米インテル社は12月4日(現地時間)、Santa Claraの同社内でプレス・ブリーフィングを行ない、デジタルTV放送に関する同社の取り組みについてデモを交えて記者団に説明した。
インテルは今年4月、マイクロソフト、コンパックと共同でデジタルTV放送について、既存のパソコンでの受信・視聴に好都合なプログレッシブ・スキャン方式とすることを提案し、インターレース方式を主張する米テレビ業界と対立していた。が、同社首脳によるとその春のプロポーザルは放送業界についての理解に欠けており、放送フォーマットについては放送業界の選択に任せることにしたという。
今回の戦略転換は、予想外に困難と見られていたデジタルTV放送のインターレース方式からノン・インターレース方式へのコンバートに技術的な解決のめどが立ち、膠着状態を続けるより放送業界と協調してビジネスを推進するほうが得策という判断があったものと思われる。
ブリーフィング会場では、放送業界とテレビメーカーが定めた18種あるデジタルTV放送フォーマット(いわゆるHDTVを含む)をパソコン上で取り扱い可能なプログレッシブ・スキャン信号、および普通のテレビで表示できるNTSC信号にコンバートするソフトウェアがデモンストレーションされた。これはインテルとHitachi
America Ltd.が共同開発したもので、現状では画質は今ある地上波TV放送と同等だが、来年以降登場するより高速なPentium
IIを使用することでクオリティーはさらに向上するという。価格は未定だが、デジタルTVレシーバーボードとセットで200ドル程度と予想される。
さらに同社はテレビに接続するデジタルTV放送用のセットトップボックス(インテルはset-top
computerと呼んでいる)を開発中で、これは300ドルから500ドル程度になる模様。
このインテルの動きに対してコンパックは「まだ研究段階のものなのでわからない。複数の対応方法を検討している」とし、マイクロソフトは現在のところコメントしていない。(報道局 河村康文)