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【INTERVIEW】コンパック、「企業向けPCではWindows98よりもNT5.0に期待しています」

1998年04月16日 00時00分更新

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 コンパックコンピュータ(株)は15日、企業向けのデスクトップパソコン『DESKPRO』シリーズのニューモデルを発表した。CeleronプロセッサーやPentiumII-350/400MHzといった新しいCPUが搭載された一方で、'98年はWindows関連の新OSの発表が続いていくが、同社では、企業向けPCにはWindows98よりも、年末にも発表が噂されているWindowsNT5.0のほうに期待しているという。同社製品・マーケティング統轄本部の平松進也氏にお話を伺った。

----今回の新製品のポイントは?

 「一番大きなポイントは、インテル製のCPUを搭載したモデルを一番先に出すということですね。これはコンパックの今年のポリシーとしています。昨年は、多少ビジネス上の判断をしてからということで、新しい製品を一番先に出すということをしていませんでした。在庫と生産の数を調整しながらという感じでしたね。今年は他社に先駆けて新製品を先に出していこうと思っています」

----昨年と方針を変えた理由は?

 「ひとつに、インテルやマイクロソフトとのリレーションをもう一度再構築しようということがあります。インテルにしても大企業になりましたから、コンパックとだけではなくて、いろいろな企業とついたり離れたりしていますよね。マイクロソフトにしてもそうです。それぞれに、ベースでのつきあいはありますが、とは言っても、両社の主力になっている製品でどのパートナーを選んで、デザイン、ファンクション、テストなどをどことやっていくか。両社としても、密接なパートナーを1社選ばなくてはなりません。その点で、コンパックは最重要パートナーの1社であり続けるということを再認識しましょうと。お互いにとって最重要パートナーであるためには、かなり深いところから、両社のデザインやコンセプトを理解しなければなりませんし、コンパックの製品にも両社のコンセプトを取り入れた上で、一番最初にマーケットに出していく必要があります」

----今回はすべてP6ベースの製品ですが、これからもインテル製のCPUを採用していくのですか?

 「インテル以外のCPUを採用する最大の理由は価格だと思うんですよね。米国では1000ドルPCとかサブ1000ドルPCを作っていく上で、(インテルブランド以外の安いCPUが)重要なコンポーネントだったということです。ただし、企業向けPCに関して言うと、コンシューマー向け製品ほどに、1000ドルPCに対する圧力というのがそれほど大きくないんですよ」

----では、その1000ドルPCについてのコンパックの考えは?

 「薄利多売という商売はビジネス向けではある程度仕方がないところなんです。しかし、コンパックの場合は次のように考えています。きちんと製品のなかでコストダウンをしていかないと、売値だけを1000ドルに合わせていっても長続きしません。製造コストが下がらないまま低価格にするということも戦略上はあります。それにより、一時的な売上は伸びますが、大きな赤字も出ます。これは体力がない企業なら何年も続けられません。体力があるところでも、ビジネスとして成り立たなくなってしまいます。1000ドルという“価格”から考えてしまうと非常に危険ですね。特にコンパックの場合は、PCの中だけで利益を出していかなければいけませんから」

----企業向けとして見た場合のWindows98はどう考えてますか?

 「本来のコンセプトから考えてみると、ほとんど(企業向けには)関係ないんですね。また、企業ユーザーがWindows98に飛びつくとも思えません」

----Windows95が登場したときに、企業ユーザーはWindows3.1を使い続けるということがありましたが、今回のWindows98でも同じことがあると思いますか?

 「ありますね。アーキテクチャーやOSが変わっていくときは、かなり慎重に考えなければいけません。いろいろなトラブルが考えられますから。OSそのものが変わっていくことも当然ありますが、企業ユーザーが嫌がるのはいろんな環境が混在することなんです。Windows95用に作られたメンテナンスやアプリケーションなどの検証をWindows98上でも確認しなければいけませんからね。むしろ、Windows95とWindows98が混在する嫌悪感よりは、Windows3.1からWindows98への移行のほうがそれほど抵抗はないと思うんですよ。。コンパックとしても、Windows98の発売後1年間ぐらいはWindows95についてのサポートを行なっていかなければならないと考えています。早ければ年末には出てくるWindowsNT5.0。むしろ、こちらへの期待のほうが大きいですね」

----その理由は?

 「企業で使っていくOSとしては、Windows95のアーキテクチャーは長くないと考えています。確かにWindows98はコンシューマーには必要だし、ビジネスとしては、盛り上がりでの相乗効果が期待されますからね。ただ、長い目で見ればWindowsNTのほうへシフトせざるをえません。企業が導入していくシステムを考えたときに、セキュリティー、管理機能などを考えていくとWindowsNTしかないんですよね。今は過渡期の状態で、企業向けではWindowsNTのほうにシフトをしていくだろうと考えています」

 最後に、平松氏は、WindowsNT5.0へシフトしていくという流れのひとつに、セキュリティーや運用管理の問題があるとして、次のように語っている。

 「日本の企業のセキュリティーシステムはあまりにも甘すぎますよね。セキュリティーの概念がまだ低いんです。意識的には変わりつつありますが、現在、セキュリティーについては、カード認証システムなどの技術論で語られています。これが、もうひとつ壁を越えると、それをどのように企業が使っていくか、運用効率はどうなのかというのが次の議論になっていくと思うんです。その壁を越える手段のひとつが、WindowsNT5.0だと思っているんですよ」(報道局 井上哲郎)

http://www.compaq.co.jp/

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