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日本電算機、通販利用がターゲットのインターネット接続端末を発表

1998年11月24日 00時00分更新

文● 報道局 原武士

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  日本電算機(株)は、インターネット接続端末『iBOX-1cd/1cdi』の記者発表会を行なった。これは、インターネットを利用するための専用端末で、テレビにつないで利用するもの。1cdモデルは、アナログ回線用の33.6Kbpsモデムを、1cdiモデルはDSU付きTAを内蔵する。12月1日発売で、どちらもオープン価格。目安としては、1cdが5万円程度、1cdiで7万円程度という。なお、プロバイダーへの契約は含まれておらず、ユーザーが自分の選んだプロバイダーを利用できる。ICカードスロットはICカードの国際標準化機構であるISO7816に対応し、今後の電子マネーカードの利用も可能という。

マーケティング部課長代理、鈴木千明氏
マーケティング部課長代理、鈴木千明氏



 同社では、今までにも同様な形態のインターネット端末『iBOXシリーズ』を発売してきたが、ICカードスロットを搭載させたのは今回が初めて。発表会の席で、ICカードについて、マーケティング部の鈴木千明課長代理は以下のように語っている。

「ICカードの制作コストが低くなったこと、これが開発の一番のきっかけです。ICカードを利用するのメリットは、ICカードを入れるだけで情報を送受信できることです。たとえば、会員制ネットワークでの個人認証が容易に行なえるようになります。また、ただのカードと違いICを内蔵しているので、データの暗号化なども行なえます。今後、インターネットは、個人の楽しみとして利用されるだけでなく、顧客からのデータを利用した、企業のマーケティングの手段としても利用できるようになるのです。このシステムは、対人ネットワーク環境の変革をもたらすと期待します」。そして、カードを利用して行なえるインターネット利用の例として、「通販を行なうときの個人認証をカードで行なう。特定のサイトへのアクセスに利用する。病院でのカルテの取り出し、医薬品管理など、広範囲なマーケット用途があるのではないかと考えています」と続けた。

 なお、個人情報などを転送する際に使用される暗号は、DES(Data Encryption Standard)方式が採用されている。DESを数回かけることで信頼性を高めているという。

 同時に、“ICMS(ICカード・マネジメント・システム)”の紹介も行なった。これは、企業向けに、ICカードから集められた情報管理と提供を行なうシステムで、同社のサーバーでデータを管理する。顧客となる企業はそのサーバーへアクセスすることでサービスを利用できるというもの。価格は100万円。

 製品の販売について鈴木氏は、「店頭販売も行ないますが、今までの実績からいうと、店頭販売での顧客確保はあまり期待できません。そこで、通信販売会社やプロバイダーと契約を行ない、それらの会社が顧客に対してサービスと共に弊社の製品を提供するという形をとるつもりです。たとえば、通信販売の企業がカタログ発刊を行なうかわりに、1cdiとメモリカードを顧客に提供して、顧客は通信販売用の端末としてこれらを使用します。これらによって、パソコンを使ったことが無いようなユーザー層へのインターネット浸透率の向上を期待しています」と述べた。加えて、通信販売業者の(株)ニッセンと契約を結んでおり、実際に通販用端末としての利用が進められているとアピールした。

前面に差さっているのがICカード
前面に差さっているのがICカード



 最後に、TA内蔵型の1cdiを使用したデモが行なわれた。本体に電話線とビデオケーブルを接続し電源を入れる。電源の投入と同時にプロバイダーへのアクセスが始まり、電源投入後、約20秒程度でネットサーフィンできる状態になった。デモ用の通信販売サイトへ行き商品を購入する。購入を選択後、画面に「カードを挿入してください」というメッセージが表示され、ICカードを挿入すると、個人認証画面に移動し自動的に支払いが完了した。簡単さをアピールするには効果的なデモであった。

 製品のスペックは次のとおり。メモリー(8~32MB)、ICカード用スロット×1、シリアルポート×1、パラレルポート×1、PS/2ポート(キーボード、マウス用)×1、ビデオ出力端子×1、音声出力端子(ステレオ)、S端子×1、音声入力端子×1。また、D-sub15ピンのディスプレイ端子もあり、外部CRTに繋ぐと最高1024×768ドットの表示が可能となる。オプションでワイヤレスキーボードの販売などもおこなう。

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