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2002年、世界に誇る国立電子図書館の開館をめざして--国立国会図書館関西館(仮称)が起工式

1998年12月01日 00時00分更新

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 11月の最終日の30日、国立国会図書館関西館(仮称)の起工式が、京都にある関西文化学術研究都市(けいはんな)の建設予定地で開催された。国立国会図書館関西プロジェクトが設置されたのが'82年。提案から数えると20年もの歳月をかけて、ようやく実現した起工式であった。会には京都府知事、奈良県知事をはじめ、国会議員や関係者が出席。報道陣がつめかける中、式はカタチ通りに終了した。



将来的には、蔵書数2000万冊を目指す

 関西文化学術研究都市は、京都府と奈良県にまたがるエリアで進行中の国家プロジェクトである。国会図書館関西館の建設の予定地である京都府精華町の“けいはんな”エリアには、『国際高等研究所』や『奈良先端科学技術大学大学院』、『国際電気通信基礎技術研究所(ATR)』などの建物が集まっている。現在、“セカンドステージプラン”に向けての都市づくりが進められており、その核プロジェクトの1つとなるのが、国会図書館関西館の建設なのである。

建設予定地
建設予定地



 2002年の開館を目指した第1期の工事計画によると、図書館の敷地面積は約3万7500平方メートル、延床面積約5万9500平方メートル、収蔵能力は約600万冊にもおよぶ。将来的には敷地面積をほぼ2倍、床面積を3倍弱にまで拡大し、蔵書約2000万冊という世界最大規模の図書館にしていく予定だ。蔵書にはアジア文献も多数含まれる予定で、関西館ではアジア文化情報センターとしての機能も目指していくという。

建物の模型
建物の模型



文献のデータベース化で、今後どれだけ次世代ネットワークを取り入れられるかが重要

 電子図書館機能も目玉だ。文献情報の電子化で検索を容易にするだけではない。国内外のデータベースと連携することで、“誰でも、いつでも、どこからでも利用できる、未来型図書館”のスタイルを確立を目指す。電子化のフォーマットについては、同じ“けいはんな”エリア内にある研究所などで、一部開発が進められているようだが、その全貌は公開されていない。

 ネットワークにしても、発表されているのは、広帯域の総合デジタル通信網(B-ISDN)を利用するという程度である。開館予定が2002年なので、詳細を決めて陳腐化する恐れを感じているのかもしれない。時代の流れと技術の変化をどこまで取り入れていくのかが気になるところだ。

 さて、肝心の建物だが、設計はコンペ形式によって決定した。最優秀作品賞を受賞した陶器二三雄氏の設計は、大部分の空間を地下化(地下4階)するというユニークなものである。地上から見える乳白色で透明感ある建物は、周囲の環境との調和を意識しており、周囲や屋上の緑がポイントとなっている。内部には、リアフリーデザインを取り入れ、利用者の利便は高められているようだ。

 

入賞作品をまとめた応募作(左)と、エントランスの完成予想図(右)入賞作品をまとめた応募作(左)と、エントランスの完成予想図(右)



 起工式の挨拶の中で、図書館長の戸張正雄氏は、関西館開館にあたっての課題を2つ挙げた。増え続ける蔵書を保管するためのスペースの確保と、時代の流れとともに必要とされる情報化へに対応である。これらは、ソフト面の充実によって対応するということだ。(財)国際高等研究所所長の沢田敏男氏は、祝辞の中で「新世代通信網との連携を含め、さまざまな研究機関が関西館に生まれ、著作権への取り組みといった研究も進められていくだろう」と述べている。

 ここ数年のあいだ、イギリスやフランスで、国家レベルの図書館が次々とオープンしている。21世紀、関西に世界に誇るレベルの図書館がオープンされることを期待したい。

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