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神奈川県保険医協会が“バーチャルクリニック”開設----全国のホームページ医療相談事情

1998年11月30日 00時00分更新

文● 報道局 横田雅美

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 11月20日、神奈川県保険医協会が“バーチャルクリニック”をテスト開設した。同サイトではメールで送られてきた医療相談を公開の掲示板に掲載。それに対してボランティア登録をした全国の開業医たちがメールで答えるという仕組みになっている。

 同協会・医療情報部の南氏は、「このサイトはあくまでも“セカンドオピニオン”」だと述べている。相談者が主治医の判断に不安を抱いた時、第三者として答え、そうすることで相談者と主治医がより良い関係になれるようなサイトでありたいというのだ。

 この“バーチャルクリニック”では、生身の開業医たちが1つ1つのメールに答えることに意味があるという。医療相談は掲示板方式で行なう。というのも、相談内容が全国から寄せられれば、内容の重なりも多いからだ。掲示板で閲覧できるようにすれば、相談することに抵抗を感じる人でも、自分と同じ症状を見つけて読むことができる。今後はある程度相談項目がたまった時点で、それらをデータベース化し、検索できるようにしたいという。

 現在登録している開業医は、全国で100人を超える。たが現在はテスト期間のため、相談者側は登録制で30人限定、相談に答える開業医は登録者のうち20人という規模から始めている。年内には徐々に会員数増やしていきたいという。

 一方、開業医個人が自分のホームページ上に相談室を開設しているというケースも少なくない。

 大分県・隈診療所の宮崎秀人医師は3年ほど前から、メールでの医療相談をしている。相談件数は週に1件から2件。今までで200人以上の相談に乗っているという。同氏はホームページ上に相談内容を掲載はせず、非公開という形をとっている。そしてやはり、「検査も何もしないで診断はできない。あくまでも健康アドバイス的なもの」と“セカンドオピニオン”という姿勢をとっている。

 また北海道・北の峰病院の石澤秀明医師は、1年前から富良野医師会のホームページ上で医療相談を始めている。ここでは相談内容を掲載するという形をとっていて、件数は現在までで(同氏の予想を下回る)10件未満。相談がもっと増えて欲しい一方、さまざまな負担を考えると複雑な気持ちであると語った。

 海外では、台湾で10月22日に“King Net 国家網路医院”がオープンした。52人の医師が無料で医療情報を提供し、11月初旬で8000人が利用をしているという。

 これらのホームページで共通しているキーポイントは“セカンドオピニオン”。それは相談する側にとっても、相談に答える側にとっても、ある程度距離を置くという意味で必要なことであろう。

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