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デジタルパブリッシングの祭典“Seybold Seminars Tokyo”開幕

1998年10月21日 00時00分更新

文● 報道局 浅野広明

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 デジタルパブリッシングの祭典“Seybold Seminars Tokyo / Publishing 98”が、東京・池袋サンシャインシティにて開幕した。米国では20年以上の歴史を持つイベントだが、Seybold Seminars Tokyoは今年で3回目。本日から23日までの3日間、開催される。

アップルの原田社長、ジェフ・マーティン氏が基調講演

 

左:原田永幸・アップルコンピュータ(株)代表取締役社長 右:ジェフ・マーティン・米国本社マーケティング本部デザイン&パブリッシング シニアディレクター 左:原田永幸・アップルコンピュータ(株)代表取締役社長 右:ジェフ・マーティン・米国本社マーケティング本部デザイン&パブリッシング シニアディレクター



 基調講演には、アップルコンピュータの原田永幸氏、ジェフ・マーティン氏の両氏が招かれた。話題の中心は、やはり4日前に発売されたばかりの『Mac OS 8.5』。原田氏は、同ソフトの目玉機能でもある、自然言語による検索が可能な“Sharlock”について、次世代コンピューターのパラダイムを先取りする機能として紹介した。

 Sharlockについては、インターネット検索のデモも実演された。Sharlockでは、Webブラウザーを立ち上げることなく、デフォルトでAltaVista、Excite、Lycos、Infoseek4種類の日本語版検索エンジンに同時アクセスできる。デモでは、「東京タワーの高さは」、「パイロットになるには」など、自然言語による検索を実演。これらの意味を認識し、関連性の高いサイトから順番に表示するなど、Sharlockの実用性がアピールされた。

 マーティン氏は、Mac OS 8.5におけるその他の強化点を説明。そのうち、パブリッシングに最も関連深いのが、カラーマネジメントシステム“ColorSync”のバージョンアップだ。この分野ではディスプレー上の色と、印刷イメージの違いをどれだけ少なくできるかが勝負となり、米アップル社でもこれまでにない数の技術者を投入しているのだという。

「コカコーラの“赤”など、米国では“色”が商標権を獲得できるようになった。今後Webコマースの規模が増加するにつれ、色の正確な表示が望まれてくるはず」とマーティン氏。また、ビル・ゲイツのデジタル画像販売会社CorbisがColorSyncを採用している、というエピソードも紹介した。

『Illustrator 8.0』、『Quark Publishing System』日本語版、注目の製品群

 そのColorSyncであるが、今回展示会場には、“ColorSyncパビリオン”が設けられ、各社が対応製品を並べている。凸版印刷(株)は、ディスプレー、プリンター、スキャナー、デジタルカメラなど周辺機器間の色補正を行なうキット『CS-Sharpenerバージョン2.0』を出展していた。色補正ソフト、機器ごとの色特性を抽出するソフト、企業内のプリンターで印刷工場の色を再現するソフト、測色器などがセットになっている。12月1日発売予定で、価格は前バージョンから据え置きの13万円。



 注目度から言えば、アドビシステムズ(株)の『Illustrator 8.0』がかなり高いようだ。ブラシ機能の追加による表現力の向上、ショートカット機能の改良による操作性の向上などが図られており、発売予定は11月27日。価格は12万円。今や遅しと発売を待ち受けるユーザーが、デモを見、実際に自分で製品を試していた。



 また、クォークジャパン(株)のブースでは、『Quark Publishing System』日本語版を公開していた。これは、編集、デザイン、広告、進行管理など出版における各部門が、DTPソフト『QuarkXpress』のファイルを共有、管理できるシステム。ワークフロー管理ソフト、データベース管理ソフトなど、QuarkXpressを含め7本のソフトから構成される。英語版はすでに発売されているが、日本語版は、'99年第2四半期の発売をめどに開発中で、一般公開は今回が初という。



 そのほか、DTPソフトの新製品としては、住友金属システム開発(株)が11月末に発売するという『エディカラー3.0』が展示されていた。ユーザーインターフェースを改良し、他社製DTPソフトとの親和性を高めたほか、約400書体のPostScriptフォントへの対応、校正支援機能などテキスト関連機能を強化したという。価格はMacintosh版が18万8000円、Windows版が14万8000円。

 アップルのブースでは、iMacにMac OS 8.5を搭載し、自由に触れられるようにしていた。パブリッシングがメインのイベントではあるが、Mac OS 8.5が他を圧倒していた感がある。

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