日本電気(株)(以下NEC)は21日に記者発表会を開催し、A3用紙対応ながら、定価で10万円を切るモノクロレーザープリンター『マルチライタ210S』など3モデルを発表した。210SはA4を最高毎分12枚印刷可能(600×600dpi)で、定価9万9800円。両面印刷機能を搭載した上位機種『同2100』(11万8000円)および『同2300』(13万8000円)と共に、本日より出荷開始される。
『マルチライタ210S』 |
『マルチライタ2300』 |
NECによれば、今回発表のマルチライタシリーズのポイントは4つある。
高速性
トナーの定着に必要な“ヒートローラー”と呼ばれる部品を薄肉化することで、必要な温度に短時間で加熱できるようになったため。節電モード状態から、印刷可能状態になるまでの“ウォームアップタイム”が、2300で約8秒、2100と210Sでは約9.5秒と、従来30秒から60秒かかっていたものが、大幅に向上した。また、独自開発した新しいプリンターコントローラーを搭載したことで、ラスターデータをビットマップデータに展開する処理時間が短くなり、結果として、*実効印刷速度が向上したとしている。
*実効印刷速度:ここでは、コピーモードによる連続印刷ではなく、ページごとに異なるような、実際のデータを印刷する速度を指す。
小型化
新しい印刷エンジンを採用したことで、小型化、軽量化を図った。設置面積で幅459×奥行き448mmと、同社の従来機『マルチライタ2250H』と比較して約25パーセント小型化した。また、同クラスの他社製品と比較しても、小さな設置面積ですむとしている。使い勝手の向上
プリンターカートリッジの交換や、紙詰まりが起きた際の対応が、前面パネルを開けるだけで処理できるようにした。プリンターの上側に大きく空間を取る必要がないため、オフィスのラックなどにも設置が容易になるとしている。また、2段の給紙カセットを標準装備しているため、同じ用紙を縦と横にセットし、印刷単位ごとに縦と横に交互出力することで、プリンター共有時にも、ユーザーのプリントアウトがわかりやすいとしている。価格
210SはA3対応プリンターで初めて10万円を切る定価設定、2100および2300では、10万円前半の価格帯の同クラスプリンターで初めて、2段の給紙カセットと、両面印刷ユニットを装備したという。従来機と比較して部品点数を削減することで、低価格を実現したとしている。本日発表された新マルチライタシリーズの主な仕様は以下の通り。
製品名 | マルチライタ2300 | マルチライタ2100 | マルチライタ210S |
印刷解像度 | 1200×1200dpi (最大2400×2400dpi 相当の印刷 が可能) |
600×600dpi(最大1200×1200dpi 相当の印刷が 可能 |
600× 600dpi |
印刷速度 (A4横) |
毎分約20枚 | 毎分約12枚 | 毎分約12枚 |
印刷速度 (A3) |
毎分約11枚 | 毎分約6.5枚 | 毎分約6.5枚 |
印刷速度 (A4横両面) |
毎分約8枚(16ページ) | 毎分約4.8枚(9.6ページ) | - |
CPU | RV4640-150MHz | RV4640-100MHz | RV4640-100MHz |
メモリー容量 | 16MB(最大272MB) | 8MB(最大264MB) | 8MB(最大264MB) |
消費電力 | 最大780W 以下 |
最大770W 以下 |
最大760W 以下 |
節電モード時 | 45W以下 | 30W以下 | 30W以下 |
サイズ | 幅459×奥行き583×高さ319mm (給紙カセット最大伸長時) |
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重さ | 約18.5kg(プリンターカートリッジ含む) | 約16.5kg (プリンター カートリッジ含む) |
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インターフェース | IEEE1284パラレルインター フェース×2 |
IEEE1284パラレル インターフェース×1 |
NEC執行役員の吉本陸郎氏 |
また同社は今年9月の発売を目指し、マルチライタシリーズをネットワークで活用するためのソフトウェア、『iPrinting.AutoServer』および『iPrinting.DeliveryService』を開発中であると発表した。
iPrinting.AutoServerは、サーバー用のソフトウェアで、クライアントのウェブブラウザーのみを利用して、インターネットを経由しての印刷や、例えば一太郎のドキュメントが添付された電子メールをMacintoshで受けてしまった場合に、iPrinting.AutoServerを経由してMacintoshから出力できるようになるという。およそ10万円程度の価格設定を予定している。
一方のiPrinting.DeliveryServiceは、クライアントユーティリティーとして、マルチライタシリーズに添付を予定しているソフト。イントラネットに接続されたマルチライタシリーズに対して、複数の遠隔地に同時に印刷するなど“ファクスのようなイメージで利用できる”ソフトウェアとしている。印刷と同時に、送り先のユーザーに対して「IPアドレスが192.168.1.100のプリンターに出力しました」といった電子メールを送る機能を備えている。
iPrinting.DeliveryServiceにより送信される電子メールの例 |
NECの社内カンパニーであるNECソリューションズ、メディアターミナル販売推進本部
市場開発部
マネージャーの青木知也氏によると、現在国内のモノクロページプリンター市場におけるNECのシェアは17パーセント(第3位)で、今年度+1パーセントを目標としているという。また、今後の機種として、現在オプションで用意しているネットワークインターフェースを内蔵したものなどを検討しているという。