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日立と聾唖連盟、『電子版 日本語―手話辞典』を発表――日本語の文章を手話アニメーションに翻訳

2000年06月07日 00時00分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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日立製作所(株)とろうあ者の福祉増進や手話の普及を目指して活動する(財)全日本聾唖連盟は6日、手話アニメーション辞典『電子版 日本語―手話辞典』を発表した。これは、聾唖連盟の書籍『日本語―手話辞典』と、日立の“日本語-手話翻訳エンジン”を組み合わせて製品化したもの。ユーザーが入力した日本語の文章を翻訳し、3Dキャラクターで手話アニメーション化する。聴覚障害者、手話通訳者をはじめ、教育機関や趣味のサークルでの学習といった用途を想定している。

手話の動作が見やすいように、キャラクターの腕や手のひらは大きくデフォルメされている
手話の動作が見やすいように、キャラクターの腕や手のひらは大きくデフォルメされている



手話で再生する文章は、キーボード入力のほか、一般的な音声認識ソフト* を使った音声入力や、『電子版 日本語―手話辞典』が搭載するあいうえお順の単語帳からの検索/入力が行なえる。ユーザーが入力した文章を手話アニメーションとして再生するために、“日本語-手話翻訳エンジン”が、文章を単語単位に自動分割し、手話辞書を利用して手話独特の慣例表現**に変換する作業を行なう。ここで使用する手話辞書には、書籍『日本語―手話辞典』に登録されている6000単語/8000例文が登録されている。

*
記者会見で行なわれたデモでは、日本アイ・ビー・エム(株)の『Via Voice』を使用した。そのほかについては、動作確認中という

** 例えば、「今日は海に行きたい」という文章を手話で表現する場合、「今日」「海」「行く」「好き」という単語を表現する動作を連続して行なう

ビューアーは、単語の入力/検索画面が約2分1を占め、残り半分は3Dキャラクターと、手話表現の解説文を表示する。

手話を再生するキャラクターの腕や手のひらは大きくデフォルメされており、身体を横に360度回転させて立体的に見たり、任意の部分を拡大表示したり、手話の再生速度を変更することができる。対応OSはWindows 95/98で、DirectX 6.0が必須となる。7日から予約を受け付け、9月19日に出荷を開始する予定。価格は1万8000円。

手話アニメーション作成ソフト『MimehandII』も同時に発表

日立は同時に、手話アニメーション作成ソフト『MimehandII(マイムハンド ツー)』を発表した。手話アニメーションの再生機能や、変換エンジン、搭載する手話辞書は『電子版 日本語―手話辞典』と同じもの。ただし、こちらは3Dキャラクターの手話アニメーションをAVI/VRML形式の動画として保存できる。用意するキャラクターは女性/男性/子供の3タイプ。キャラクターの表情に喜怒哀楽を付けたり、方言などに合わせて指や腕の動きを編集/保存することもできる。

前バージョンの『Mimehand(マイムハンド)』からの大きな変更点は、日本語の文章を手話アニメーションに翻訳する“日本語-手話翻訳エンジン”の搭載と、書籍『日本語―手話辞典』に準拠した手話辞書の搭載。単語の登録数は『Mimehand』の4000語から、6000語に増強されている。

対応OSはWindows 95/98で、DirectX 6.0が必須。7日から予約を受け付け、9月19日に出荷開始の予定。価格は『MimehandII-Standard』が5万8000円で、作成した動画を商用で利用したい企業/自治体向けの『MimehandII-Pro』が50万円。

「アニメーションで手話の動きが見られるソフトの登場は、手話の普及に貢献」

聾唖連盟理事長の安藤豊喜氏
聾唖連盟理事長の安藤豊喜氏



今回CD-ROM版の発売に先立ち、聾唖連盟理事長の安藤豊喜氏は、「我々は手話を、動く言葉と考えている。紙の上でイラストを使って整理しても、なかなか理解しずらい。アニメーションでその動きが見られるソフトの登場は、手話の普及や制度化に貢献するのではないか」とした。

日立は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者向けの意志伝達装置『伝の心』をはじめ、福祉関連分機器/ソフトの開発を一環して行なってきている。『Mimehand』の発売は'98年で、累計で200本が販売されたという。

ちなみに、'98年に出版された書籍『日本語―手話辞典』の発行部数は、累計で3万部。日立は、聾唖連盟と共同で手話ソフトの製品化を行なうことで、製品の認知度が向上すると期待する。今回発表した2製品の販売目標は、『電子版 日本語―手話辞典』が累計で3万本、『MimehandII』が同じく1万5000本とした。

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