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【INTERVIEW】障害者のオアシスになるホームページ“ノーマネット”とは

1998年08月21日 00時00分更新

文● 報道局 降旗敦子

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 (財)日本障害者リハビリテーション協会は、視覚、聴覚、身体障害のみならず精神、知的と広い領域における障害者のリハビリテーション事業を行なっている。同協会で企画・情報部長、情報センター長、国際部長を務めているのが、今回お話を伺った河村宏氏である。「情報の世界で、障害者がネットワークを作り、楽しんで欲しい」と同氏は語る。果たして、情報化と国際化の風を障害者の生活に吹き込めるのか。現在、製作中のシステムや同協会の提供するホームページを中心に話をお聞きした。



----協会で障害者の方に提供している“ノーマネット”というホームページがありますね。

 「障害者自身の情報を交換する場所を提供しようと、'96年9月から障害者情報ネットワーク“ノーマネット”を始めました。パソコン通信とインターネットを使って、現在約300の障害者団体、支援団体が全国的に交流をしています。
 その中で私どもは、パソコンの貸し出し、ホームページでのスペース、IDの貸し出しなどを行なっています。パソコン通信でスタートしたため、マルチメディアへの対応はなかなか難しかったのですが、今年度中にインターネット中心に移行する予定です。実際、パソコン通信は、文字しか表示されないので魅力が薄いし、ワンステップずつコマンドをたどっていくのが面倒な作業となっています。アクセシビリティーを考えたホームページにするのはもちろん、GUIの部分も充実させていきたいですね」

----GUIに関わってこない視覚障害者の方には何かサポートを行なうのでしょうか。

 「現在こちらでは、完全な音声出力ブラウザーを開発中です。今までは、あるがままの画面を読んでいくというソフトを使用していました。しかし、今回開発中のブラウザーは、まったく逆の発想で、視覚障害者がアクセスできる情報だけに限定して、画面に絵は出ません。代わりに、絵の説明時に関連したURLを表示する“Longdesc”(ロングデスク)という新機能やaltテキストが画面に出るようになっています。名称はまだ未定ですが、私たちの間では、コードネームで“sigtuna”(シグツナ)と呼んでいます。10月にはリリースし、無償のダウンロードを可能にする予定です」

----今後も障害者の情報面と国際面の事業に携わっていかれると思いますが、この二つがうまく結びつくといいですね。

 「国際化という面では、デジタル音声情報システム“daisy”という国際共同開発に取り組んでいます。日本、スウェーデン、イギリスの3ヵ国が中心となって'95年にスタートしました。現在は11ヵ国が参加して、録音図書の国際標準化したシステムを開発しています。この“daisy”を国際協力事業として、発展途上国に普及させていこうと考えています。
 今後、障害者の世界を広げる手段となるコンテンツやネットワーク作りに励んでいきたいですね」

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