大阪のベンチャー企業、(有)シーズ
ディー・コンサルティングは、このほど会員制のビジネスネットワークサイト“E=CALL”と共同で“ECO
ON LINE”を開設した。同社は環境関連のベンチャーを支援する事業を進めており、同サイトもその延長線上にある。
ビジネスマッチングを狙う
“ECO ON LINE”は環境ビジネスを創出することを目的にしたもので、開設したのは今年の3月21日。主なコンテンツは大きく次の3つに分かれる。・エコグッズのネット販売:商品のどこが環境に配慮したものかを示すなど、環境保全に関心のある消費者に向けた商品情報を提示している。出店も可能で出店者の募集も行なっている
・情報提供:エコライフの提案や専門家による連載記事などを閲覧することができる
・グリーン調達:環境保全を前提にした生産財の売買
グリーン調達のページでは、企業が必要とするものや、提供できる生産財を掲載する。この情報交流により、新たなエコビジネスのマッチングを狙う。ここでの売買は“E=CALL”の会員専用のメニューになっているおり、「安心して取引をはじめることができる」と、同社代表取締役の能塚善之氏はいう。
ホームページ。環境ビジネス創出のビジネスマッチングを狙う |
“ECO ON LINE”が開設した3月には、訪問者数は9917件。「本格的なビジネスマッチングの登場はこれから」(同氏)だが、少しずつサイトの訪問者数も増えている。5月は16532件にまで伸びた。
理念を持った金融機関を
ところで能塚氏は、環境ビジネス創出のコンサルティングのみならず、環境関連への投資や貸付に特化した銀行を作る計画を持つ。同サイトは銀行づくりの布石として位置付けているという。環境保全に向けた研究開発は今や、地球規模で求められている分野だ。しかしながら、制度融資に依存するのも限界がある。株式の公開を前提にしたベンチャーキャピタルの融資も同分野の研究開発には必ずしも向いていない。これが銀行を作る計画の背景だ。
新銀行の形態は信用組合方式が適切ではないかと能塚氏は検討している。投資によって開発された技術や商品を、預金者自身が享受できるようにするためには地域性を大切にする必要があるからだ。「環境保全は市民の皆さんが必要としている問題。生協タイプの金融機関というイメージだ」(同氏)。
「社会的責任の低い経営者は環境ビジネスには向かない」と能塚氏 |
そこで重要になってくるのが企業と消費者の“顔が見える関係”だ。現行では預金者たちには銀行の投資先を知らされない。いわゆる守秘義務で成り立っている。しかしながら、環境分野に特化する投資の場合、ビジネスの質や理念を預金者も知る必要がある。「ビジョンの開示など、情報開示の仕組みをどうするかが課題だ」と同氏は言う。そのためにも生産者と消費者が顔の見える関係が重要になってくる。
こうした関係構築に使おうというのが“ECO ON LINE”のもう1つの目的というわけだ。「今のところ製造者側の『思い』を伝えるだけのかたち」(同氏)だが、供給サイドと、消費者の購買行為が同時に行なわれる場を目指している。来月には準備のためのプロジェクトチームを作り、預金と投資のシミュレーションをウェブを使って行なう。ノウハウの構築と銀行創設の理解者を増やしていくのが狙いだ。
ちなみに環境保全の先進国ドイツでは現在、3つの環境銀行がある。'95年に設立されたUmweltBank(ニュルンベルグ市)は4000人の株主によって支えられ、1900人の預金者('99年)がいる。環境ビジネスへの投資により、昨年は17%の売上増。融資額は1億9800マルク(約101億7200万円)。エコロジーという思想を現実のものにしていくには理念を持った金融機関が求められる。日本では最近、
日興アセットマネジメントがエコファンドという投資信託をはじめる動きがある。
ドイツの環境銀行。'98年、ニュルンベルグで行なわれた環境メッセにて |
・ECO ON LINE
http://www.netdear.com/eco/
・シーズディー・コンサルティング
http://www.ten6.com/seeds/
・日興アセットマネジメント
http://www.nikko-am.co.jp/