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【INTERVIEW】「ノートパソコンの“1mm”は技術のかたまり」--東芝、丸山剛彦課長にノートパソコンの事業展開について聞く

1998年12月01日 00時00分更新

文● 報道局 原武士

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 世界におけるノートパソコンのシェアがトップの(株)東芝。そのノートパソコンに対する戦略と商戦について、パソコン事業部パソコンマーケティング部パソコン営業推進担当の丸山剛彦課長に伺った。

●個人ユーザーにもっとアピールしていく

---現状におけるデスクトップパソコンとノートパソコンの出荷台数の比率はどれくらいですか?

「出荷台数ベースでも売り上げベースでも、ノートパソコンが全体のうち85パーセントくらいですね」

----'98年冬期のノートパソコンの戦略を教えてください

「現在、当社のパソコン出荷台数は、企業向けの割合が高いという点に着目しています。これはノートパソコンだけでなくデスクトップパソコンにも言えることです。今後は、個人ユーザーに対するアピールを考えていくつもりです」

----個人ユーザーに対するアピールとは?

「例えば、既にある“東芝グレードアップサービス”の中に、オリジナルPCサービスとして“カラーリングサービス”、“キャラクタープリント”、“ネーミングサービス”の3つをはじめました」

「これはノートパソコンに自分の好みの色でカラーリングを施すことができるサービスです。また、ワーナーブラザーズ社と契約を結んでいるので自分のノートパソコンにワーナーのキャラクターの絵を入れたりもできます。実際にあった例としては慶応義塾大学から依頼され、Liblettoに校章を入れたなどがあります。サービスを始めて以来、かなりの好評を受けています」

●インテル互換は当分ない

----ノートパソコン自体では、どういった点をアピールしていくのですか?

「“環境に優しい”です。使用している部品はすべて再利用が可能なものを、プラスチック部分には有害物質の含有量が低いものを使用しています。たとえ、その結果、多少本体価格が割高になったとしても、このコンセプトは変えません。また、ノートパソコンをさらに薄く軽くを目指します。ノートパソコンの1mmの差には技術が詰まっているのです」

----ノートパソコンで現在最も売れているシリーズはなんですか?

「SSシリーズですね。その中でも『DYNABOOK SS 3010』が最も売れています。PCカードスロットを左右に1個ずつ、2個搭載している点が評価をされてます。このクラスの薄型ノートでPCカードスロットを2個持っているのは弊社の製品だけです。薄いことを言い訳に妥協はしません。こういうところが評価されたのだと思います」

「SSシリーズの名前は、過去に弊社が出したノートの中で最も好評をいただいたシリーズ(サブノートSS)にちなんでつけました」丸山氏は笑いながら答えた
「SSシリーズの名前は、過去に弊社が出したノートの中で最も好評をいただいたシリーズ(サブノートSS)にちなんでつけました」丸山氏は笑いながら答えた



----SSシリーズに続く機種は何ですか?

「先日アプリケーション付きモデルを発表したSateliteシリーズや、ハイエンド向けのTECRAシリーズも順調です。アメリカでは幹部クラスになると『DYNABOOK TECRA 8000』を買うというのがステイタスにもなっているそうです」

----今後、インテル互換CPUを使う予定はありますか?

「インテル互換CPUに付いては、現段階では使用する予定はありません。しかし、'96年4月発売の『Libreretto 20』でAMD社の物を使用したこともあるので、使用しないとは断言できません」

●省電力規格ACPIに対応

----東芝のノートパソコンにおける強みはなんでしょうか?

「より良いものを、より安心してお使いいただける形で、最新の技術で提供することです。ノートパソコンのカタログにあるNo.1というマーク*は品質を落とさないことへの誓いです。また、当社がインテル、マイクロソフトと共同で開発した省電力に関する規格のACPI(Advanced Configuration and Power Inteface)に当然、完全対応していることも強みです」

*編集部注:東芝のノートパソコンのカタログにはすべて“ノートPC世界シェアNo.1”というマークが入っている

カタログに印刷されているNo.1マーク
カタログに印刷されているNo.1マーク



----半年後のキーワードは?

「今後、パソコンはさらに形を変えていくでしょう。家電メーカーの中でのパソコンの位置付けを考えていかなければと思っています。また、ハードウェア以外の事業展開も考えています。例えば、ワーナーと組んだコンテンツとしてDVD分野も狙っています」

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