プロサイド(株)は、米Chromatic Research社のDSP(Digital Signal Processor=デジタル信号処理チップ)『Mpact2』を搭載したメディアボード『Trinosaur(トリノソア)』シリーズを販売している。『Trinosaur』について、同社の開発営業グループマネージャー、椎名晋大郎氏にお話を伺った。
『Mpact2』は、マルチメディア関連のインターフェース機能を一つのLSIに集約し、アダプターカードの増設なしにマルチメディア機能が実現できる。また、DSPプログラム群とWindows95用のドライバーから構成されるソフト、“MediaWare”の書き換えで、さまざまなマルチメディア機能を追加できる。
『Trinosaur』 |
『Mpact2』のチップは、(株)東芝、韓国のLucky Gold Star社、フランスのSGSトムソン社などが、Chromatic
Research社のライセンス供与を受け、製造している。PC/AT互換機用ドライバーの開発はChromatic
Research社が行なっている。
出荷台数は累積で4ケタ
----プロサイドでは、『Mpact2』を採用したマルチメディアボード、『Trinosaur』を出されていますね。「はい。7月下旬には上位モデルの『Trinosaur+(トリノソアプラス)』を出荷する予定です。このボードは、従来モデルの2D/3Dのグラフィック機能、DVD機能に加え、今回からサウンド機能を備えています。AGPまたはPCIバスに対応し、Rambusメモリーを8MB積んだモデルを、3万円前後から3万円台前半で提供する予定です」
----『Trinosaur』の売れ行きはどうですか。
「現行機種の出荷台数は累積4ケタに達しています。『Trinosaur+』は、引き合いのあるいろいろな話がまとまったなら、毎月数千枚の出荷が可能かもしれません」
----国内での販路はどうするのですか。
「今までは、直販のみでした。ボード本体を販売するほか、弊社のショップブランドPCに組み込んだりもしてきました。7月上旬からは、関東電子(株)をディーラーとして、PCショップにも卸していくつもりです」
----海外展開の予定などはありますか。
「北米市場では、'97年の春から、兼松(株)と提携してマーケティングを行なっています。ニューヨークで行なわれた“PC EXPO”では、ブースの脇の30人ほどのデモ会場が常に満席だったという報告を受けています」
プロサイドの椎名晋大郎氏 |
低コスト、コンパクトな設計が可能
----用途はどんなものをお考えですか。「日本パーソナルコンピューター(株)のDVD-RAMドライブと『Trinosaur』シリーズがセットとなったキットが販売されます。また、出荷時からマルチメディア機能を取り込んだ1000ドルパソコンや、ビデオ・オン・デマンドのクライアント側パソコンとしての利用が有望です。また、米国市場ではホテルやレストランの店頭で街の案内などを流す、キオスク端末への組み込み用途もねらっていきたいと思います」
----競合製品としてはどんなものをお考えですか。
「現在のところ、国内ではあまりありません。『Trinosaur』を、他の3Dグラフィックボードと比較するユーザーが多いようですが、他の特徴も見ていただきたいと思います。例えば、『Trinosaur+』と同様の機能を実現しようと思った場合、グラフィックボードの他に、DVD専用デコーダーボード、サウンドボード、ビデオキャプチャーボードなどが必要になります。PCIなどのスロットもドライバーもボードの数だけ必要になります」
「『Trinosaur』なら占有するスロット、インストールするドライバーやIRQの消費はひとつで済みますし、DVDデコーダーとグラフィックカードの相性の心配もありません。低コスト、コンパクトな設計が可能です」
MMX Pentium-166MHzでも、コマ落ちしない
----DVDの画質面ではどうですか。「動画関連ボードの性能は、一時停止した時の画面でわかります。デジタルクリエーターを養成する、ある専門学校では、ポーズ画面のゆれやブロックノイズが極端に少ないと、教師の皆さんの高い評価をいただきました」
「また、品質が高く、再生のための計算量が多い国産DVDタイトルでは、PentiumII-400MHzと64MBのメモリーを搭載したマシンでも、コマ落ちが生じることがあります。それに対して、『Trinosaur』を使った場合は、MMX Pentium-166MHz程度のマシンでも、コマ落ちなく再生できます」
----最後に『Mpact2』の今後の展開について教えてください
「米Chromatic Research社では、V.90に対応した56Kモデム用のドライバーを開発しています。プロサイドでは、それをうけて、モデム機能を搭載したマルチメディアボードを提供していきたいと考えています」
(報道局 中野 潔、小林 久)
・プロサイド(株)
http://www.proside.co.jp/
・米Chromatic Research社
http://www.chromatic.com/