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松下電器と米サン、デジタル家電用Java技術の共同開発で合意

1998年12月15日 00時00分更新

文● 報道局 佐藤和彦

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 松下電器産業(株)と米サン・マイクロシステムズ社は、デジタル家電用Java技術の共同開発に関して合意した、と発表した。松下電器の得意分野であるデジタル家電分野の技術と、米サンのJava技術をベースにしたコンピューターネットワーク技術を融合することで、新しいデジタルネットワーク家電製品の開発をめざす。

杉山一彦松下電器産業(株)副社長(左)と、Jay Puri(ジェイ・ピューリ)米サン・マイクロシステムズ副社長(右)
杉山一彦松下電器産業(株)副社長(左)と、Jay Puri(ジェイ・ピューリ)米サン・マイクロシステムズ副社長(右)



 松下電器は、デジタルネットワーク家電の新しいサービスとして、以下のようなものをイメージしている。番組案内や競馬オッズなどのテレビの付加価値情報サービス、ホームショッピング、在宅医療相談などのサービス。家の外から家電機器をコントロールしたり、状態をチェックしたりするリモート機器診断サービス。食材を提供しながら、電子レンジに新しい調理プログラムをダウンロードできるケータリング・サービス、などである。

 また、本日発表した、両社の基本合意内容は以下のとおり。

1)PersonalJavaのライセンス契約に基本合意。
2)デジタルテレビ製品向けにTV用Java APIの策定および、Java技術の最適な適用方法を検討する。
3)デジタルAV機器や白物家電機器など、広範囲な家電製品に利用可能な軽装Javaの評価検討を行なう。


 これらの1)、2)、3)それぞれの内容については、記者会見の質疑応答の中で詳細が明らかにされた。

----先日、米サンはJava2を発表したが、Java2と今回の基本合意は、どのような関係にあるのでしょうか。

松下電器「Javaには、Full Java、Personal Java、Embedded Java、Java Cardの4つがある。Java2は、パソコン用のFull Javaのカテゴリーに入るものです。今回、ライセンス契約を結んだPersonal Javaとは、違うカテゴリーです」

----2)のデジタルテレビ向けのJava TV用APIの開発に関してですが、松下電器は米国標準化団体であるATSCに対し、どのようなスタンスをとるのでしょうか。また、この共同開発は、他のJava TV用APIメーカーを排除するかたちになるのでしょうか。

松下電器「家電メーカーとしては、常に標準化団体の決定を優先して、意志決定をします。Java TV用APIに関しても、米ATSCの方針を優先させますが、それとは別にJava言語の、修正・検討を進めていく、ということです」

米サン「Java TV用APIの開発に関しては、松下電器と協力していますが、他のJava TV用APIメーカーとも共同して開発を行ないます。今回の提携は、独占的なものではありません」

----3)の“軽装Java”は、JiniやEmbedded Javaとは、どのような関係にあるのでしょうか。

松下電器「“軽装Java”とJiniは、まったく関係ありません。Jiniに関しては、両社は、まだ合意に至っていません。Jiniは、ネットワーク機器で使用するソフトウェアであるのに対し、“軽装Java”は、家電の組込用のミドルウェアとして新たに開発するものです。ただし、“軽装Java”は、Embedded Javaから派生して作るものか、まったく新しいカテゴリーのJavaとして登場してくるかは、現時点では、まだ決まっていません」

米サン「“軽装Java”は、Embedded Javaよりもファイルサイズが小さいものとなります。しかし、Embedded Javaから派生してくるものになるか、新しい規格として誕生するか。この点に関しては、サンとしても、まだ方針が決まっていないとしか言いようがありません。また、“軽装Java”の規格が定まればオープンなものとして、公開していく方針です。“軽装Java”に関し、松下電器以外の会社と共同開発しているかどうか、についてはお答えできません」

----今回の提携によって開発される製品が、実際に市場投入されるのはいつ頃になりますか。

松下電器「2)の提携によって開発するJavaのアプリケーションを搭載したデジタルテレビは、欧米の市場向けに2000年には発売されるでしょう。また、3)の提携によって開発する“軽装Java”は、冒頭に述べたようなデジタルネットワーク家電の新しいサービスとともに市場化されます。ただし、新しいサービスは、試行段階が何年も続くと思いますので、本当にサービスとして提供できるのは21世紀になるでしょう」

----松下電器は、組込用OSでは、Windows CEに関して米マイクロソフト社と提携していたはずですが、米マイクロソフトとの関係は、今後どうなりますか。

松下電器「Windows CEは組込用のOSであり、Javaはミドルウェアです。当社では、Windows CEだけでなく、さまざまな組込用OSを使用しています。そして、OSとミドルウェアは、補完関係にあるものなので、今回の提携によって、米マイクロソフトとの関係が変化することは無いと考えています」

----ネットワーク機器用のソフトウエアとして、米サンはJiniを、松下はIEEE1394をベースにしたHAViを推奨していますが、両者の関係はどうなりますか。

米サン「JiniとHAViは、補完関係が高く、両者を統合することによって、ユーザーは、より多くのメリットを享受できる、と思います。Jiniによって、HAViの接続可能な範囲を拡大できるようになる、と考えています」

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