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掌が誘う、肌が呼ぶ“第48回mACademiaセミナー”

1998年12月15日 00時00分更新

文● 野々下裕子、

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 毎月、Machintoshに関わるタイムリーな話題を取り上げている、関西のmACademia(マカデミア)が今年最後のセミナーを開催した。Aパート、Bパートの2部構成となったセミナーは、Aパートでは“掌の知的デバイス”として話題のPDA、『Palm Pilot』を徹底紹介。Bパートでは、ウェブサイトを含むデザインインターフェースについて、興味深い報告がなされた。

『Palm Pilot』を叩き切る?

会場のユーザーが持っていたPDAがずらりと勢揃い
会場のユーザーが持っていたPDAがずらりと勢揃い



 現在、米スリーコム社製品として発売されている『Palm Pilot』は、もともとはスリーコム社に買収された米U.S.Robotics社の製品で、Mac OSライクなインターフェースと携帯性の高さで話題になっていた。そうしたユーザー熱の高さは、英語版のみの発売にかかわらず、いち早く日本語ドライバーをユーザーが開発したことからもうかがえる。講師役を務めた瓜生良治氏も最近ユーザーになり始めたそうだが、その可能性の高さに驚かされているという。特に、ドライバーやソフトの開発自由度の高さは『Palm Pilot』の魅力の1つとなっており、『pilotgear』というサイトでは2176本のソフトが紹介されている。

Aパートの講師を務めた瓜生良治氏 Aパートの講師を務めた瓜生良治氏



 中にはスケッチブック、『育てゲー』と呼ばれるペットを育てるゲームはじめ、専用のプロキシーサーバーを利用することでモノクロでのホームページを画像付きでブラウジングできるソフトも紹介。ユニークなものでは、青空文庫のデータなどが読める電子ブックブラウザーも開発されている。最新OSの3.0ではTCP/IPへの対応が充実するそうで、今後のラインナップに期待が持てるということだ。

 機能性については、米アップルコンピュータ社のPDA『Newton』と何かと比較されることも多く、会場では『Newton』ユーザーと機能を比較する一幕もあった。そこであげられた『Palm Pilot』の優位点をまとめてみると、男性の背広のポケットに入るように設計されているため軽くて携帯性に優れていること、パソコンとのデータリンク機能が充実していること、データが軽くて種類が豊富であることといったものがあった。また、赤外線iDrにTVやAV機器のリモコン波を対面で読み込ませて簡単に学習させるといったユニークな使い方も紹介された。

画面の動きなども詳しく紹介された
画面の動きなども詳しく紹介された



 リンク機能でMac OSへの対応が不十分なことや、日本語入力が不完全であること、といった問題はあるものの、会場からはまずまず満足できる製品という評価がなされたようだ。


「Webとはいざないである--」

 後半のBパートでは前半とはがらりと趣向を変えて、インターネットにおけるインターフェースについての報告となった。講師役の武山良三氏は、国内で唯一の国立短期大学である高岡短期大学の講師で、デジタル分野でのデザインに関する講義や実験に携わっている。今回紹介された『WebDesign』というサイトでは、“つるつるで表情のないウェブでの情報”にどうやって肌感覚を持たせるかといった研究をしており、成果はすべてPDFで公開されている。会場ではそれらに武山氏が簡単な解説をつけながら紹介。「Webとはいざないである--」といったまとめの“Web9ヵ条”には来場者たちも大きくうなずいているようであった。

Bパート講師を務めた武山良三氏 Bパート講師を務めた武山良三氏



 さらに、大学のある富山県高岡市の地元CATV社が、インターネットを利用してどのような活動をしているのか、関西のデジタルクリエーターの協力で制作したVTRとともに紹介。mACademiaの会場風景も登場していた。

 最近のmACademiaは主催の中西博氏が自ら言うように、Macintoshやアップルコンピュータの話題から少々離れたインターネットやデジタル技術全般に関わるセミナーが実施されている。それはデジタル市場が幅広くなり、Macintosh 対 PCという構図が崩れつつあることを意味している。実際、Macintoshユーザー以外の来場者も増えているようだ。

終了間際に実施された恒例のジャンケンプレゼント。今回は商品として最新刊『FIREWORKS徹底検証』が著者の森川眞行氏自身から提供された 終了間際に実施された恒例のジャンケンプレゼント。今回は商品として最新刊『FIREWORKS徹底検証』が著者の森川眞行氏自身から提供された



 次回のmACademiaは“春のサンフランシスコだより”ということで、最新のMacintosh情報の報告が予定されている。その他にも、同時期に西海岸で開催される各種コンベンション“CES”や“COMDEX”の報告も実施される予定だ。こうした幅広いテーマをとりあげる定期的な勉強会が関西を含めて少ないだけに、今後の開催内容にも期待したい。

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