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MSN、ISP事業を11月末で終了――今後はポータルサイトの運営に専念

2000年07月06日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

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マイクロソフト(株)は、同社が運営するインターネット接続サービスの“MSN Internet Access”を11月30日で終了すると発表した。MSNは今後、ポータルサイトの運営に特化する。既存のMSNユーザーは、(株)ぷららネットワークスが運営するISPの“ぷらら”に引き継がれる。ぷららでは自社サイトのトップページを“MSN Plalaバージョン”へと変更し、今後はISP事業に特化する。

記者発表会のステージで横並びで映し出された両社のロゴマーク
記者発表会のステージで横並びで映し出された両社のロゴマーク



MSNユーザーはぷららへと移行――現行の設定やサービスはそのままに、移行後は11月末まで接続料金無料

MSN Internet Accessへの新規入会は7月31日をもって終了する。MSNでは本日から、既存のユーザーに対し電子メールやウェブサイトによって、ぷららへの移行を告知する。移行期間は11月30日まで。移行期間内に意思表示を行なわなかったユーザーは、11月30日をもって自動的にぷらら会員にと移行される。

ぷららへの移行を申し出たMSNユーザーは、移行が完了した時点から11月30日までの間、ぷららの接続サービスを無料で利用できる。また、現行の料金プランなどはそのまま引き継がれるという。ぷららに移行した後は、“ぷららこみこみセット”などぷららが提供するサービスに自由に乗り換えることができる。

マイクロソフトの間宮氏(左)とぷららネットワークスの板東氏が、ステージ上で固い握手を交わした
マイクロソフトの間宮氏(左)とぷららネットワークスの板東氏が、ステージ上で固い握手を交わした



MSNからぷららに移行したユーザーに対しては、ぷららドメイン(plala.or.jp)のメールアドレスが与えられる。また、既存のメールアドレス(msn.ne.jpドメイン)については2001年3月1日までのあいだ、ぷららドメインのアドレスに自動転送される。

MSNのアクセスポイント(電話番号)は、ぷららにサービスを移行した後も引き続き利用できる。アクセスに際して、MSNのユーザーは現行の設定を変更する必要はない。ただし海外のアクセスポイントについては11月30日以降、米MSNのアクセスポイントは利用できなくなる。そのため、今後はぷららが提供する海外ローミングサービスなどを利用する必要がある。

MSNからぷららにISP事業を移管するにあたり、両社において人員の異動は発生しない。また設備類に関しても、MSNとぷららが同じインターネットバックボーンを使用している関係から、機材などの譲渡はほとんどないという。

ISPに専念し早期に100万人の会員を獲得する――ぷらら

両社は都内で記者会見を開催し、インターネットサービス事業において業務提携を行なうことで合意したと発表。MSNのISP事業がぷららに移管され、ぷららのインターネット情報サービスがMSNに統合されることを明らかにした。

発表会の席上、ぷららネットワークスの代表取締役社長を務める板東浩二氏は、「ぷららも会員に向けてクローズドな情報提供を行なってきたが、専業ポータルサイトと比べた場合、事業転換の必要性を強く感じてきた」と語り、ISP事業に専念する意味を説明した。

「ぷららはお客様満足度でナンバーワン」とアピールした板東氏。今後、全国567ヵ所の単位料金区域(3分10円の通話区域)すべてにアクセスポイントを拡大するという
「ぷららはお客様満足度でナンバーワン」とアピールした板東氏。今後、全国567ヵ所の単位料金区域(3分10円の通話区域)すべてにアクセスポイントを拡大するという



また、ユーザーに対するサービス提供に関しては、「情報サービス面で、ユーザーの満足度をMSNでカバーできる」とし、ぷららのトップページをMSNに統合することで、十分なサービスが提供できるとした。現在ぷららが同社のサイトで提供しているサービスは、ISP事業から切り離した上で今後の展開を検討するとしている。

同社は現在47万人のユーザーを抱えており、2001年3月までに100万人の会員獲得を目指している。ここに数10万人と言われるMSNのユーザーが移行することで、「早期達成が見込める」(板東氏)と期待を寄せている。

“撤退ではない”――MSNは採算が取れていたと強調

マイクロソフトにて執行役員兼デジタルメディア本部長を務める間宮義文氏はスピーチの冒頭、「一部誌上では“撤退”と書かれているが、あくまで両社の強みを統合した提携だと考えている」と強調。また、採算についても「ビジネスベースに乗っていた」と語り、ISP事業の移管がMSNの運営不振によるものではないことをアピールした。


MSNのユーザー数を問う質問に対し、「非公表です」と押し通した間宮氏。ぷららが今後100万人の会員数を目指すということから、53万人未満であることは間違いないが……
MSNのユーザー数を問う質問に対し、「非公表です」と押し通した間宮氏。ぷららが今後100万人の会員数を目指すということから、53万人未満であることは間違いないが……



MSNは'95年11月のWindows 95発売と同時にISP事業をスタートさせたが、間宮氏は「ユーザーにインターネットへの窓口を開くという一つの使命が終了した」と語り、今後はアプリケーションサービスやコンテンツサービスに特化する姿勢を明らかにした。また、提携相手としてぷららを選んだ理由については「将来のビジョンが一致したのが最大の理由」だと説明した。

MSNは今後ポータルサイトに特化するが、間宮氏は「(検索エンジンの)“MSNサーチ”を開始した時点で、ポータルとして一人前になったと感じている」と語り、現在1ヵ月あたり800万人のユニークユーザー数を、今回の提携による効果で1000万人引き上げたいという目標を口にした。なお、今回のISP事業撤退により、全世界でMSNがISPを提供するのは米国だけになるという。

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