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“ブックオンデマンド構想”、いよいよ始動へ―“電子書籍コンソーシアム”が設立を発表

1998年09月11日 00時00分更新

文● 報道局 白神貴司

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 “ブックオンデマンド構想”が、いよいよ始動する。これまで同構想を運営してきた“電子書籍コンソーシアム設立準備会”が、本格実験の開始を1年後に控え、正式にコンソーシアムの設立を発表した。設立総会は10月2日の予定。

 “ブックオンデマンド構想”は、衛星と携帯型液晶端末とによる電子書籍配信の仕組み。店舗などに設置した“情報端末”(受信ステーション)経由で、読みたい書籍を衛星から形態液晶端末にダウンロードして閲覧する。記憶メディアは未定だが、現在のところ、高密度MD(ミニディスク)が有力視されている。液晶ディスプレーには文庫本のルビもはっきりと表示できるモノクロ高精細のものを用いる。見開き型なので、実際に本を開いているような感覚が味わえるという。



 今後は、コンソーシアム内の各部会で“ブックオンデマンド構想”実現の、詳細仕様を詰めていく。現在、準備会では、コンソーシアムの組織体制の仮の案を提案している。想定しているのは、

(1)編集システムの標準化などを検討する“電子化部会”、

(2)著作権にかかわるシステムの標準化などを検討する“著作権部会”、

(3)書籍データベース、配信手順の標準化などを検討する“電子配信部会”、

(4)書籍検索、認証課金決済の標準化などを検討する“検索・課金部会”、

(5)携帯型液晶端末の基本性能や、メディアの標準化などを検討する“読書端末部会”

--の5部会(いずれも仮称)。この上に、コンソーシアム全体の調整や、会長、副会長の選出などを行なう“幹事会”を、また、事務局としてコンソーシアムの運営維持や、会計、各種活動の立案・まとめを行なう“オペレーションオフィス”を設置する。全体会議として“総会”を設置し、会計や各部会の活動報告を承認したりする。

 準備会では書籍配信の仕組みについても草案を練っている(部署名はいずれも仮称)。まず書籍は、出版社から“コンテンツ制作センター”へ納品され、スキャンされる。それを書誌情報と一緒に“配信センター”のサーバーへデータベースとして蓄積する。“配信ネットワーク”が、コンビニや書店などに設置された、情報端末に、通信衛星を経由して配信する。ユーザーはこの情報端末から、各自の携帯型液晶端末に、読みたい書籍のデータをダウンロードする。この配信システムのプレ実験の開始は、'99年5月から、本格実験が10月からとなる。

 正式には10月2日の総会を経て、運営体制や方針が決められる。会見の席上、鈴木氏は、「コンソーシアムの枠組みを、準備会で決めてしまうことは極力避けるようにしてきた。これから、たくさんの企業やメーカーに積極的に参加してもらい、その議論のなかで、決めていきたい」との立場を強調した(8月7日のASCII24のインタビュー[末記参照]との重複が多いので詳細は省略。



 準備会の発起人代表の(株)オーム社の佐藤政次社長は、「衛星を使って書籍を配信するという、まったく新しい試みで、問題は山ほどある。これを解決するため、できるだけ多くの出版社、メーカーの協力を求めたい」と語った。

 コンソーシアムへの参加は有料。10月2日の設立総会までに参加を表明すれば、1企業あたり50万円、総会翌日から12月31日までは80万円などとなっている。

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