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東京国際フォーラムで“テレワークDAYシンポジウム”開催

1998年11月25日 00時00分更新

文● 報道局 郷家香織

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 (社)日本サテライトオフィス協会と(財)マルチメディア振興センター主催の“テレワークDAYシンポジウム”が24日、東京国際フォーラムで開催された。多摩大学学長のグレゴリー・クラーク氏の基調講演“2005年のワークスタイルと日本経済”の後、“企業及びテレワーカーから見たテレワークの実態”というタイトルでのパネルディスカッションが実施された。

 テレワークとは、パソコン通信などを使った在宅勤務やサテライトオフィス勤務、また移動体通信機器を利用したモバイルワークなどのことを指す。ライフスタイルやワークスタイルを変革するものとして期待されている。

日本サテライトオフィス協会会長の渡辺喜一氏日本サテライトオフィス協会会長の渡辺喜一氏



 日本サテライトオフィス協会会長の渡辺喜一氏は、いつでも、どこでも、仕事ができる仕組みが必要になる、また、テレワークでは、主婦や高齢者、障害者などの力も必要となってくると述べた。テレワークという新しい働き方やシステムについて理解するとともに実践していくことを期待したいと挨拶した。

日本の情報産業の遅れは深刻

多摩大学学長のグレゴリー・クラーク氏。厳しい指摘の中にもユーモアを交えた話ぶりが好評だった多摩大学学長のグレゴリー・クラーク氏。厳しい指摘の中にもユーモアを交えた話ぶりが好評だった



 グレゴリー・クラーク氏は、テレワークに対する試みが今まで成功しなかった原因の1つとして、次のようなことを挙げた。すなわち、日本のグループが職場などの場に基づいていること、日本人は、人がぎっしりしているような街生活が好きだということである。欧米に比べてコンピューターを使うことのできる人の少なさも弊害になっているという。
 また、人の分散や文化の分散の必要性、経済よりもライフスタイルを重要視することの大切さを述べた。さらに、新しい内需拡大のために、経済を決める消費者への新しいサービスや新しいライフスタイル確立の必要性を述べた。独立したライフスタイル、政府機関や企業の分散、情報機器の発展によって、地方への動きが楽になるのではないかと提言。最後に日本の情報産業の遅れは深刻で、探求心や冒険心のなさによるベンチャービジネス精神の弱さは問題であると述べた。

テレワーク導入に伴うメンタルヘルスの相談体制発足

日本経済新聞社の浅川澄一氏日本経済新聞社の浅川澄一氏



左から、富士ゼロックス代表取締役副会長の宮原明氏、NEC電子コンポーネント販売事業部・計画部長の飯島洋治氏、電気連合の産業政策・中小政策局長の廣末康二氏、国際連合大学高等研究所教授の大西隆氏
左から、富士ゼロックス代表取締役副会長の宮原明氏、NEC電子コンポーネント販売事業部・計画部長の飯島洋治氏、電気連合の産業政策・中小政策局長の廣末康二氏、国際連合大学高等研究所教授の大西隆氏



 日本経済新聞社の浅川澄一氏をコーディネーターにパネルディスカッションが行なわれた。

 日本電気(株)電子コンポーネント販売事業部・計画部長の飯島洋治氏と富士ゼロックス(株)代表取締役会長の宮原明氏が社内で進められているテレワークの実態を述べた。宮原氏は、「目的、責任、権限、やらねければならないことなどをはっきりさせることが重要である。そのためには、その部門が何をしているか文書化させること。そうしてはじめて、個人がその中で何をすべきかがはっきりする」という。

 飯島氏は、全員がパソコンを使いこなせる最低限のレベルに持っていくことが重要であると述べた。また、いつでもどこでも誰でもテレワークをできる環境、必要な職場情報を自分で見ることのできる環境の整備も大切だという。

 電気連合の産業政策・中小政策局長の廣末康二氏は、「テレワークの導入では、厳しい自律や自己責任を問われる。慎重に導入する必要がある。また、新しい働き方の仕組みにスムーズに適応していけない人達へのケアを強化しなければならない。具体的には、メンタルヘルスの相談体制を'99年1月6日に発足させる。また、働かせる側の自己責任もきちんと整備していきたい」と述べた。

 国際連合大学高等研究所教授の大西隆氏は、「働き手本位の考え方が大切である。働き手がテレワークについての問題提起をし、それをマネジメントの側が受け止めた上で発展していくのが望ましい。インタラクティブな関係がサテライトオフィスの発展に必要」だと述べた。

 最後に廣末氏が「第一線で働く管理者のレベルの向上、たとえば、目標設定、フィードバック、データベース整備などが必要」と語った。

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