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今日のインターネットと明日のインターネットのすべてが分かる――“Internet Week 98”レポート(その1)

1998年12月21日 00時00分更新

文● 報道局 山本誠志

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 去る12月15日から18日まで、京都国際会館にて“Internet Week 98”が開催された。Internet Week 98実行委員会が主催し、日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)と日本インターネット技術計画委員会(JEPG/IP)など12団体が共催。インターネットに関わるさまざまな問題の解決をめざす場として、さまざまなカンファレンスやセミナーなどを集中して開催するイベントである。本稿では、この“Internet Week 98”の概要と、初日のセッション“インターネットアーキテクチャ概論”について紹介する。

研究者の会合にチュートリアルなどを加えて間口を広く

 “Internet Week”の前身となる“IP Meeting”が、初めて開催されたのは'90年のこと。そこで、40人ほどの研究者/開発者がインターネットについて議論した。それから毎年開かれるようになったIP Meetingは、年を追うごとに参加者が増えつづけ、昨年から“Internet Week”と名前を変えて新たなスタートを切った。今年の参加者は4日間でのべ5000人。昨年の参加者を約1000人上回った。

 もともとは研究者を対象としていたIP Meetingだが、近年ではインターネット技術を紹介するチュートリアルなども同時開催されるようになった。チュートリアルなどは“学生無料”(ただし空席があれば)ということもあって、堅苦しい雰囲気はまったくない。インターネットに少しでも接したことがあって「もうちょっと技術的なことを知りたい」と考える人ならば、得るものがあるイベントである。次回の“Internet Week 99”は、来年12月14日から4日間にわたってパシフィコ横浜で開催される予定だ。

 今年開催された“Internet Week 98”は、初日と2日目の“インターネットコンファレンス'98”、3日目の“IP Meeting '98”、最終日の“Linux Conference '98”などを中心に、さまざまなチュートリアル、セミナー、懇親会などが行なわれた。また、会場のロビーでは、GNUのブースが開かれ、来日したRichard Stallman氏がソースコードやマニュアルなどを自ら販売していた。

「社会の基盤はインターネット」と慶應大学の村井氏

 初日のチュートリアルでは、慶應大学の村井純氏が「インターネットアーキテクチャ概論」と題して講演した。この講演の一部をお届けする。

 ――特殊な技術があるからこそ、インターネットはうまく動いている。インターネット全体の中に存在している個々の技術は、それぞれの背景があって動いています。例えば、Ethernetはインターネットでなくても使うことができる。しかし、インターネットの中で使われる場合のEthernetは、ある使命を持って動いているわけです。インターネットを構成する技術はたくさんある。その個々の技術が、全体のアーキテクチャの中で担っている使命を分かっていただきたい。

日本をIP-reachableにした最大の貢献者のひとりである村井純氏。“インターネット”(岩波新書)などの著作も有名。「私がここで話せるのは、今日のインターネットの姿と明日のインターネットの方向性だけです。明後日のインターネットは、みなさん自身の手で作るのです」
日本をIP-reachableにした最大の貢献者のひとりである村井純氏。“インターネット”(岩波新書)などの著作も有名。「私がここで話せるのは、今日のインターネットの姿と明日のインターネットの方向性だけです。明後日のインターネットは、みなさん自身の手で作るのです」



 「情報の基盤は社会の基盤だ」というコンセンサス、そして「情報の基盤はインターネットだ」というコンセンサスを得ようとしている。インターネットのアーキテクチャは、現在、情報の基盤としてうまく動いている。そして、ここにいる人の使命は、インターネットの次のアーキテクチャをデザインすることです。次の世代のインターネットを、一緒に考えていきましょう。

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