ビデオチップ用DRAMの開発で知られる、米シリコン・マジック社は、6日、5月1日付けで東京・世田谷区に日本事務所を設立した。初代所長には村沢啓次氏が就任。今後同氏を中心に国内向けのサポート/販売/製造委託業務を行なう。また、合わせて同社は、米東芝アメリカ・エレクトロニック・コンポーネンツ社に対し、3月に発表されたマルチプロセッサー構成のシステムLSI『DVine』(DRAM
Vector engine)のライセンスを供与したと発表した。
日本事務所の所長に就任した村沢啓次氏 |
DVineは、複数個のマイクロプロセッサーモジュールとDRAMを1チップに集積したマルチプロセッサー構成のシステムLSIで、今後急速に市場が拡大するセットトップボックス(STB)、HDTV、デジタルビデオといったデジタル家電製品に組み込まれる、MPEG-1/2エンコーダーなどの用途を想定している。
“Compute Module”と呼ばれるマイクロプロセッサーモジュールは、独自開発の32bit
RISCコア“REX”とVectorエンジンの“V16”の2つで構成され、キャッシュ/レジスターに関しては双方で共有する。各Compute
Moduleと内蔵DRAMの間は128bitの内部バスで接続される。また、DRAM-バス間に置かれた“Memory
Interface Unit”には“Streaming Memory Processor”と呼ばれる機能を搭載し、メモリー内のデータをバスに流す前に最適化する仕組みが盛り込まれている。
DVineの構造図 |
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内蔵するCompute Moduleの個数、統合するeDRAM(組み込み用DRAM)の容量は応用機器に合わせて変更可能。3月に同社が試作したチップでは、4MBのeDRAMと6つのCompute
Moduleを搭載。プロセスルールは0.25μmだが、将来的には0.18μmを採用した低消費電力/低コストな製品も開発する。
なお、今回の東芝との提携の内容の詳細は明らかにされなかったが,シリコン・マジックの提供する基本アーキテクチャーを元に東芝独自のチップ開発が可能になる模様。シリコン・マジックのオーディオ・ビデオ製品事業部門副社長兼ジェネラルマネージャのShubha
Tuljapurkar(シュバ・ツルジャプルカ)氏は、「将来的に、DVineのコアを中心にCCDコントローラーや1394/USBインターフェイスなど各種I/O機能を統合したチップの開発も可能」としており、東芝独自のカスタマイズを施したチップが登場する可能性に関しても示唆した。
オーディオ・ビデオ製品事業部門副社長兼ジェネラルマネージャのシュバ・ツルジャプルカ氏 |