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【週刊京都経済特約】 「ビジネスモデル特許」世界で申請──ネットスクールシステムジャパン、対面型ネット教育システム事業化

2000年08月01日 22時51分更新

文● 週刊京都経済

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CAD(コンピューター設計)ソフトを中心とする教育ベンチャーのネットスクールシステムジャパン(京都市中京区御池通河原町東入ル、佐藤三郎社長)は、インターネットを使った対面型教育サービスに関して日米欧でビジネスモデル特許を申請した。同社の申請項目は全部で200項目にのぼり、教育以外でもお見合いや公認会計士の経営相談なども範囲に含めているという。ビジネスモデル特許は特徴ある事業の構造そのものに排他的な特許を与えるもので、知的所有権に関する大きな流れになっている。同社は従来の3分の1程度の価格でネット教育システムが構築できるソフトウエアの実用化も終えており、衛星を利用したものなど既存のオンライン通信教育に対するキラーシステム(強力な対抗商品)として販売していくことにしている。

特許申請したのは「インターネットだけを使って単数・複数の対面型教育を行うサービス事業」のビジネスモデル。同社によると、従来のインターネット利用遠隔教育システムでは、とくに音声の質の悪さやタイミングのずれから実用にたえなかったという。このため、多くの場合は音声専用の電話回線を別途使ったり、通信衛星の回線を使う例がほとんどだという。

同社の関連企業が昨年10月に特許申請済みの画像音声圧縮送信システムを採用した。これは教室の側のサーバーで画像・音声を圧縮し生徒側のパソコンで自動解凍して再生するもので、音声をスムーズに伝えることができる。技術的には、生徒側パソコンに特別なソフト、ハードの導入や設定が不要である点が最大の特徴という。

ビジネスモデル特許の申請作業は米国の弁理士を使って行った。「日本の弁理士報酬規定に基づくと総額で3000万円かかると見積もられたが、米国だと1000万円で済んだ」(同社)という。

同社はこのシステムをパッケージにして、大手予備校や専門学校、家庭教師派遣会社などに販売していく計画。システム価格は「最低100万円から」(同)で、テレビ電話などを使用する類似のシステムに比較して大幅に安く設定したという。商品名は「TOWRES」(タウレス)。

ネットスクールシステムは英領バミューダ諸島に設けられているオフショア(無国籍)電子株式市場、バミューダ証券取引所外国部に株式を上場している日系不動産投資会社、アミワールド(AMIWORLD、斎藤護CEO)が全額出資(資本金5000万円)して99年設立された。実質的には橋梁設計を専門とする起業家の酒谷(さかや)良典氏(50=写真)がアミワールドの投資を受けて設立したという。社長の佐藤氏はアミワールド側からの派遣で、ニューヨークのアミワールド本社に駐在。

酒谷氏は静岡県出身で、直近は橋梁技術開発会社を経営するかたわら、清水市で「AutoDesk」などCADの定番ソフトに関する塾を運営していた。この塾が好評だったため、大手検索エンジン、Yahoo!の検索サービスで投資家を探し、99年春にAMIWORLDの全額出資を受けて京都にCADの専門学校運営会社、キャドアカデミージャパン(京都市下京区河原町五条上ル、佐藤三郎社長、資本金6500万円)を設立した。キャドアカデミーは現在国内6ヶ所に教室を持つという。

一方ネットスクールシステムは、キャドアカデミーの遠隔受講生向けに99年11月開校した通信教育運営会社。「TOWRES」の販売で株式公開を目指すとしている。

※7月24日付け週刊京都経済より転載。記事の転載にあたっては、外来語の表記など用字用語の一部のみをASCII24の表記に合わせて書き換えた。その他はすべて原文のまま。

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