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知恵や知識を売買できる“Kスクエア”。“知”のネット市場をオープン

2000年06月14日 00時00分更新

文● ジャーナリスト/高松平藏

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情報の課金システム

今年4月に設立したベンチャー企業、(株)リアルコミュニケーションズは、このほど、個々の知恵や知識を売買できるサイト“Kスクエア”をオープンした。

同サイトが開設したのは今月1日。Kスクエアを訪れたユーザーは質問や情報提供を依頼することができる。それに応えるのは“エキスパート”と呼ばれる情報提供者。自薦・推薦を問わず同サイトに登録した人たちだ。情報のジャンルは無制限。パソコン、健康、就職、趣味など多岐にわたる。

“Kスクエア”のウェブサイト。カテゴリーは、アート・エンターテイメント、ビジネス 、マネー、就職・キャリア、学習・受験 、コンピューター・インターネット、もの知り、子育て・教育、ファミリー、住まい・生活、医療・健康、スポーツ、趣味・ホビー 、ギャンブル、グルメ・クッキング 、トラベル・ローカル情報など多岐にわたる
“Kスクエア”のウェブサイト。カテゴリーは、アート・エンターテイメント、ビジネス 、マネー、就職・キャリア、学習・受験 、コンピューター・インターネット、もの知り、子育て・教育、ファミリー、住まい・生活、医療・健康、スポーツ、趣味・ホビー 、ギャンブル、グルメ・クッキング 、トラベル・ローカル情報など多岐にわたる



ユニークなのは情報のやり取りに伴い、課金システムが構築されていることだ。情報を得たいユーザーは、クレジットマネーやウエッブマネーなどを利用して擬似通貨(ポイント)を購入するか、自ら“エキスパート”として登録し、情報を提供することで擬似通貨を得る方法がある。情報の“売買”で擬似通貨を一定以上蓄積できた“エキスパート”はそれぞれの銀行口座に振り込まれるという仕組みだ。情報料の一部を仲介手数料として受け取ることで、同社の利益とする。

6月中を試験期間と位置付け、無料でサービスを運用する。当分、メールと掲示板を使った情報交換を行なうが、電話やiモードなどの携帯電話を利用することを視野に入れている。また、サイト訪問者は状況に応じて、掲示板を利用した“質問オークション”に参加できる。これによって必要な回答を複数の情報提供者から得ることが可能だ。

同社は現在400名以上の情報提供者を組織化しており、年内に4000人にまで増やしたいという。月間ユーザーは1万人を目標にしている。

知価時代のビジネスモデル

昨今、電子メールやインターネットの普及に伴い、利用者にはきちんとしたコミュニケーションの技能が求められている。たとえば、ベンチャー経営者たちで運営されていたある有名メーリングリストが最近閉鎖された。その理由は他人の発言に対する批判や皮肉が増え、建設的な議論がなくなっていったことだといわれる。ネットを使った情報交換で価値を創造していくには、コミュニケーションの質が重要だ。

これに対して、Kスクエアは情報提供者の回答の評価を行ない、集計の上公表していくという。さらには価値のある回答を導くような質問には表彰していくなど、コミュニケーションのクオリティーチェックをする。これによって、質問者、情報提供者の質の向上を図るという。

ところで、昨年7月に経済企画庁が発表した“経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針”では、近代工業社会を超えた“知恵の社会”に向かうべきだと打ち出した。「サービス業が主流になる時代、知識や知恵のマーケットもあってしかるべきだ」と立川幸治さん(リアルコミュニケーション取締役)はKスクエアの意義を力説する。コミュニケーションのための技能と、情報に対しての価値付けにこそ“知価時代”の要があるといえる。

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