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東大の今井教授「2010年にはRSAの1024bitも解読される。無条件に安全な暗号が必要」――情報処理学会連続セミナーから

2000年06月22日 00時00分更新

文● 編集部 高島茂男

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(社)情報処理学会は22日、東京・新宿区の工学院大学において、セミナー“情報処理学会連続セミナー2000 ネットワーク社会とIT”を開催した。種々のIT技術に焦点を当て、計6回の開催が予定されている。同日は、“第1回インターネットと安全性”と題し、セキュリティーに焦点を当てたセッションが行なわれた。

東京大学生産技術研究所の今井秀樹教授が、特別講演“情報セキュリティの展望 技術と社会”で、政府のセキュリティーの対する取り組みなど、最新の話題について講演を行なった。

東京大学生産技術研究所の今井秀樹教授東京大学生産技術研究所の今井秀樹教授



今井教授は、「ネットワーク社会の進展として、日本の大きな動きには電子政府構想がある。しかし、政府やマスコミはこれまで情報セキュリティーに対する理解不足で対策が遅れてきた」と、日本人の「それでも日本は安全」といったグローバル感覚の欠如、対策の遅れを指摘した。

「政府の情報セキュリティー推進体制では、セキュリティーポリシーの策定が急がれている。暗号の安全性、信頼性を高めるプロジェクトも立ち上がった。その暗号技術評価委員会では暗号を世界から公募して評価する。今回は、通産省の委託で特別認可法人の情報処理振興事業協会が評価を行なう。これは、公的情報セキュリティー技術評価機関への第一歩となるだろう」と、語った。

今井教授はユーザー認証の手法について、「パスワードについてはなくなることはないだろう。バイオメトリックスを利用した認証方式では、プライバシーや変更の難しさが問題。課題はいろいろある」とした。

「暗号には2つの主な機能がある。守秘と認証。暗号方式にはDESなどの共通鍵方式と、RSAなどの公開鍵方式がある。DESを破る方法は'90年代に入って一気に短い時間で可能となり、今では1日で解読可能になった。RSAも'99年には140桁が解読された。グラフを伸ばしていくと、2010年ごろに300桁(1024bit)が破られるだろう。2003年には1024bitが解読されるのではないかと言っている人もいるが、いずれにせよ2010年までには1024bitも解読される。量子コンピューターができたら、RSAも楕円曲線暗号も破られる」とし、そういったことからも新暗号が必要だと説明した。

共通鍵暗号方式では、米国のAESや日本のCRYPTRECが評価段階にある。

「暗号技術においては、長期間に渡って安全性が確保できる、いわゆる無条件に安全なものが必要。人も含めシステムの安全性および使いやすさが今後、重要になってくると思う」と講演を締めくくった。

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