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インテル、820用MTHの提供計画を撤回――低価格PC向けCPU“Timna”は2001年に

2000年06月07日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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米インテル社は5日(現地時間)、『インテル820チップセット』『同820E』向けに開発中としていた新しい*MTH(Memory Translator Hub)の提供計画を撤回したことを明らかにした。820用MTHには欠陥が見つかったことから、5月10日に回収を行なうと表明(http://www.intel.co.jp/jp/intel/pr/press2000/000511b.htm)。さらに先月末には修正版のMTHを開発中とコメントしていた。

*MTH: MTHはSDRAMをダイレクトRDRAMインターフェースで利用できるようにするチップ。820/820Eは、メモリーインターフェースとしてはダイレクトRDRAM用のものしか用意されていない。

820/820E用のMTHは用済みか

回収対象となったMTHのトラブルとは、高い負荷がかかっている状況でノイズの影響を受けやすくなり、結果としてシステムのハングアップやリセットを招くというものだった。これに対して、新MTHではノイズ感度に対して対策を施したものを開発中で、評価が終わり次第投入するということだった。ところが今回、MTHのトラブルの原因を取り除くためには大幅な設計変更が必要と判断したという。チップを新しく設計するとなると、半年以上はかかる計算になる。

インテルでは、台湾で開催中のCOMPUTEX TAIPEIにおいて、SDRAMインターフェースを持つ新チップセット815/815Eを搭載したマザーボードの展示を行なっている。このチップセットは、現時点では未発表だが、第2四半期中に提供するとしており、まもなく正式に発表されることは明らか。こうした状況から、820/820Eに対して半年以上も先にMTHを提供する必然性は失われたという判断がなされたと見られる。

チップセット統合型プロセッサーTimnaは2001年第1四半期

ところがこれですべてではなく、MTHの提供計画が撤回されたことから、同じMTHを使用する予定で、今年後半に予定されていた、チップセット統合型プロセッサー“Timna”(ティムナ)のリリースも、2001年第1四半期に延期となった。

Timnaは、600ドル以下という低価格パソコン向けに計画されているプロセッサーで、グラフィック機能を持つチップセットとCeleronクラスのプロセッサーを統合したプロセッサー。ところが、今年後半に登場するとされていたこのTimnaも、ダイレクトRDRAMを使用することになっていた。

これは、グラフィック機能を統合する上で、SDRAMよりも高速にアクセスできるダイレクトRDRAMのほうが有利という判断によるものだった。インテルはTimna登場時には、ダイレクトRDRAMの価格が下がると見ていたわけだが、意に反して低価格パソコンに使用できるほどの価格にはなっていない。そこで、リリース時にはMTHをセットにして、廉価なSDRAMを使えるようにしていたわけである。820/820E向けMTHの開発中止の影響をまともに受けた格好だ。

2001年第1四半期においても、低価格パソコンで利用できるほどダイレクトRDRAMの価格は下がりそうにないため、インテルでは今後、Timna向けに、MTHと同様の働きをする、別の呼び名を持ったチップの開発を行なうとしている。

Timnaの市場投入が大きく遅れることで、台湾のVIA Technologies社が計画している対抗プロセッサー“Mathew”が先に登場する可能性も出てきた。

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