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【E3リポート Vol.2 Plus】「MS Fighter Ace」をOEMするVR-1社、Yukishi Asano氏インタビュー(聞き手:船田戦闘機)

1998年06月01日 00時00分更新

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―VR-1(www.vr1.com)には120人も社員がいらっしゃるんですね?

Yukishi Asano(以下、YA):はい。コロラドのヘッドクォータに40人、トロントに40人、そしてロシアのセントペテルスブルグに40人います。

―なぜセントペテルスブルグなんですか?

YA:グラフィクスの制作はコストがかかるんですが、あちらは人件費がだいぶ安いんです。

―VR-1の出世作は去年、Microsoft's Internet Gaming Zone(MS Zone)で最初の有料サービスとなった、マルチプレイヤーフライトシミュレータの「Microsoft Fighter Ace」(http://www.zone.com/zonepromo/tbltpromo.asp)ですが、現在のアクティブなユーザ数は何人くらいなのでしょうか?

YA:同時アクセス可能な人数ということならば150人で、毎日のピーク時には約100人程度がプレイしています。登録しているユーザ数についてはサービスの提供者であるMicrosoftでないとわからないです。

―Fighter AceにおけるMS ZoneとVR-1の関係というのはどう考えるのが正確なんでしょうか?

YA:VR-1がMicrosoftにOEM提供しているというのが契約上は一番正確だと思います。


VR-1がMicrosoftにOEM供給する「Microsoft Fighter Ace」。第二次大戦を舞台とするマルチプレイヤー・オンライン・フライトコンバットゲーム。1個の空戦領域あたり100プレイヤーまでサポート。3Dグラフィックスはもちろん、ステレオ効果音もあり。

―いまVR-1がプロモーションに力を入れているタイトルはなんでしょうか?

YA:現在MS Zoneでベータテスト中の「UltraCorps」です。テストの期間は1クール1ヶ月で、現在1クール目のテストを行っているところです(注:UltraCorpsはターン制の宇宙植民ゲーム。1日1ターンまたは2ターンのペースで進行し、最大8000人のユーザが参加できる)。

―ドイツ、イギリス、韓国など世界各地でサービスが準備されているようですが、日本での展開はどうなっているのでしょうか?

YA:So-netを運営するソニー・コミュニケーション・ネットワーク(SCN)にはVR-1が提唱するインターネットサービスプロバイダの連合(alliance)に参加していただいています。SCNは公式にはVR-1の取り組みを「支持する」という立場です。

―具体的な展開はまだ未定だが、So-netとコンタクトをとっているということですね。VR-1はゲームタイトルだけでなく、「Conductor」と呼ばれる製品も提供していますが、これはどういったものなんでしょうか?

YA:プロバイダがFighter Aceのようなサービスを始める際、VR-1はクライアントプログラムだけでなく専用のサーバーソフトウェアも提供する必要があります。また、課金を行う場合は、そのサーバーがプロバイダのデータベースと情報をやりとりする仕組みも不可欠です。そうした仕組みを実現するクライアントサーバー環境がConductorです。

―プロバイダごとに課金システムは違うと思うのですが、各社のシステムに合わせて、Conductorをベースにカスタマイズするということでしょうか?

YA:はい、そうです。VR-1はゲームの部門だけでなく、そうしたインターネットを使ったビジネスアプリケーションも手がけていて、そういった技術をすでに持っています。

―最後に、ネットワークゲーム業界というのがもしあるとしたら、その課題はなんでしょうか?

YA:まだ業界と呼べるものはないと思いますが、ネットワークゲームビジネスの課題ということならば、アプローチの仕方が両極端に偏っていることが課題だと思います。つまり、「Ultima Online」(http://www.origin.ea.com/)のようにゲームデザインが最優先になっている場合と、プロバイダが提供しているゲームコンテンツのように帯域やサーバーのキャパシティの都合が優先になっている場合のどちらかに偏っているんですね。個人的にはUltima Onlineのようなゲームが理想なんですが、いまのインターネットでは負荷が大きく重くなってしまいます。かといってプロバイダやインターネットの都合だけ考えていたのでは、遊んで満足できるゲームは作れないでしょう。ゲームデザインとネットワークの制約のバランスを取ったコンテンツ作りが求められていると思います。

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