このページの本文へ

【レビュー】三洋電機のヘッドホン型デジタル音楽プレーヤー――耳にベストフィット

2000年07月21日 00時00分更新

文● 浅野純也

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

三洋電機(株)からペンダントタイプの『SSP-PD7』に続き、プレーヤーとフォンユニットを一体にした『SSP-HP7』が登場した。記憶メディアに半導体メモリーを使用するデジタル音楽プレーヤーならではのスタイルで、大きな駆動機構を必要とする従来の音楽プレーヤーでは不可能な形状だ。

7月1日に発売された『SSP-HP7』
7月1日に発売された『SSP-HP7』



『SSP-HP7』を折り畳んだところ
『SSP-HP7』を折り畳んだところ



『SSP-HP7』のヘッドフォンはアームを後頭部、耳の後ろに回り込ませる流行のタイプで、アームの長さは約25cm。アーム自体の長さは調節できないが、その弾性によって左右から耳を挟み込むようにして装着するため頭が小さくてもブカブカしてずり落ちたりしない。スピーカー部分には耳全体を覆う着脱式のゴムパッドが付いており、その分密着度が高くなっている。ただ耳全体を覆うのと、肌に接する部分がゴムというのは暑い夏場にはどうかという感じもするが。

重量は約160gと決して軽くはないが、装着をして重さを感じるほどでもないことも事実だ。スピーカーの付け根の部分と中央フレームの2カ所で曲げられるため、コンパクトにして持ち歩くことも可能だ。この状態では、幅110×奥行き96×高さ87mmというサイズ。

ヘッドフォンタイプのプレーヤーは、シャープ(株)と松下電器産業(株)がすでに発売しており、これが3つめとなる。シャープ製品が耳たぶに引っかける方式、松下がオーソドックスな上かけタイプだったことを考えると、三者三様のアプローチであることがわかる。選ぶ際には実際に装着してみて感触を確認したほうがいいだろう。

単4電池2本で約10時間駆動

操作部分は右耳裏側に集中している。プッシュ機能付きのダイヤル2つで、再生に関する操作とボリュームに関する操作が各々に振り当てられている。動作中を示すインジケータはあるが、液晶パネルはない。シャープ製と松下製には液晶パネルがあるのだが、装着している時は見えないわけだから、本機の割り切り方は正しいと思う。

基本的な仕様はペンダントタイプの『SSP-HP7』と同じで、記録メディアとしてMultiMediaCard(MMC)、暗号化技術として米リキッドオーディオ社のSP3を採用している。再生可能な圧縮方式はAACとMP3で、本体側のファームウェアの更新によって複数のフォーマットに対応できる点も同じだ。おそらく内部回路的にも同じものを採用しているはずだ。

右耳側のユニットにMMCスロットが、左耳側のユニットに電池の差しこみ口が用意されている 右耳側のユニットにMMCスロットが、左耳側のユニットに電池の差しこみ口が用意されている




左右のヘッドホンは、トップのつまみを押すと上蓋が外側に開く構造になっており、右耳側のユニットにMMCスロットが、左耳側のユニットに電池の差しこみ口が用意されている。MMCは現時点で32MBが最大容量だが、96Kbpsでエンコードした場合、約40分の記録が可能だ。バッテリは単4電池を2本使用し、『SSP-PD7』は単4電池1本で約5時間の駆動だったのに対し、本機は倍の10時間に伸びている。

エンコード時間は松下製の約2分の1

一体型の場合、ヘッドホン交換による音質改善ができないため、製品単体での音づくりがポイントになるが、AACでエンコードしたデータを試聴したところ、非常に自然なサウンドに仕上がっている印象を受けた。スピーカーに直径32mm大口径ドライバーユニットを搭載していることもあって、全体の音の鳴り方も悪くないと思う。“素直な音”とでも言ったほうがいいだろうか。イコライザーは低音強調のみを装備している。

クリックすると拡大されます
CDからのリッピング時にはCDDBへのアクセスも可能。エンコード時間はMP3には劣るものの、他社のAACよりは速い



添付ソフト『Liquid Player for SANYO』を使ったデコード時間は、原曲の2分の1程度の時間で終了した(PentiumII-300MHzで計測)。MP3のエンコードには及ばないが、同じく松下製の著作権保護対応AACエンコーダーが原曲とほぼ同じ時間かかることを考えると、はるかに速い。プレーヤーへの転送はUSBのミニコネクター経由で行なうが、4分程度の曲なら約1分で転送することができる。総じて簡単に扱えるソフトではあるが、プレーヤー側の曲順を変える手段がないのは残念。

クリックすると拡大されます
プレーヤー本体への転送はここで行なう。ストレージとしても見えるので、MP3ファイルをそのままコピーすることも可能。ただし曲順の変更ができない



ライバル機に比べて約1万円安い!

先にも触れたが耳全体を覆う点と、ゴムが触れる点で好みが分かれるだろう。ヘッドフォンタイプはコードレスという大きな特徴があるため、ペンダント型や腕時計型のデジタル携帯プレーヤーと比べても使い勝手は非常にいい。最近のCDやMDなどの携帯プレーヤー向けに売られているヘッドフォンも従来のインナータイプから耳を覆うものにトレンドが移っており、このタイプが受け入れられる素地は十分にあるだろう。

最後に、価格は3万7000円とライバル両機に比べて約1万円安いのは魅力だ。

対応OS

Windows 98
対応フォーマット MP3/AAC
記録メディア MMC
サイズ/重さ 幅110x高さ87x奥行き96mm(折りたたみ時)/約158g(電池、MMC含む)
パソコンインターフェース USB
電源/連続再生時間 単4形電池(アルカリ/ニッケル水素)2本/約10時間
付属品 USBケーブル、単4アルカリ乾電池、MultiMediaCard(32MB)、付属ソフト、ポーチ
価格 3万7000円

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン