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【21世紀夢の技術展レポート Vol.6】国立の各種研究所の成果が一堂に~宇宙・海洋分野と生命科学分野~

2000年07月27日 00時00分更新

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東京有明の東京ビッグサイトで開催中の“21世紀夢の技術展”(ゆめテク)にはふだんあまり目にできない公的機関の研究成果が数多く展示されている。特に“宇宙・海洋分野”には、宇宙開発事業団(NASDA)、海洋科学技術センター、航空宇宙技術研究所(NAL)、宇宙科学研究所など国の機関が揃い踏みしており、最新プロジェクトの状況や模型、研究成果などが展示されている。

“宇宙・海洋分野”コーナー

宇宙開発事業団のブースには、国際宇宙ステーションで日本が担当する研究施設“きぼう”の実物大模型が登場。巨大な模型の内部は、きぼうの施設の一部が再現されているほか、作業を体験できるシミュレータや映像コーナーが設けられていた。

宇宙ステーションの実験棟の実物大模型
宇宙ステーションの実験棟の実物大模型



またH2ロケットの第1段エンジン(先日打ち上げ失敗の原因となったもの)の実物のほか、H2Aロケットの模型なども展示された。常設のシアターでは宇宙遊泳や宇宙生活に関する映像が流されている。

H2ロケットの第1段エンジンの実物も展示されたH2ロケットの第1段エンジンの実物も展示された



海洋科学技術センターのブースには、深度6500メートルまで潜れる世界一の性能を持つ潜水調査船『しんかい6500』の実物大模型が展示され、その大きさをアピールしていた。深海の様子をビデオ上映したり深海の生物のサンプルなども並べられた。

『しんかい6500』の実物大模型
『しんかい6500』の実物大模型



また航空宇宙技術研究所には次世代航空機プロジェクトで研究中の小型超音速実験機『NEXST1』と、VTOL機(滑走をしないで垂直に離着陸できる機)『ジェットVTOLエアライナー』の検討模型などが、宇宙科学研究所では各種の観測用人工衛星の模型や惑星探査ロボットとして研究中のローバーなどが展示されている。

次世代の小型超音速旅客機開発プロジェクト『NEXST-1』の模型。2002年に飛行実験の計画がある
次世代の小型超音速旅客機開発プロジェクト『NEXST-1』の模型。2002年に飛行実験の計画がある



離着陸時に主翼基部のファンで垂直に機動する『ジェットVTOLエアライナー』の検討模型
離着陸時に主翼基部のファンで垂直に機動する『ジェットVTOLエアライナー』の検討模型



大学勢も頑張っている。東大の生産技術研究所がブースを出展し、複数のカメラで人間の動作を検知して“ものまね”をし自分のものにする上半身のみの人間型ロボットを展示している。海中探査用として研究中の水中自律型ロボットも並んでいる。



東大ブースでは、水中を自律的に移動する探査用ロボットが2タイプ展示されていた
東大ブースでは、水中を自律的に移動する探査用ロボットが2タイプ展示されていた



東大生産技術研のものまねロボット。顔部分にある9つのカメラで対象物を観察し、相手と同じ動作をする
東大生産技術研のものまねロボット。顔部分にある9つのカメラで対象物を観察し、相手と同じ動作をする



また東北大学の金属材料研究所では、超伝導効果を実際に体感できるジェットコースターの模型を展示している。振動や熱を電気に変換するエネルギー変換素子のデモを行なっており、子供から大人まで多くの来場者がその不思議な様子に見入っていた。

東北大の金属材料研究所のブースでは熱をエネルギーに変換する素子を使った電車模型のデモが行なわれた
東北大の金属材料研究所のブースでは熱をエネルギーに変換する素子を使った電車模型のデモが行なわれた



同じく東北大ブースで行なわれた、液体窒素で冷却した超伝導物質をリニアモーターカーに見立てて紹介するデモ


“生命科学分野”コーナー

“生命科学”の分野では、話題のヒトゲノム関連や最新の医療情報、クローン牛などの展示があった。京都大学再生医科学研究所は、人体の一部を“部品”として生物を使って再生した骨や軟骨などのサンプルを展示した。

再生された骨や関節が展示された京大再生医科学研究所のブース
再生された骨や関節が展示された京大再生医科学研究所のブース


理化学研究所は、DNA関連の展示が中心で、DNAの塩基列を手作業で並べたり、分子模型を組んだりしてタンパク質のできるまでを実体験できる“セントラルドグマ・ボールサーカス”といった大がかりな見せ物を用意していた。

理研のブースでは指示に従ってアミノ酸塩基を並べていく体験ゲームを実施していた。カラダを使って遺伝子の世界を知るという趣向だ
理研のブースでは指示に従ってアミノ酸塩基を並べていく体験ゲームを実施していた。カラダを使って遺伝子の世界を知るという趣向だ


農林水産省のブースでは遺伝子操作で誕生した3倍体のヤマメや2匹のクローン牛などが実際に展示されたほか、DNAを抽出する参加型セミナーも開催されていた。このほかにはがんセンターのがん治療への取り組み、新しい医薬品の開発など未来へ向けた医療の様子なども紹介された。

農水省のブースでは双子のクローン牛が実際に搬入されていた
農水省のブースでは双子のクローン牛が実際に搬入されていた


DNAを抽出する参加型セミナー
DNAを抽出する参加型セミナー

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