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松下、家電ネット販売の新会社を設立――「インターネット環境を備えずして、地域の家電販売店が21世紀に生き残ることはできない」

2000年07月11日 00時00分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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松下電器産業(株)は11日、10日付けで発表した“株式会社ライフヴィットコム(LifeVit.com)”の設立に関する記者説明会を都内で開催した。新会社は、今年10月の設立と同時にECウェブサイトを立ち上げ、松下製の家電製品を一般消費者向けにインターネットで販売する。資本金は同社が全額出資し、金額は未定。新会社社長には家電・情報本部 LEC本部 .com設立準備室 室長の森俊幸氏が就任し、大阪市北区に社屋を構える。

左から専務取締役の田中宰氏、新会社社長に就任予定の森俊幸氏
左から専務取締役の田中宰氏、新会社社長に就任予定の森俊幸氏



ECウェブサイトがオープン時に揃えるアイテムは、パナソニック/ナショナルの2ブランド合計で約500~600点の見込み。“LifeVit.com”のトップページである“全国サイト”は、日本全国をいくつかのブロックに分けた“地域サイト”にリンクが張られている。ユーザーは、トップページから居住地を含む“地域サイト”にアクセスし、そこで注文や決済の手続きを行なう。

同社はECサービスの開始にともない、全国の地域の家電専門店を対象に、“地域サイト加盟店”を募集する。ユーザーから寄せられた注文は、各地域の販売会社を経由し、“地域サイト加盟店”が宅配や設置などのサービスを担当する。商品の販売だけでなく、修理や商品に関する相談もウェブサイトで受け付けるが、これらについても地域サイト加盟店がその一部をサポートする。

決済の方法は、ウェブサイト上でのクレジット決済と商品配送時の代引きを予定している。商品やサービスの価格設定について、目玉企画も用意することもあるが、全体としては市場の平均的な価格を採用する見込み。

専務取締役の田中宰氏によれば、同ECウェブサイトのターゲットは「家庭、特にその主役である主婦」という。“暮らし”をテーマに異業種とアライアンスを組み、リフォーム、ホームセキュリティー、介護機器などに関する商品やサービスの販売も企画しているという。

地域の家電専門店にとって、「むしろプラスアルファにつながるのでは」

松下が今回発表した“LifeVit.com”は、配送やサポートサービスなどに、販売会社や小売店といった既存の流通網を活用するもの。「メーカーや卸業者が単独で門戸を開放し、家電製品を売っていくことは不可能だ。製品の設置工事や、使い勝手に関するサービスはバーチャルでは行なえない」と、田中氏は語った。

“LifeVit.com”関連のサポートサービスを担当した地域電気専門店には、各地域の販売会社から手数料が支払われるという。インターネット直販サービスに、こうした小売店の顧客が奪われるという見方もあるが、田中氏は「地域の家電専門店の売り上げは、固定客に頼る部分が大きい。販売会社から手数料が支払われることを考えると、むしろプラスアルファにつながるのでは」とした。

同社は、全国約2万店舗のナショナルショップのうち、10月のサービススタートの時点で7000店以上が“地域サイト加盟店”に参画することを目標としている。“地域サイト加盟店”の店頭に消費者が設置のホームページ閲覧用のパソコンを置くだけでなく、商品調達や代金回収に関して加盟店と松下本部、販売会社との連絡も電子化する予定だ。現時点で、インターネットを導入している店舗の数は4000店程度という。田中氏は「インターネット環境を備えずして、(地域の家電専門店が)21世紀に生き残ることはできないだろう。自らがインターネット環境を整備し、ユーザーとなった上で、家庭へのインターネット提供者になってほしい」と語った。

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