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ソフトウェア権利保護3団体が、合同で記者説明会を実施

1998年06月10日 00時00分更新

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 (社)日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会、(社)コンピュータソフトウェア著作権協会、米ビシネス ソフトウェア アライアンス(BSA)のソフトウェア権利保護3団体が、合同で記者説明会を実施した。BSAがまとめたレポート“パッケージ・ソフトウェア産業が日本経済発展に果たす役割”と、3団体が共同でまとめた“違法コピーに関する意識調査分析結果レポート”の発表や、コンサルタントの大前研一氏の講演のほか、成毛真マイクロソフト(株)社長らが出席し、「著作権意識の普及」を呼びかけた。



 コンサルタントの大前研一氏は、かつては自身もアメリカの原書の海賊版を読んで学んだことを例に挙げ、「著作権に関して、発展途上国と先進国とを同じ条件で拘束する必要はなく、経済成長を遂げた国にだけ厳しくすれば良いのではないか」という意見を述べた。そして、コンピューターのソフトについては、「最初はタダでお試しソフトを配り、ある時期が来るとお金を請求するような、ソフト業界の慣習はやめるべき。1杯目のお酒はタダだが、2杯目は5万円をとる暴力バーのようなもので、気持ちのいいものではない。日本人の著作権意識が低いのは、シェアをとるという営業政策のために、あたかも著作権がタダであるかのように振る舞うソフト業界にも責任の一端がある」と、一部のソフト業者の商慣習を批判した。

 “パッケージ・ソフトウェア産業が日本経済発展に果たす役割”と“違法コピーに関する意識調査分析結果レポート”のふたつのレポートの発表に続いて、各団体の副会長や理事などを務めている、ソフトメーカー各社の社長が挨拶を行なった。出席したのは、浮川和宣(株)ジャストシステム社長、原田永幸アップルコンピュータ(株)社長、成毛真マイクロソフト(株)社長、荒井孝行(株)ベントレー・システムズ社長の5人。



 この中で、成毛真マイクロソフト社長は、「“ソフトの価格が高いから、違法コピーが発生する”という議論が過去何度もされてきたが、10年前に10万円近かったワープロソフトも、いまは5万円にまで下がってきている。もはや、“価格が高いから”というのは、違法コピーの理由にならないと思う。また、ゲームも含めれば日本のソフト産業は、ハリウッドに匹敵する規模に成長している。ゲーム業界で顕著になっている、海外の違法コピー問題に対処するには、まず、国内の違法コピーをなくすことが必要だろう。そのためには、自らの利益のために確信犯的に違法コピーを行なう者に対しては、断固として、刑事、民事の訴訟を起こす」と述べた。また、大前氏の「はじめは無料でソフトを配布しておいて、あとから有償にするのはやめるべき」との主張に対しては、「当社は、ブラウザーを無償で配布しているが、あとから有償にした訳ではない。あとから有償にしたのは、当社ではない。ずっと無償なら問題はない。たとえば、かつて16万円したTCP/IPのドライバーも、今では無償で配布されている。技術の進歩によって、古くなった技術が無償になっても、問題はないはずだ」と述べた。

(報道局 佐藤和彦)

・(社)日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会
 http://www.jpsa.or.jp/

・(社)コンピュータソフトウェア著作権協会
 問い合わせ:TEL.03-5976-5175

・ビシネス ソフトウェア アライアンス
 http://www.bsa.org/

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