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【RoboCupジャパンオープン2000 Vol.2】2足歩行ロボットも登場――小型機リーグ編

2000年06月26日 00時00分更新

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小型機は卓球台サイズのフィールドにゴルフボールを使用、1つのロボットの大きさは直径18センチの円に収まるものという基本レギュレーションで競われる。特徴としては、頭上に設けられたカメラの映像からロボットやボール、フィールド、相手ロボットの位置を認識、ホストコンピューターからロボットに無線で指示を与えるグローバルビジョン方式の利用が認められていること。自由に動く機能を持つロボット、画像処理、ロボットの戦略を指示するアルゴリズムなどの技術が組み合わされている。

ロボットを動かす戦術はホストコンピューターから指示される。画面ははこだて未来大学チームのもの
ロボットを動かす戦術はホストコンピューターから指示される。画面ははこだて未来大学チームのもの



ピントが甘くて申し訳ないが、大阪大学と明石高専チームの『Omni』。上のシリンダー状の部分が全方位カメラだ
ピントが甘くて申し訳ないが、大阪大学と明石高専チームの『Omni』。上のシリンダー状の部分が全方位カメラだ



試合中にロボットの見た目をモニターしているところ。Omniチーム
試合中にロボットの見た目をモニターしているところ。Omniチーム



今年は自前のカメラを持つローカルビジョン方式のロボットが登場した。キーパーロボットがカメラを搭載するケースはこれまでにもあったが、大坂大学と明石高専の合同チームが製作したロボット『Omni』は360度の視野を一望できる全方位カメラ(凸面鏡に映る絵を下からカメラで撮影するもの)を備え、ボールやフィールド、プレーヤなどを認識することができる。より有効な視界を持ちたかったのが理由だという。またその場回転を可能にする駆動系を持ち、そこに「足」の役割を持たせた回転式のリングを装備している点もユニークだった。回転リングでボールを「蹴り出す」ことが可能だ。また個人参加チームの『Egologies』もグローバルビジョンに加えて、自前のカメラを持っていた。



4脚ロボットはフォワード。ボールをゆっくりと追いかけていく。2足ロボットはキーパーだったが……。手前の4輪操舵の高速ロボットはフルスピードだとフィールドを飛び出てしまうので、性能を抑えての参加だ
4脚ロボットはフォワード。ボールをゆっくりと追いかけていく。2足ロボットはキーパーだったが……。手前の4輪操舵の高速ロボットはフルスピードだとフィールドを飛び出てしまうので、性能を抑えての参加だ



Egologiesの3体のロボット。中央がキーパーでボールをはじき返す機構を持っている。正面にボールを認識するカメラを持ち、赤外線で指示を受ける
Egologiesの3体のロボット。中央がキーパーでボールをはじき返す機構を持っている。正面にボールを認識するカメラを持ち、赤外線で指示を受ける



Egologiesのロボットはフィールドに配置されたトランスミッターから赤外線でコントロールされる
Egologiesのロボットはフィールドに配置されたトランスミッターから赤外線でコントロールされる



もっとも注目を浴びていたのは個人参加による『Fukui Football Club』。20センチほどの身長を持つ2足歩行ロボットとAIBO風の4脚歩行ロボット、秒速3メートルという移動スピードを持つ4輪操舵ロボットという形態の異なるロボットで構成されたチームだ。2足歩行ロボットはやや不安定ながらも足を踏み出して歩くことができる精巧なもの。バランスを崩して倒れるアクシデントもあったが、フリーキックでは見事にボールを蹴るシーンも披露した。カメラを搭載しており、ボールの動きを追うこともできる。また、プチAIBO的な雰囲気の4脚ロボットもしっかりとボールを追いかけて歩くなど、いずれも個人で製作したものとは思えない完成度だった。


台に固定された2足歩行ロボット。ゆっくりとだが歩くことができる。開発した本人は「それほど難しくはない」と言うが……
台に固定された2足歩行ロボット。ゆっくりとだが歩くことができる。開発した本人は「それほど難しくはない」と言うが……



Fukui Football Clubの3体のロボット。決勝トーナメントには進めなかったが、その高い技術力は大いに注目されていた
Fukui Football Clubの3体のロボット。決勝トーナメントには進めなかったが、その高い技術力は大いに注目されていた



このほか参加したのは近畿大学の『KU-Boxes2000』、中部大学と愛知県立大学の合同チーム『Owari-bito』、名古屋工学院専門学校の『NAGOYA-RFC』、公立はこだて未来大学の『Linked2000』の計7チーム。試合のほうは総当たりの予選リーグ戦が行なわれ、上位4チームがトーナメント形式で優勝を争った。ただし各チームとも自分たちの実験室などローカルな状況では問題なく動くロボットが、会場の照明などの環境の違いから機能しなかったり誤動作するケースが続出。本来の性能を発揮できない画面が目立った。さすがに決勝トーナメントではそうしたケースは減り、スマートな攻撃を見せたり、的確にボールに反応するキーパーなどが会場を沸かせた。

優勝したのは近畿大学のKU-Boxes2000、準優勝が大阪大学と明石高専のOmniという結果だった。

決勝戦の様子。近畿大学と大阪大学・明石高専の合同チームとの間で競われた。手前の円錐状のボディが合同チーム。ロボットが色つきのピンポン玉を付けているのは頭上カメラによる識別のため
決勝戦の様子。近畿大学と大阪大学・明石高専の合同チームとの間で競われた。手前の円錐状のボディが合同チーム。ロボットが色つきのピンポン玉を付けているのは頭上カメラによる識別のため



優勝した近畿大学のロボットは機構的には非常にシンプル。グローバルビジョンを使ったオーソドックスな作りながら堅実な動きが結果を出した
優勝した近畿大学のロボットは機構的には非常にシンプル。グローバルビジョンを使ったオーソドックスな作りながら堅実な動きが結果を出した



3位決定戦は同点のままPK合戦で勝負がついた。1対1で勝負し、一定時間内にゴールできないと失敗と見なされる
3位決定戦は同点のままPK合戦で勝負がついた。1対1で勝負し、一定時間内にゴールできないと失敗と見なされる





ズラリ勢揃いした小型機部門に参加したロボットたち。試合終了後に参加チームメンバーによる記念撮影も行なわれた
ズラリ勢揃いした小型機部門に参加したロボットたち。試合終了後に参加チームメンバーによる記念撮影も行なわれた

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