米プーマ・テクノロジー社は、4月に初の海外支社となる日本支社を設立した。社名は、プーマ・テクノロジー(株)。資本金は1000万円。今回、代表取締役社長の荒井真成氏に、日本での経営方針などについて伺った。
米サンノゼに本社を置くプーマ・テクノロジーは、'93年に設立され、従業員は約170名。赤外線通信技術を利用してPC間のファイル転送を行なうソフト『TranXit』が第1号製品で、現在は、データシンクロ(同期)ソフト『Intellisync』シリーズを主力製品として販売している。
荒井真成氏。米国本社副社長を兼任し、「滞在は日米半々くらいになるでしょう」。'96年にプーマに入社する前は、日本IBMでThinkPadの製品企画などを担当していた。現在社員は荒井氏ひとりだが、7月に取締役営業本部長の入社が決定している。 |
----日本では、Intellisyncシリーズの販売が中心ということになりますか。
「そうですね。これまで日本では、PalmPilotなどにバンドルされたケースでしかIntellisyncを入手できませんでした。今回の日本法人設立により、デバイスメーカーへのOEM供給だけでなく、パッケージ販売、“PUMAダイレクト”(TEL.048-226-5508)と呼ばれる直販体制、企業への一括販売にも力を入れたいと考えています。Intellisyncをシンクロソフトのデファクトスタンダードとして確立させたいですね」
「Intellisyncは、日本においては認知度が低いですが、プーマのOEM供給の約半分は日本企業に行なっているのが実状です」
----『Intellisync』日本語版(シリーズ4製品)のパッケージ販売を発表されましたが、その概要は。
「パソコンのアプリケーションと、PDA、WindowsCE機などのデバイスとの間で、PIM(個人情報管理)などのデータをシンクロさせるというのが基本コンセプトです。ボタンひとつで双方の更新情報をお互いに反映させられます。また、今回発表した『Intellisync
for Notebooks』のように、デバイスによっては赤外線通信機能をサポートし、ワイヤレス操作が行なえます」
----英語版では、どのようなデバイス、またはパソコン側のアプリケーションをサポートしているのでしょうか。
「'96年秋にPalmPilot対応版を発売したのが最初で、現在ではデバイスとしてWindowsCE、HP
200LXなど9種類、アプリケーションとしてロータス・オーガナイザーやOutlookなど15種類をサポートしています」
「Intellisyncには、プーマが開発した“DSXテクノロジー”というシンクロ技術が採用されています。これは、設計思想の異なる複数のデータベースを、共通化された独自フォーマットに変換した上でシンクロさせるというものです。つまり、新たなデバイス、新たなアプリケーションが出てきても、そのフォーマットに変換するトランスレーターだけを開発すれば、これまでに開発したあらゆるデバイスとのシンクロが行なえるわけです。また、開発期間も短かくて済みます」
----デバイスの開発段階から、メーカーと提携しているわけですか。
「はい。米国では基本的に、開発段階でメーカーとOEM契約を結び、デバイスのリリースと同時に、バンドルするなりパッケージソフトとして販売しており、日本でも同様の方針を採っています」
----今後の製品展開は。
「今秋のリリースに向け、大物であるザウルスの対応版を開発中です。また、アプリケーションではノーツ、パーソナルノーツ、Exchangeなどグループウェアへのサポートを進めており、今秋から順次出荷する予定です。現在いくつかのデバイスを抱えていますが、トレンドとしては、携帯電話にPIM機能が付いたものが多いですね」
「将来的には、インターネットやダイヤルアップ接続を利用してシンクロが行なえるソフトもリリースしたいと考えています。IrMC(携帯電話に対応した赤外線通信規格)やBluetooth(短距離無線通信規格)にも魅力を感じていますね。売上目標は2、3年で20億円。企業に対する直販がキーになると見ています」
(報道局 浅野広明)
http://www.pumatech.com/jp/