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着実に会員数を伸ばしているCATVインターネットの動向を探る

1998年12月22日 00時00分更新

文● 報道局 佐藤和彦

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 ケーブルテレビ(CATV)の運営会社が提供するインターネット接続サービスは、通常のダイヤルアップ接続の10倍以上の回線速度のサービスを低料金で受けられることから、インターネットのヘビーユーザーの注目を集め、着実に会員数を伸ばしている。(株)タイタス・コミュニケーションズ、(株)東急ケーブルテレビジョン、(株)ジュピターテレコムのCATV大手3社の動向をレポートする。

●タイタスは、バックボーン回線の容量を増強

 ケーブルテレビ(CATV)の運営会社である(株)タイタス・コミュニケーションズは、同社が千葉県柏市と我孫子市で提供しているインターネット接続サービスの回線容量の増強を21日に実施した。

 今回タイタスは、千葉県でインターネット接続サービスを提供している千葉センターからタイタス・オペレーションセンター(東京都板橋区)までの回線を従来の3Mbpsから6Mbpsに増強、また、タイタス・オペレーションセンターから上位ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)までの1.5Mbpsの回線2本のうち1本を3.0Mbpsに増強した。もう1本の1.5Mbpsの回線容量も、'99年2月に3.0Mbpsに増強する計画という。

 タイタスは、10月1日にインターネット接続サービスを開始したが、12月20日時点で約1400件の契約を達成している。同社では、柏市のパソコンショップで、CATVインターネットを利用したネットワーク対戦ゲームのデモンストレーションを12月末まで行なうなど、キャンペーン活動を展開しており、'99年3月末までに3000件の会員獲得をめざしている。

 タイタスでは、インターネット接続サービスの加入者数に関し、「CATVサービスの加入者の30パーセント程度を目標にしている」(タイタスの広報担当者)。千葉県では、CATVサービスの加入者は約1万6000人(11月末)で、この30パーセントは約4800人。まだまだ会員数を拡大させる余地があるとみているようで、今回の回線容量の増強は、そうした会員数の増加をにらんでのものという。また、タイタスでは、'99年4月以降に、千葉県以外のエリア(神奈川県相模原市、神奈川県大和市、西東京地区、東京都板橋区)でのインターネット接続サービス開始を検討しており、エリア拡大にともなって、随時回線容量の増強を行なっていく方針という。

 東京都の城南地区と神奈川県でCATVを利用したインターネット接続サービス“@CATV(かっとび)”を提供している(株)東急ケーブルテレビジョンも着実に会員数を増やしている。9月末時点で約2000人だったのが、11月末時点では3090件に伸ばしている。同社のネットワークは、6つのセンターを622MbpsのATM回線で接続しており、上位インターネット・プロバイダーとは、6Mbpsの回線で接続されている。東急ケーブルテレビでは、「上位プロバイダーとの回線は、インターネットの使用状況をウォッチしながら増強するかどうか判断している。会員数は増えているが、使用状況から判断すると、当面は6Mbpsでも余裕はあると判断している」という。

●J-COM杉並は'99年1月末に開始

 CATV会社としては大手ながら、インターネット接続サービスではやや出遅れた観があるのが“J-COM”という名称でCATV局の展開を行なっている(株)ジュピターテレコムだが、同社も着々と体制を整えている。まず10月1日から、埼玉県浦和市で、J-COM浦和が100人程度の会員を対象とした実験サービスを開始(本格サービスの開始時期は未定)。また11月には、ジュピターテレコムが出資をしている(株)大阪ケーブルテレビも、大阪のCATV局としては初めてインターネット接続サービスを開始。当初は大阪市住吉区だけのサービスであることから、会員数は100件強にとどまっているが、「'99年3~4月をめどに、大阪市の他の区にもサービスを拡大する方針」(大阪ケーブルテレビ)という。

 さらに、東京都杉並区でCATVサービスを提供しているJ-COM杉並も、'99年1月末からインターネット接続サービスを開始する。当初は、'99年1月初頭のサービス開始を予定していたが、「サービス約款に関して、郵政省との調整に時間がかかっているため、サービス開始が少し遅れることになった」という。同社では、「システム的には何も問題はない」と説明している。

 ジュピターテレコムでは、12月1日よりJ-COM杉並の会員を対象に、インターネットを利用しているかどうか、インターネットの利用頻度はどれくらいか、インターネットを主に利用する時間帯はいつかなどの質問を盛り込んだアンケートを実施している。アンケート開始後、すでに約500人から回答が寄せられているという。

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