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バーチャルなコミュニケーションで大切なことを教えてくれた――メールマガジンの父、山下憲治氏を偲ぶフォーラムが開催

2000年07月25日 00時00分更新

文● 千葉英寿

あなたはメールマガジンをいくつ購読しているだろうか? インターネットを長く利用しているユーザーの中には、いつの間にか数十本も購読している、という方も珍しくないのではないだろうか? それこそが、メールマガジン=“メルマガ”がここまで日本の文字文化、コミュニケーション文化として成長してきた証だろう。

メルマガという新たなメディアを実質的に生み出し、限られたスペースの中での5行の広告枠を考え出したのは、(株)インプレスの山下憲治氏だった。その山下氏が、7月7日に35歳という若さで惜しくも急逝された。

21日、故・山下氏を偲び、“メールマガジンフォーラム'2000”が“今日までのメールマガジン、そしてこれから”をテーマとして開催された。会場となったリクルート本社GINZA8ビル内のリクルートホールには、山下氏のご両親も出席、メールマガジン業界やインターネット創世紀の面々の姿も数多く見られた。
 
このメールマガジンフォーラムは、メールマガジン業界の交流、親睦を図り、今後の課題などをフォーラム形式でディスカッションするために発足したもの。'98年には、山下氏もパネラーとして参加した経緯がある。

今回のフォーラムは、メールマガジン“日刊! 関西インターネットプレス”の発行人であり、KandaNewsNetworkとして活躍する神田敏晶氏を中心に、メルマガ発行者有志やウェブマスターオフ委員会などが集まって催された。また、(株)インプレス、(株)インプレスコミュニケーションズ、(株)リクルートISIZE局、(株)パイナップルカンパニーの各社の協力を得て開催された。

リアルではなく、バーチャルなコミュニケーションで大切なことを教えてくれた

開会に先駆けて、山下氏のインタビューを収めたビデオ映像が流された。引き続き、山下氏の上司として、ともに“Internet Watch”を立ち上げた(株)インプレスの取締役副社長、井芹昌信氏が講演を行なった。

山下氏とともに仕事をしてきたインプレスの取締役副社長、井芹氏
山下氏とともに仕事をしてきたインプレスの取締役副社長、井芹氏



井芹氏は、「記事はURLを入れることでネタもとを明かし、署名入りの記事とした。有料にこだわったわけだが、価格は1万8000人ほどいた読者に聞き、“400円ぐらいなら”という声を得た上で300円にした。これは、今考えればテストマーケティングだった。また、DMを送る了解を得た、というのもまさに“パーミションマーケティング”であった。これは山下が仕掛けたものだった。このようなことが、後のメールマガジンに影響を与えたのだと思う」と、山下氏との思い出を織り交ぜながら、Internet Watch創刊時のエピソードを語った。

さらに山下氏がインプレスのスタッフサイトに開設していた“KEN'S HOME PAGE”を紹介し、コラムのLast 1 Hourから“なんでインターネットは特別なの”という文章を引用。「特殊だと意識せず、インターネットを普通に見ようよ」という山下氏の主張を紹介した。リアルコミュニケーションではなく、バーチャルコミュニケーションをやっていく上で大事なことを語ってくれていた、と回想した。

最後に井芹氏は「メールの活用の幅が大きくなっている。日本では、Yahooでメールマガジンをキーワード検索すると、co.jpでは645サイト出てくるが、comでは87サイトしかない。日本では8倍と圧倒的に多い。これだけメルマガが流行ったのは、トータルコストが非常に安くできるメディアだからではないか? いろいろな点で、ウェブや出版より可能性は大きい」とし、「たかがメール、されどメール。一番、プリミティブなところに魅力がある」と締めくくった。

メールマガジンも取捨選択を求められる時代に

  続くパネルディスカッションでは、前出の井芹氏、本フォーラムの司会も務めた(株)メールニュース代表取締役の才式祐久氏、(株)リクルートISIZE編集長の高橋理人氏、弊誌ASCII24の前編集長で現在、早稲田大学大学院客員教授の中野潔氏、“今日の雑学”が有名な小橋昭彦氏が登壇した。

また、“まぐまぐ”を立ち上げ、メールマガジン業界において、山下氏に匹敵する貢献をしたライティングスペースの深水英一郎氏、(株)インプレスInternet Watch編集部チーフの高橋正和氏、ウェブマスターなら必ず見ているアクセス向上委員会の橋本大也氏、(株)サイバーエージェント取締役の村上直氏も登場した。

そして、神田敏晶氏が進行役にまわり、メールマガジンの今後について語り合った。

メルマガを代表する、総勢11名の大パネルディスカッションとなった
メルマガを代表する、総勢11名の大パネルディスカッションとなった



神田氏が、これからのメルマガについてパネリストに尋ねたところ、深水氏は“まぐまぐ”を運営していたころ振り返り、「最初の一時期は、確認のつもりで1万誌ぐらいのメルマガを購読していた。今は5誌ぐらい。(みなさんも購読は)増える傾向にあると思うが、少し減らした方がいいと思う。メールマガジン配信サイトでも“めるま”のように、面白いものを集めているところが出てきている」と、メールマガジンを読む方にも取捨選択の必要性が求められるようになったことを示唆した。

これに呼応するように、小橋氏は「僕はいずれメールマガジンという形態で発行するのはやめようと考えている。先にビジネスを考えて出してくるものが増えてきており、広告ばかりでつまらくなったと思う。自分で勝手にはじめ、あくまで趣味の延長だったので、メルマガをビジネスにする気はない。僕としてはコンテンツを買って欲しい。せっかくのオンラインなのでもう少し違う形があればいいな、と思っている」と発行者側の心情を吐露した。

広告が増えたという点について、インターネット広告を扱っているメールニュース社の才式氏が「昨年の夏を境に、突然、急増した。売り上げも伸びてきている。具体的な数字を上げれば、月に40万円だったのが、70万円にまでになった」と現状を紹介した。

右から弊誌、前編集長の早稲田大学大学院客員教授の中野氏。“今日の雑学”の小橋氏。ライティングスペースの深水英一郎氏
右から弊誌、前編集長の早稲田大学大学院客員教授の中野氏。“今日の雑学”の小橋氏。ライティングスペースの深水英一郎氏



若いユーザー層のメルマガとの関わりについて、中野氏は「私のところの大学院生では発行者はいない。20代の経営者が大学院生であり、メールマガジンを発行しているケースはある。メールに興味があるのは、ビジネスに興味があるからで、自己表現をしたいタイプは少ないのではないか」と分析した。

神田氏は「小4の娘がメルマガで今日、学校であったことなどを書いている。こづかいをもらわず、わずかですが、インカムで収入を得ています。こういう子どもがサイバーコミュニティーで拡大していくのでは? でも36才の男性がファンにいるのは親として心配です」と珍しいエピソードを披露。それに対し、深水氏は「それは不健康。メールばかり読んでいると目がわるくなるよ」と釘を指し、会場の笑いを誘っていた。

山下氏の偉業を引き継ぎ、昇華させるのが我々の役目

最後にディスカッシュオンに参加した各氏が、天国にいる山下氏へ言葉をおくった。

井芹氏「みなさんが山下を偲んでいただき、その仕事が受け継がれることは、彼も喜んでいると思う。我々はそれを受け継ぎ、昇華させたい」

才式氏「山下氏がメール広告を作った。メール広告を売る側として、名に恥じないようにしたい」

高橋氏(リクルート)「山下氏とは早い時期に出会った。会うとなぜかいつも立ち話で、15分も20分も話したことを思い出す」

右から井芹氏、メールニュースの才式氏、リクルートの高橋氏
右から井芹氏、メールニュースの才式氏、リクルートの高橋氏



中野氏「我々は無料のモデルを作ったが、山下氏は有料のモデルを作った。先人はそれだけ偉大だった、それに尽きると思います」

小橋氏「クリエーターとして大変共感していた」

深水氏「まぐまぐを作るときなど、相談にのってもらい、プレスネットワークについても、意見を言ってもらった。いろいろなことを教えてもらった。インターネット創世紀、第一期が終わったと感じている」

高橋氏(インプレス)「山下さんは議論好きだった。(彼と議論するのは)大変だけど、自分の考えのまとめになった。新しいことをやろうというとき、山下さんならどう考えるのだろう。相談相手がいなくなって寂しい」

橋本氏「熱血漢の山下さんとは、はげしくぶつかる人がいた。お別れの会で、その人が男泣きに泣いていた。メディアを出しつつも、コミュニティーで発言していたインターネット時代の編集長の模範。お疲れさまでした、編集長」

村上氏「今はメルマガの土台ができたところ。これからはコミュニケーションプラットフォームとしていくのが、我々に使命ではないか」

右からInternet Watch編集部チーフの高橋正和氏、アクセス向上委員会の橋本大也氏、サイバーエージェントの村上直氏、ビデオジャーナリストの神田敏晶氏
右からInternet Watch編集部チーフの高橋正和氏、アクセス向上委員会の橋本大也氏、サイバーエージェントの村上直氏、ビデオジャーナリストの神田敏晶氏



最後に神田氏が「山下さんとはメールマガジンフォーラムで1回だけお会いした。初めて会うのに、昔から知っているような感じがした。ネットで知り合えたことを大切にしていきたい」と締めくくり、メルマガの発展に大きく貢献した山下氏を偲んだ。

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