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NEC鈴木特別顧問、日本の西暦2000年問題対策の立ち遅れを指摘

1998年12月07日 00時00分更新

文● 報道局 白神貴司

 日本の西暦2000年問題への対策は立ち遅れている----日本電気(株)の鈴木祥弘特別顧問は、この問題に対する日本企業の対策が、大きく遅れていると指摘した。

NEC鈴木祥弘特別顧問
NEC鈴木祥弘特別顧問



 これは、(財)社会経済生産性本部が主催する、第6期情報化推進懇話会の第2回定例会で述べたもの。講演の中で鈴木氏は、2000年問題の深刻さを、以下のポイントを挙げて説明した。

・一般生活、ビジネス、政府活動はコンピューターおよび半導体チップに大きく依存している。
・残されている時間に対して解決すべき事項があまりに多すぎる。致命的な障害が発生するのは避けられない。
・障害は徐々にではなく、同時に、複合的に発生する。しかもそのほとんどが予測不可能。

 以上のことから、2000年になったとき、ビジネスおよび社会全般が通常どおりに機能する可能性は少ないという。

 鈴木氏は、米国における対策の現状について紹介した。米国ではクリントン大統領直属の対策組織として“2000年転換協議会”を設置。その下に、各省庁、監督機関ごとに34のワークグループを置いて、対策が進められているかどうかを監視する体制を整えた。

 また、クリントン大統領は、'98年7月に対策のための総合戦略を発表し、'99年3月までの対策完了を目指し、12億ドルを投入する方針を打ち出した。

 この方針のもと、議会上院に特別委員会を設置し、公聴会を開催、主要24省庁の対策の進み具合をA~Fまでの6段階で評価するなどの対策手段を取っている。しかし、最終的な障害は実際に2000年1月1日になってみないと判明しない、という観測が大勢を占めている。予測不可能な部分がどこかに残っているだろうというのが米国内の認識だという。

 米国では法律面でも対策を講じており、“2000年問題情報開示法”が'98年10月に発効している。この目的は2000年問題に関する情報を共有すること。企業が故意ではなく誤った情報を公開した場合、それに関しては責を問わないという免責規定を盛り込むことで、情報の開示を促進しようという意図がある。

 鈴木氏は、2000年問題への対策が、世界で最も進んでいるといわれる米国においてさえ、すべての障害に対応することは不可能であると述べた。また、仮に米国内での対策がかなりのレベルに達したとしても、他の国で障害が発生すれば、米国内へのダメージは避けられないと付け加えた。

 鈴木氏は一方で、日本におけるこの問題の対策には、もはや一刻の猶予も許されないと語った。今年9月には、政府が行動計画を策定し、高度情報通信社会推進本部に同問題を協議する顧問会議などを設置した。ここでは、

・2000年問題への対応についての周知徹底
・中央官庁の対応および地方公共団体への要請
・民間部門における対応
・情報提供体制の構築
・行動計画のフォローアップ

などを進めていくという。鈴木氏は3つめの、民間部門における対応の重要性を指摘した。具体的には以下の諸問題にフォーカスして協議をするという。

・金融、エネルギー、情報通信、交通、医療などの民間重要分野への対策として、所管官庁が、2000年問題への対策の必要性を周知徹底する。
・コンピューター、ソフトウェアメーカーなどには情報の積極的提供を指導する。
・地方自治体を通じて、中小企業への指導や、対策のため、資金を貸し付けるなどの支援を行なう。
・2000年問題にかかわる技術情報の提供や共有は独占禁止法に抵触しないという特例を設ける。

 鈴木氏は、日本国内で一部言われている、「2000年問題への対策は完了している」という論調は誤っていると述べた。同氏は炊飯器やステレオ、エレベーターから交通信号、インテリジェントビルシステムまであらゆる電子機器に埋め込みチップが使用されている事実を挙げる。「オフィスのコンピューターをチェックすればOKと考えるのは大きな間違い」と語った。

 しかも、これらのチップは実際に2000年1月1日になってみないとどのように動作するのか予測がつかず、仮にそれ以前に障害が発生することが判明しても、取替えが困難なものも多いという。

 鈴木氏は「日本経済の生命線とも言える船舶、海運システムもコンピューターに依存するところが多く、障害の発生が即経済への影響となって現れるだろう。コンピューターで集中管理をしているビルにおいても、電力、電源供給、空調、給水、防災など、多くがコンピューター制御に依存している。これらすべてをチェックしている時間は残されていない」と語った。

 鈴木氏は、2000年問題を複雑で解決困難なものにしているのは、拡大を続けるネットワークだという。たとえばあるネットワーク(LAN)に接続するコンピューターのほとんどが対応を完了していても、ごく一部の未対応コンピューターが存在しているだけで、ネットワーク全体がダウンする可能性がある。

 さらに同氏は、社内の一部のネットワークで障害が発生した場合、それがネットワーク内では収まらない可能性を指摘した。障害が外部ネットワークにまで波及する“ドミノ効果”により、大規模なシステムダウンが引き起こされるかもしれないという。

 つまり、「内部のネットワークを完全にガードしても意味はない。むしろ予想外のところから押し寄せる“ドミノ効果”のほうが厄介」な問題である。この点が、国家、企業が一体となってこの問題に取り組まなくてはならない理由であるという。前述した、米国が仮に完璧な対策を講じても、国外からのネットワーク経由で侵入してくる障害は不可避であるというのは、この点からである。

 鈴木氏は、NECの同問題への対策を紹介した。NECでは現在、西暦2000年問題対応推進委員会を設置し、その下に社内対応を進める部門と、顧客対応を進める部門を設けている。

 社内での対応としてまず、各部門および関連企業それぞれに推進体制を作り、各事業部のトップ自らが積極的に指揮を取るよう指示した。そして各事業部のトップに積極的に指揮を取るように命じたという。その上で、対応計画を策定し、計画の実行を推進している。

 具体的には、チェックの対象となる社内システムの洗い出し、優先順位付け、対策の完了目的の明確化などを実行している。また、社内のどこをどの部署が管轄するのかという領域、分担をはっきりさせることで、混乱の回避を図っている。

 部門長に対して、自分が管轄する部門がどこまで対策を進めているかを常に把握するように指示。それらの報告を徹底させ、グループ企業を含むNECグループ全体の進捗状況を四半期ごとに確認する体制を取っている。

 鈴木氏は、現在日本企業には、“この不景気に2000年問題に対応するだけの余裕はない”とか、“対処法もわからないし、本当に影響があるかもわからないことに労力は割けない”といった風潮がいまだにあると指摘。この考えを改めないと、致命的な障害を被ることになると語った。

 「米国が2000年問題に投じる対策費用は、ベトナム戦争のそれを上回ると言われている。このことをみても、国家の根底を揺るがしかねない深刻な問題であるということがわかってもらえるのではないか」と述べた。

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