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【INET 2000 Vol.5】“iGrid”コーナーで先進的な展示。各国を結ぶビデオファレンス実験やVRMLシステムのデモ

2000年07月26日 00時00分更新

文● 野々下裕子

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7月18日から21日までの4日間、パシフィコ横浜を会場にインターネットの国際会議“INET2000”が開催された。本稿ではプレスならびに招待者向けのランチミーティングと展示会ツアーについて紹介する。ランチミーティングにはINETを主催しているISOCの主要メンバーとプレス関係者、そしてNTW(Network Training Workshops)らが招待された。

INET2000を運営する主要メンバーのあいさつ

まずISOCのCEOであるドン・ヒース氏が、今年のINET2000は10回目を迎えたことを伝え、会場がそれを拍手でたたえた。さらにキース氏は、「'98年より国ぐるみでISOCに加盟したブルガリア代表が、その時に誕生した子女に生まれた時からeメールアドレスを与えた」というエピソードを語った。そして「来年には彼女のような幼いメンバーが参加し、さらにINETが世界的な盛り上がりを見せてほしい」とコメントし、あいさつをしめくくった。

INETのCOOを勤めるドン・キース氏の歓迎の挨拶
INETのCOOを勤めるドン・キース氏の歓迎の挨拶



・ 続いて、今回のメーンスポンサーの1社であり、プレス関連のサポートをしている『ケーブル&ワイヤレス』のCEO、サイモン・カニンガム氏が登場。氏は、これからインターネットインフラが拡がっていく中で、ケーブル(有線)もワイヤレス(無線)も共に欠かすことのできないものになっていくだろうとした。そのためにプレスルームや一部のエリアで、両方によるネットワーク環境を提供していると語った。プレスルームにネットワーク環境が整っているのはいつものことだが、無線によるネットワーク環境は去年にはなかった。会場内の一部では、アップルの無線規格である“AirPort”などを使ってアクセスができるようになっていたようだ。

プレス関連のスポンサードを担当した“ケーブル&ワイヤレス”のCEO、サイモン・カニンガム氏。今後のインターネット接続の流れとして、社名にある“ケーブル”と“ワイヤレス”が重要な地位を占めていくだろうとコメント
プレス関連のスポンサードを担当した“ケーブル&ワイヤレス”のCEO、サイモン・カニンガム氏。今後のインターネット接続の流れとして、社名にある“ケーブル”と“ワイヤレス”が重要な地位を占めていくだろうとコメント



最後に、ISOCでネットワークの技術指導担当にあたっているジョージ・サドウスキー氏からのあいさつがあった。INETでは開催の前後に、世界の技術者を集めたNTW(Network Training Workshops)を開催している。今回もSFCで9日より行なわれ、47ヵ国から100人以上の熱心な技術者が集まった。また、指導者も16ヵ国から30名近い人数が集まり、彼らへ感謝の拍手がおくられた。INETでは単なる情報交換だけでなく具体的な技術交流も行なわれているが、INET以外でもこうした機会がもっと増えてほしいとサドウスキー氏もあらためてコメントしていた。  

ISOCで技術支援を担当しているジョージ・サトウスキー氏からは、INETの前にSFCで行なわれたNTWついての話があり、会場にいた指導員らに対してねぎらいの言葉と拍手がおくられた
ISOCで技術支援を担当しているジョージ・サトウスキー氏からは、INETの前にSFCで行なわれたNTWついての話があり、会場にいた指導員らに対してねぎらいの言葉と拍手がおくられた



“iGrid”のコーナーでは先進的な展示を披露

その後、展示会場の特別招待ツアーが行なわれた。インターネットの先鋭的な実験デモである“iGrid”(International Grid)のデモが披露された。

iGridはアメリカのUCAIDで研究が進められている高速回線技術のインターネット2と、次世代のIPアドレスとなるIPv6を組み合わせた国際的な協調プロジェクト。現場はアメリカやヨーロッパの数ヵ所を結んでのリアルタイムビデオカンファレンス実験や、インターネット回線を通じての映画配信デモなどが行なわれていた。

展示ブースの目玉、iGridのブースではいくつかの実験が公開されていた
展示ブースの目玉、iGridのブースではいくつかの実験が公開されていた



そのひとつ、高速回線のiGridを使ったビデオカンファレンスシステムの実験。25ヵ国をリアルタイムで結んだセッションがスムースにできることが証明された
そのひとつ、高速回線のiGridを使ったビデオカンファレンスシステムの実験。25ヵ国をリアルタイムで結んだセッションがスムースにできることが証明された



中でも注目を集めていたのが、CAVEシアターと呼ばれるVRMLシステムのデモである。体験者は四方(足下も)を囲まれたスクリーンの中で3Dゴーグルを付けながら、リアルタイムでの高速セッションが体験できる。表現は粗っぽいポリゴンデータだが、音声のやりとりは問題ない。相手がはるか遠くのアメリカやオランダなどにいることを考えれば、処理スピードもかなりスムースだった。

CAVEのシステムはまるでゲームセンターのよう。データは粗いが、移動感覚などはかなりリアルに感じられる。背景の建物はシアトルにある図書館で、建物の中も移動可能だという
CAVEのシステムはまるでゲームセンターのよう。データは粗いが、移動感覚などはかなりリアルに感じられる。背景の建物はシアトルにある図書館で、建物の中も移動可能だという



今回のコンテンツは対戦ゲームだったが、本来はオンライン上での協調作業といった教育目的に開発が進められている。たとえば、データさえあれば、建物の中も自由自在に移動できるので、仮想空間の中でセッションがスムーズにできるようになるということだ。
 
こうした実験のいくつかには日本の大学や研究機関も参加し、アプリケーションの開発や新しいコンテンツの提供などが行なわれている。今回は海外に向けての発表であったが、これを機会にあちこちでこうしたインターネットの最先端技術か公開されることだろう。まずは今年の末に大阪で開かれるiweekなどが期待できそうだ。

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