1GHz超プロセッサーベンチマークテスト――Pentium III-1.13GHzの実力は
2000年08月04日 15時37分更新
文● ベンチマークテスト協力:月刊ASCII DOS/V ISSUE編集部/文、構成:編集部 佐々木千之
ascii24編集部では、インテル(株)が8月1日に発表したばかりの最速プロセッサー(※1)『Pentium III-1.13GHz』を搭載したマシンに触れる機会を得た。さっそく、現時点でx86系最高クロックとなる1.13GHzの実力を測定した。
※1 Pentium III-1.13GHzは、3月末に発表された1GHz製品と同様、かなり限定された数量しか出荷されていない。秋葉原でもまだ入荷していないようだ。日本ではデルコンピュータ(株)がPentium III-1.13GHz搭載パソコンを発売している。1GHzプロセッサー発表時、インテルとつばぜり合いを演じたAMDは、Athlon-1.1GHzを8月28日に発表するとしており、今回は静観の構えだ。
評価機は、3月末にPentium III-1GHzを評価したときと同様に、巨大なファンとヒートシンクが付属していた。Pentium III-1GHzのリテールパッケージでは、通常のヒートシンクとファンになっていたことから考えると、1.13GHz製品もリテールパッケージで販売される際には、もっと小型のものになっている可能性が高いだろう。ただ、データシートを見ると、コア電圧は1GHzの1.70Vに対し、さらに高い1.80Vとなっており、消費電力は1GHz版のさらに27パーセントアップとなる。相当な排熱対策が必要になるだろう。
| Pentium III-1.13GHz評価機の外観。 |
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| 3月に評価した1GHz機と同様に、巨大なファンからの風がCPUのヒートシンクに直接当たるようになっている。 |
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Pentium III-1GHz(上)と比べて、マーキング表示のフォーマットが異なっている。1.13GHz(下)はコスタリカの工場で、2000年24週(6月12日の週)に製造されたものと読みとれる。最後方にある“1133”が動作周波数を表している。 |
ベンチマーク結果
ベンチマークテスト環境は以下の通り。クロック違いのPentium IIIと、新旧Athlonとを合わせて比較した。
チップセット |
Intel 820 |
Apollo Pro133A |
Apollo KT133 |
Apollo KX133 |
マザーボード |
VC820(Intel) |
P3V4X(ASUSTeK) |
K7T Pro(MSI) |
K7V(ASUSTeK) |
ビデオ |
Leadtek WinFast GeForce256/DDR(Detonator2) |
HDD |
IBM DTLA-307020(UltraATA/100) |
OS |
Windows 98 SE
日本語版 |
CPU |
3D Marks |
CPU 3D Marks |
PentiumIII-1.13GHz
i820/PC800 RDRAM |
5336 |
487 |
PentiumIII-1GHz
i820/PC800 RDRAM |
5209 |
461 |
PentiumIII-1GHz
Apollo Pro133A /VC-SDRAM |
5249 |
465 |
PentiumIII-1GHz
Apollo Pro133A /PC133 SDRAM |
5193 |
454 |
新Athlon-1GHz
Apollo KT133/VC-SDRAM |
4903 |
444 |
新Athlon-1GHz
Apollo KT133/PC133 SDRAM |
4889 |
437 |
旧Athlon-1GHz
Apollo KX133/VC-SDRAM |
4830 |
420 |
旧Athlon-1GHz Apollo KX133/PC133 SDRAM |
4829 |
420 |
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米MadOnion.com社製のベンチマークテストの結果。3D Markはシステムの総合3D性能を、CPU 3D Markはポリゴンなどの計算で使われるジオメトリー演算の性能を計測する。 |
3D Mark2000はSSEと3D Now!の双方に対応した最適化がなされているが、どちらかといえばSSEのほうがよりチューニングされているようで、従来からPentium IIIが好成績を収めていた。Pentium III-1.13GHzが順当に好成績をおさめている。
CPU |
コピー&ペースト |
フィルタ |
スクロール |
拡大縮小 |
フォント変更 |
整数演算 |
浮動小数点演算 |
検索と置換 |
PentiumIII-1.13GHz
i820/PC800 RDRAM |
3.04 |
1.15 |
9.11 |
4.12 |
2.14 |
0.63 |
1.18 |
2.03 |
PentiumIII-1GHz
i820/PC800 RDRAM |
3.32 |
1.25 |
9.94 |
4.53 |
2.36 |
0.68 |
1.27 |
2.33 |
PentiumIII-1GHz
Apollo Pro133A /VC-SDRAM |
3.31 |
1.27 |
9.91 |
4.61 |
2.38 |
0.71 |
1.23 |
2.25 |
PentiumIII-1GHz
Apollo Pro133A /PC133 SDRAM |
3.41 |
1.31 |
10.17 |
4.73 |
2.52 |
0.70 |
1.29 |
2.29 |
新Athlon-1GHz
Apollo KT133/VC-SDRAM |
3.36 |
1.16 |
10.99 |
4.17 |
2.52 |
0.73 |
1.41 |
1.98 |
新Athlon-1GHz
Apollo KT133/PC133 SDRAM |
3.40 |
1.16 |
11.10 |
4.21 |
2.46 |
0.74 |
1.42 |
1.99 |
旧Athlon-1GHz
Apollo KX133/VC-SDRAM |
3.81 |
1.46 |
11.84 |
4.95 |
2.78 |
0.82 |
1.57 |
2.54 |
旧Athlon-1GHz
Apollo KX133/PC133 SDRAM |
3.80 |
1.46 |
11.92 |
4.97 |
2.79 |
0.83 |
1.58 |
2.55 |
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ASCII Lab.製Excel2000ベンチマークテストは主に2Dのアプリケーション性能を計測するもの。ビデオ表示は1024×768ドット、16bitカラー、垂直同期周波数82Hzに設定して計測した。 |
Pentium IIIと新Athlonの1GHz対決では僅差の勝負となっていたが、今回はPentium III-1.13GHzの動作周波数の優位性がそのまま出た形で、余裕のトップ。
CPU |
秒 |
PentiumIII-1.13GHz
i820/PC800 RDRAM |
136 |
PentiumIII-1GHz
i820/PC800 RDRAM |
141 |
PentiumIII-1GHz
Apollo Pro133A /VC-SDRAM |
143 |
PentiumIII-1GHz
Apollo Pro133A /PC133 SDRAM |
156 |
新Athlon-1GHz
Apollo KT133/VC-SDRAM |
134 |
新Athlon-1GHz
Apollo KT133/PC133 SDRAM |
140 |
旧Athlon-1GHz
Apollo KX133/VC-SDRAM |
169 |
旧Athlon-1GHz
Apollo KX133/PC133 SDRAM |
175 |
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Superπは東京大学の金田研究室で開発された円周率計算プログラムのWindows版。システム全体の性能が影響するが、特にメモリー性能の比重が大きい。 |
Pentium III-1GHzからは伸びたが、新Athlon-1GHz+VC SDRAMの組み合わせには及ばなかった。
動作周波数1.13GHzはさすがに高速だが
各種のベンチマークテスト結果からみれば、ひとまずは現時点で最速のx86系プロセッサーといってよいが、現定数の出荷というのが気にかかるところ。対するAMDは8月28日にAthlon-1.1GHzを量産出荷するとしており、Athlon-1GHzと同様の展開とすれば、1ヵ月程度の期間をおいて秋葉原などでも入手可能になるだろう。ではその時点で、Pentium III-1.13GHzはどうだろうか。インテル広報部は「量産出荷は2001年第1四半期」としているが、2000年の第3四半期には量産出荷するとしていたPentium III-1GHzが、いまだにあまり見かけられず、プレミアム価格が付いていることを考えると、額面通りには受け取りにくいものがある。早く一般のユーザーが入手の容易なリテールパッケージで流通して欲しいものだ。なお、ascii24ではライバルのAthlon-1.1GHzが登場し次第、比較レポートをお送りするつもりである。
[コメント]
グラフは旧Athlon-1GHzの速度が1になるように正規化しており、グラフの長いものほど高速。以下同様。