半部では、担任の石黒眞史教諭が、模型や実物の雪を見せながら奮闘。

石黒教諭。黒板には自作の“雪の模型”が。手に持っているのは前日に集めておき、冷凍庫に保管していた雪
石黒教諭。黒板には自作の“雪の模型”が。手に持っているのは前日に集めておき、冷凍庫に保管していた雪



 インターネットが威力を発揮したのは、授業の後半部。三宿小の児童たちから次々と生き物に関する質問が出された。テレビ会議システムを介してその質問を受けるのは、安佐動物公園の大丸獣医師。質問はやつぎばやだ。教室で飼育しているハムスターや自宅で飼っている犬のことなど身近な生き物の質問・・・。生き物が何を食べてエネルギーとしているのかといった、児童にとっては高度な質問・・・。大丸氏がわかりやすく答えられずに苦笑するシーンもあった。

インターネットを通じて好奇心が反響し合う

 すでに何度かこの形式で授業を受けていることもあって、児童たちがテレビ会議システムを通じて大丸氏に違和感なく話しかけている様子が印象的だった。月並みな表現だが、好奇心、親近感といったものには、距離の壁は関係なかった。インターネット上のテレビ会議システムではあるが、東京と広島を結んで、好奇心をこだまさせていた。

教室には生徒たちが各自で育てているチューリップの鉢植えが。教材同様芽を出し始めており、生徒たちに春の訪れを告げる
教室には生徒たちが各自で育てているチューリップの鉢植えが。教材同様芽を出し始めており、生徒たちに春の訪れを告げる



 三宿小学校では、今後も生徒たちにコンピューターとインターネットを身近に感じてもらえるよう、遠隔授業への取り組みを続けるという。

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