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“COM JAPAN 1998”開幕

1998年11月10日 00時00分更新

文● 報道局 浅野広明

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 情報通信関連のイベント“COM JAPAN 1998”が、東京ビッグサイトで開幕した。351社による展示、およびカンファレンスが行なわれた。会期は13日までで、入場は無料。

ひしめき合う通信方式

 まず、目を引くのが今月から全世界でサービスを開始した衛星携帯電話サービス“イリジウム”だ。66機の衛星により世界のどんな場所からも携帯電話で通話できるという画期的なサービス。同サービスを運営する日本イリジウム(株)や、端末を提供している京セラ(株)が関連製品を出展した。ただ、端末には強力なアンテナが必要で、かなり大きくなっている。またオーブコムジャパン(株)でも、'99年1月に36機の通信衛星を利用した通信サービスを開始するとアピールしていた。

イリジウム端末。価格は37万円から。まだ量がさばける段階にいたっていないので、端末を生産しているのは、モトローラと京セラだけだ イリジウム端末。価格は37万円から。まだ量がさばける段階にいたっていないので、端末を生産しているのは、モトローラと京セラだけだ



イリジウム対応ページャーもある。価格は9万円から
イリジウム対応ページャーもある。価格は9万円から



イリジウム端末用のソーラーチャージャーセット。価格は9万4400円。これでTVCMのように、砂漠の真ん中からでも通話が可能になるわけだ
イリジウム端末用のソーラーチャージャーセット。価格は9万4400円。これでTVCMのように、砂漠の真ん中からでも通話が可能になるわけだ



 また、NTT移動通信網(株)(NTTドコモ)やノキア・モービル・コミュニケーション(株)はW-CDMAを、DDIセルラーグループや日本移動通信(株)(IDO)はcdmaOneを、次世代移動体通信方式の国際標準として、それぞれアピールしていた。W-CDMAは欧州で、cdmaOneは米国で商用化が進められているが、同じ方式を採用する地域で同じ端末が利用できるため、両陣営とも規格の詰め、実証実験、各方面へのアピールに余念がない。なお、次世代移動体通信方式は現在標準化の真っ最中で、多分に政治的な思惑も絡みつつ来年にも策定される予定だ。

IDOのブースでは、7月に商業化を開始したcdmaOneによる通話が視聴できる。なお、NTTドコモのブースでも10月からW-CDMAの屋外実験を行なっていると述べていた
IDOのブースでは、7月に商業化を開始したcdmaOneによる通話が視聴できる。なお、NTTドコモのブースでも10月からW-CDMAの屋外実験を行なっていると述べていた



 NTTドコモのブースでは、そのほかにも目新しいデモを行なっていた。ひとつは、64Kbpsのデータ転送に対応した“PIAFS2.0”のデモで、インターネット・アクセス・フォーラム事務局のブースでも同様のデモが行なわれていた。これは現在の32Kbps対応PIAFSのデータクロック周波数を2倍にした方式で、標準化は完了しているため、後はキャリアの採用待ちなのだという。もうひとつは、来月にも標準化が予定されている動画圧縮方式“MPEG-4”のデモ。352×288ドットの動画を毎秒15フレームで表示するMPEG-4伝送システムが実演されていた。(株)東芝も、PHSを通じてのMPEG-4ビデオ転送や、MPEG-4ビデオコーデックLSIを展示していた。

東芝が参考出展したMPEG-4テレビ電話(写真右)。PHSでMPEG-4ビデオを転送し、中央のモニターに毎秒10フレームの速度で表示している。解像度は低いがフレームレートは速いモード、あるいはその逆のモードが選択できるのもMPEG-4の特徴である
東芝が参考出展したMPEG-4テレビ電話(写真右)。PHSでMPEG-4ビデオを転送し、中央のモニターに毎秒10フレームの速度で表示している。解像度は低いがフレームレートは速いモード、あるいはその逆のモードが選択できるのもMPEG-4の特徴である



ICカード関連展示も続々

 ICカードによる決済は今後ますます増えるだろう。関連展示も目立っていた。(株)NTTデータのブースでは、'99年1月に本格運用に入る“デビットカード”を実演してくれる。日本電気(株)やオムロン(株)、日通工(株)のデビットカード対応POS端末が展示されている。日本デビットカード推進協議会に参加するすべての金融機関のキャッシュカードを用いて、コンビニエンスストアやデパート、ガソリンスタンドなどで買い物ができるという。そのほかNTTデータは、非接触型ICカードを利用した改札機や、接触型ICカードを利用した自動販売機も参考出展し、その利便性をアピールしていた。

ICカードをかざすだけで、自動的に料金を差し引く。財布に入ったままでも利用できるという。なお、同様のシステムはすでに都営12号線で試験運用されている
ICカードをかざすだけで、自動的に料金を差し引く。財布に入ったままでも利用できるという。なお、同様のシステムはすでに都営12号線で試験運用されている



アンリツ(株)も、'99年4月に新宿で行なわれる電子商取引実験に使われるICカードターミナルを展示した。左は営業店用のPOS端末で、右は顧客がパスワードを入力するのに使う端末
アンリツ(株)も、'99年4月に新宿で行なわれる電子商取引実験に使われるICカードターミナルを展示した。左は営業店用のPOS端末で、右は顧客がパスワードを入力するのに使う端末



ユニークな展示をピックアップ

 最後に、気になった製品群を取り上げる。

写真(1)写真(1)



写真(2)写真(2)



写真(3)写真(3)


ノキアのブースで見た、PHS一体型PDA(写真(1)と(2)。PHSを開けばPDAに)と赤外線通信対応の携帯電話(写真(3))。前者は発売時期未定だが、後者は'99年第1四半期に発売するという

富士通は、ソニーと共同開発した1.3GB容量のMO“GIGAMO”を参考出展した。上がMOドライブで、下がMOメディア
富士通は、ソニーと共同開発した1.3GB容量のMO“GIGAMO”を参考出展した。上がMOドライブで、下がMOメディア



日立製作所はスケルトンタイプの『FLORA』を参考出展した。スケルトン製品を展示している企業は、今イベントでも多かった
日立製作所はスケルトンタイプの『FLORA』を参考出展した。スケルトン製品を展示している企業は、今イベントでも多かった



MMAC推進協議会ブースでは、IEEE1394を無線化する“ワイヤレス1394”を展示していた。現在仕様を検討中で、標準化は2000年ころになるとのこと
MMAC推進協議会ブースでは、IEEE1394を無線化する“ワイヤレス1394”を展示していた。現在仕様を検討中で、標準化は2000年ころになるとのこと

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