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【レビュー】秋葉原の隠れたブームを検証【第2回】──Thunderbird750MHz(Slot版)が1GHzオーバーで動作。Socket版Athlon、Duronにも倍率変更ブームが……

2000年07月28日 00時00分更新

文● 月刊アスキーDOS/V ISSUE編集部 小板謙次

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前回は、やっとの思いで製造週24週のThunderbird(SlotA)-750MHzを探し出して殻割りを行い、900MHzコアが搭載されていたことを確認したところで終わった。

あれからずいぶんと間があいてしまったが、24週の750MHz製品でも950MHzコアが搭載されていたという報告をインターネット上でたまに見かけるようになった。果たして筆者はラッキーだったのか、アンラッキーだったのかわからないが、現在でも900MHzは5万円近くすることを考えると、(2万2000円の750MHzが900MHz以上で動作すれば)絶対お得である。

さて、今回はいよいよ本番、Thunderbirdのクロックアップである。

実験にあたっては、チップセットにVIA Apollo KX133を採用したマザーボードは避けることにした。というのは、Thunderbirdを稼動させてCPUを破損したという情報がインターネット上をにぎわしているからである。今回テストに使ったマザーは台湾ASUSTeK社の『K7M(REV.1.02)』である。このマザーボードはノースブリッジに“AMD751”、サウスブリッジに台湾VIA Technologies社のスーパーサウス“VT82C686A”を搭載している。Athlon用のマザーとして初期に登場したもののひとつだが、FSB設定が非常に細かく、BIOSで90、95、100~125(1MHz刻み)、133、140、150MHzと豊富な設定が選択可能だ。限界を調べるにはもってこいのマザーと言えるだろう。オーバークロックの肝となるCPUクーラーには、アルファ製“P3125”をAthlon用に改造したものを使用した。その他のスペックは以下の表のとおりである。倍率変更操作は、『GoldenFingers』に英NinjaMicro社製の“FreeSpeed PRO”を装着することによって行った。

NinjaMicro製のFreeSpeed PRO
NinjaMicro製のFreeSpeed PRO



FreeSpeed PROを装着したところ。逆差しするとThunderbird(雷鳥)は焼き鳥となってしまう可能性が高い
FreeSpeed PROを装着したところ。逆差しするとThunderbird(雷鳥)は焼き鳥となってしまう可能性が高い





“殻割り”したThnderbird-750MHzに、Athlon用に改造したアルファ製CPUクーラーP3125を装着。マザーボードはASUSTeKの「K7M」を使用。大きなクーラーのため、DIMMソケットが1つアクセスできなく可能性がある

■実験環境
CPU:Thunderbird750MHz(900MHzコア搭載) SlotA
MOTHER:ASUSTeK K7M
MEMORY:PC100 CL=2 128MB(NCP)
HDD:IBM DTLA-307020
VIDEO:Leadtek WinFast GeForce256/DDR(Detonator2)
OTHERS:NinjaMicro FreeSpeed PRO

さて、900MHzコアが搭載されているCPUだから、本来なら900MHz(200MHz×4.5倍)の設定から検証を始めるべきなのだが、筆者は誤まって950MHz(200×4.75倍)から始めてしまった。気持ちのどこかに、950MHzコアに未練があったのだと思う。起動時のBIOS表示を見て気づき、これではきっとシステムがハングアップしてしまうだろうと予想したのだが、あっさりと起動しベンチマークもクリアしてしまった。その後、徐々に倍率を上げていき1GHz(200MHz×5倍)も難なくクリア。拍子抜けするほど楽々と動く。いよいよFreeSpeed PROの最高設定値である1050MHzに挑戦となった。あまりにもうまく事が運びすぎたため、これもクリアしてしまったら、それ以上の倍率変更設定はどうしたらよいのだろうか? と嬉しい心配をしていたのだが、今度は簡単に裏切られてしまった。1050MHz(200MHz×5.25倍)ではWindowsは起動するのだが、起動した瞬間にハングしてしまう。コア電圧(Vcore)を1.9Vまで上げてみてもだめだ。

そこでいったん設定を1GHz(FSB200MHz×5倍)まで戻し、BIOSで徐々にFSBを上げていく方法に切り変えた。これまでの経験からBIOSでのFSB設定を105くらいにすれば限界が訪れることが予想されたので、まずはVcoreを1.8Vまで戻し、105MHzからはじめた。この時CPUは、先程ハングした1050MHzになる。予想通り、今回もWindowsでシステムエラーになってしまった。そこで再度、Vcoreを1.85Vまでアップしてみると、今度は無事に起動しベンチもクリアした。こんなことを何度も繰り返し、結局、限界値はFSB106MHzの設定の1060MHzであることがわかった。

H.Oda!氏作の『WCPUID』でCPU情報を表示させたところ。1060(MHz)という表示が見える。この1060MHzの状態で長時間の使用に耐えられるのかどうかはわからない。おそらく耐えられないだろう。しかしここまで伸びるとは思わなかったのも事実だ。実は、同じテストをAMD750チップ搭載のMSIマザー「K7Pro」でも試してみたのだが、こちらは倍率を変更していくと早くも950MHzで限界が訪れる結果となった。参考までに、クロックアップに伴うベンチ結果を下に掲載した。950MHz以上は劇的な伸びとは言えないように思えるのだがどうだろうか? 何かコアの速度を、引っ張る要素があるのだろうか?
H.Oda!氏作の『WCPUID』でCPU情報を表示させたところ。1060(MHz)という表示が見える。この1060MHzの状態で長時間の使用に耐えられるのかどうかはわからない。おそらく耐えられないだろう。しかしここまで伸びるとは思わなかったのも事実だ。実は、同じテストをAMD750チップ搭載のMSIマザー「K7Pro」でも試してみたのだが、こちらは倍率を変更していくと早くも950MHzで限界が訪れる結果となった。参考までに、クロックアップに伴うベンチ結果を下に掲載した。950MHz以上は劇的な伸びとは言えないように思えるのだがどうだろうか? 何かコアの速度を、引っ張る要素があるのだろうか?



3D Marks 2000/CPU 3DMark 2000

  3D Marks
750MHz(200×3.75) 4633
950MHz(200×4.75) 4722
1000MHz(200×5) 4738
1050MHz(210×5.25) 4780
1060MHz(212×5.25) 4789




  3D Marks
750MHz(200×3.75) 397
950MHz(200×4.75) 422
1000MHz(200×5) 428
1050MHz(210×5.25) 439
1060MHz(212×5.25) 441




Superπ

  Superπ
750MHz(200×3.75) 179
950MHz(200×4.75) 162
1000MHz(200×5) 161
1050MHz(210×5.25) 150
1060MHz(212×5.25) 149




さて、7月中旬からネット上ではCPUに関する新たな話題で盛り上がっている。Socket版ThunderbirdとDuronの倍率変更である。写真はDuron-600MHzだが、L1と書かれた文字のそばに8つの小さなドットが上下に並んでおり、そらが縦につながって4本の線になっているのがわかるだろうか? この8つのドットが上下にすべてつながっているものが、倍率変更可能なCPUであるというのだ。この噂を受けて、ASUSTeKから発売されたSocketAマザー『A7V』(音源なしモデル)が爆発的な人気商品となっている。A7Vの音源なしモデルの多くには、倍率変更用のディップスイッチが搭載されているからだ。

AMD系CPUのオーバークロックの際には、FSBアップが非常に厳しい。空冷だけでは、それほどオーバークロックできないと言っても過言ではない。その点、倍率変更は一番手っ取り早く効果がある方法だ。

しかし、一方で、倍率変更可能なCPUがなくなってしまうという噂も飛び交っている。これらの点は、また近いうちに検証してみたいと考えている。

Duron-600MHz。現在、秋葉原では1万円以下とお手頃価格となっている
Duron-600MHz。現在、秋葉原では1万円以下とお手頃価格となっている



L1と書かれた数字のとなりに8つのドットがつながっているのがわかる。左から3つめは判別が難しいが、ほかの部分と比べてみると、つながっている可能性は非常に高い 何度も念を押すが、クロックアップはすべて自己責任だ。たとえ苦労して探したCPUが台なしになったとしても、誰を責めることはできない。CPUがお亡くなりになるだけならまだしも、最悪ビデオカードやHDDもお亡くなりになることがある。また、たとえ上記のスペックとおりに組み立てたとしても、今回のテストはその動作を必ず保証するものではない。これらのことを覚悟した上で、クロックアップを行ってほしい。
L1と書かれた数字のとなりに8つのドットがつながっているのがわかる。左から3つめは判別が難しいが、ほかの部分と比べてみると、つながっている可能性は非常に高い 何度も念を押すが、クロックアップはすべて自己責任だ。たとえ苦労して探したCPUが台なしになったとしても、誰を責めることはできない。CPUがお亡くなりになるだけならまだしも、最悪ビデオカードやHDDもお亡くなりになることがある。また、たとえ上記のスペックとおりに組み立てたとしても、今回のテストはその動作を必ず保証するものではない。これらのことを覚悟した上で、クロックアップを行ってほしい。

     

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