このページの本文へ

【interview】「CD-R/RWドライブは“マルチメディア・プリンター”だ」----リコーの坂巻資敏取締役に聞く

1998年12月04日 00時00分更新

文● 報道局 横田雅美

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 (株)リコーは本日、CD-R/RWドライブ『リコーMP7040A-WE』を発売した。リコーは、同製品の特徴として、使い勝手のよさをアピールしている。発売直後は、CD-R/RW書き込みソフトとして『Easy CD Creator デラックス版』を同梱する。こちらの使い勝手は、他社の対抗製品とあまり変わらない。

 使い勝手のよさをうたい文句とする書き込みソフト『CLIP DISC』は、発売開始時には間に合わなかった。このため、同梱された登録はがきを送付したユーザーに、1月下旬に無償で発送する。従来のCD-R書き込みツールと異なり、設定が容易で、Windows 95/98からプリントするのと同様の感覚で出力できる。

 リコーのディスク媒体事業全体を指揮する取締役兼DMS(Disk Media System)事業部長の坂巻資敏氏にお話を伺った。

「CD-R/RWドライブは“マルチメディア・プリンター”」

----CD-R/RWドライブ『リコーMP7040A-WE』について一言コメントをいただけますか。

「バックアップなどのために種々の設定を延々と続ける必要がなく、フロッピーやプリンターと同様の感覚で出力できるCD-R/RWドライブとして、世界初の製品だと自負しています。そして私は、これをあくまでもプリンターだと位置付けています。“マルチメディア・プリンター”と呼んでいるんです。ディスクを見て、人はストレージではないのかといいますが」

----CD-ROMと同じ大きさのディスクやドライブでありながら“マルチメディア・プリンター”とは面白いですね。

「はい、しかしそれしか思い付つかなかったんです。マルチメディア時代のプリンターだからそのままそう名付けたのです」

----プリンターというと、どうしても紙媒体のものをイメージしてしまうのではないですか。

「確かにそうかも知れませんが、例えばこう考えるのです。自分が利用するためにディスクに保存するのはストレージ。自分以外の人たちに報告書などを配るためにディスクを利用するのは、紙そしてディスクと姿は違えど、プリンターなのだと」

----プリンターにこだわるのには何か理由があるのですか。

「私は入社以来、複写機の開発をして来ました。簡単に言ってしまえばコンピューターの進歩をまったく気にしていなかったので、コンピューターのことが理解できないんです(笑)。だからプリンターという名前で捉えて、ビジネスを企画しているのです」

「紙を減らして森林を守りたいが」

----リコーは“Save Trees by MMP(Multimedia Printer)”を掲げて、この“マルチメディア・プリンター”の開発を進めていらっしゃいますね。

「実はOAにおいて、紙を造るのに最もエネルギーを消費しているんです。再生紙を造るのにも、パルプから紙を造るエネルギーの70パーセントを費やしている。だからOA機器をやっているリコーが何か考えなければ、と思いました。今後、できるだけ紙を使わない“マルチメディア・プリンター”を広めていきたいですね。CD-R/RWはフロッピーを置き換えるものだと思っています。

----ではCDーR/RWで書き込んだデータを紙にプリントせず、画面に映し出して見るというのが、実際主流になるのはいつだとお考えですか。

「やはりDVDの時代が来るまでは大変だと思っています。紙に写し出さないと、現在オフィス環境にあるディスプレーでは確かに目が疲れるでしょう。表示装置が改良されないと難しいと思います」

坂巻資敏氏
坂巻資敏氏



「ピックアップの数が出荷の上限を決める」

----今回の“マルチメディア・プリンター”第1号は、出荷台数が月15万台とのことですが、店頭売りですか。それともOEM(他社のパソコン本体への組み込み)がメーンですか。

「圧倒的に店頭売りです。OEMだとしたら、早くて'99年の秋モデルでしょう。'99年の春モデルはもう決まっていますから、12月上旬出荷の製品では組み込みが間に合いません」

----出荷台数が多いですね。

「そうですか。出荷台数の上限というのは実はピックアップ(読み取り書き込みヘッド)の生産数で決まるんです。世界でもピックアップの会社というのはいくつもないので、その生産数でCD-ROM業界の出荷台数が決まるんです。上限に張り付くペースで売れてほしいですね」

----ところで現在、CD-R/RWに力を注いでいる企業というのはどういったところですか。

「ドライブに関してはフィリップス、ソニー、HP、ヤマハ、三菱化学とリコーの6社で業界の72.5%を占めています。この6社はメディアもやっていますが、メディアに関しては、そのほかにTDK、日立マクセル、パイオニア、三井化学、太陽誘電などもやっています」

「IBM、アップルの選んだCD-ROM互換器だけが生き残る」

----大容量ディスクの類は、大容量フロッピー、リムーバブルハードディスク、光磁気ディスク、各種光ディスクとたくさんありますが、CD-Rに注力する自信はどこから来るのですか。

「CD-ROMドライブで読めるCD-R/RWは有利だと確信しています。CDーR/RWで標準規格ISO9660にのっとって保存すればほとんどのパソコンで読める。データを普及度の高いソフトのデータ形式でしまえばほとんどのパソコンで読めるわけですから。

 今までも光磁気ディスクをはじめ、多種多様のディスク媒体が開発されてきました。しかし、光磁気ディスクが広く利用されているのは日本だけで、ワールドワイドではないのです。そのほかのメディアにしても、CD-ROMドライブで読めなくては、今後世界で普及しないと思っています」

----今までに光磁気ディスクの開発などはなさったことはあったのですか。

「ええ、今列挙されたディスクのうちいくつかには、本格的に参入しようかと検討したこともありました。しかしそうしたディスクの成否を決めるのは結局、IBMやアップルが採用するか否かによるんです。これらのメーカーが採用しないといった時点で手を引きました」

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン