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フリーウェイ、経営再建に向けて報道関係者向け発表会を開催

2000年06月06日 00時00分更新

文● 編集部 小林久

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民事再生法に基づく再生手続き申請を、6月1日に提出した(株)フリーウェイは、6日、同件に関する報道関係者向け発表会を開催した。同日に行なわれた、債権者向け説明会を受けてのことで、説明会には、同社代表取締役社長の石垣俊和氏以下、同社の幹部が出席。今回の申請を行なうにいたった経緯と今後の取り組みに対する指針を示した。



ゴールデンウィーク商戦で売り上げ伸びず

フリーウェイの代理人を務める、上柳敏郎弁護士によると、平成10年度(平成11年3月期)の同社の経常利益は約5億800万円。しかし、同11年度(同12年3月期)の決算では、台湾地震による製品出荷の遅れにより、売り上げは約261億円に低迷。6億3400万円の赤字を記録した。この収益減を挽回すべく、平成12年4月に通常の仕入れ値を上回る27億円の仕入れを行なったが、予想以上に売り上げが伸びず、決算のための現金確保に失敗。結局、平成12年5月末日の債務資金が約8億円不足する結果になったという。

発表によると、同社が現在把握している負債総額は42億円超で、内訳は買い掛け金が23億9300万円、銀行借入が10億9990万円、一般経費が5億2200万円、公租公課500万円、エンドユーザーに対するバックオーダー分が1億1000万円などとなっている。

一連の事情について説明する上柳敏郎弁護士
一連の事情について説明する上柳敏郎弁護士



同社社長の石垣氏は民事再生法申請に踏み切った理由として、「台湾に逃亡した、株で失敗したなどさまざまな憶測があったと聞いているが、今回の決定はユーザーを守るために選択したものだ。修理依頼や代金を先払いしたユーザーに対して迷惑をかけないため、5月31日11時ごろ、弁護士と相談して決めた。営業を続けながら債務を返済していける新しい法律があるということで、申請を行なった」と述べた。

フリーウェイ、代表取締役社長の石垣俊和氏、ユーザー債権者に対する責任を十分感じている姿が痛々しかった
フリーウェイ、代表取締役社長の石垣俊和氏、ユーザー債権者に対する責任を十分感じている姿が痛々しかった



また、債権者に対しては、「(民事再生手続きを通じ)1円でも多く、1年でも多く返済していきたい。今後に関しては決まっていない部分も多いが、5月末までで19億円の在庫がある。それを早く現金化し、債権者に個別でお願いしてその資金を回転させていきたい」とした。同氏は国内大手メーカー、海外数社から出資に関する話が舞い込んでいることに関しても触れながら、「具体的な再建案を相談しながら作成していきたい」と今後の意欲を示した。

また、役員の入れ替えなどの計画はあるかという記者の質問に対し、「最後までやりぬくことが責任」とコメントした。

上柳弁護士によると、「民事再生法は4月にできた法律で、債務超過の恐れがある場合、または払おうとすると事業に著しい支障が出る際に、債権者の協力を得て、裁判所から選出された監督員の監督下で再生計画を練っていくもの」であるという。

また、事業を行なう際には監督委員の同意が必要で、保全処分により、5月31日までの債務を弁済することを禁止されている(フリーウェイは当面払わなくていい)ため、債務をいったん棚上げし、事業によって生じた利益を持って、債務を返済するという手続きをとることができるとその特徴を説明した。

なお、裁判所が提示する標準手続きに従うと、フリーウェイは7月中に債権届出、8月中に再生計画を出す必要があり、12月中に債権者集会を行なって、再生計画を認めてもらうことができなければ、破産手続きによって会社をつぶすことを余儀なくされるという。同氏は、その点を指摘した上で、「できるだけたくさん債務を返していく計画を立てられるかどうかが、カギになる。事業継続、再生のために必死に活動をしているが、取引先や顧客の協力なしには事業を継続していけない。そのためご理解をいただきたい」と経緯説明を締めくくった。

マスコミ向け説明会の前には、債権者向けの説明会が行なわれた。こちらの取材はできず、正確な数は把握できなかったが、参加者の数は数百人に及び、立ち見がでるほどだった
マスコミ向け説明会の前には、債権者向けの説明会が行なわれた。こちらの取材はできず、正確な数は把握できなかったが、参加者の数は数百人に及び、立ち見がでるほどだった



インターネット通販も再開

なお、説明会終了後の質疑応答では、今回の一件で実害を蒙りそうなユーザーに対する対応に集中した。以下その概略を述べる。

──エンドユーザー関係の債務1億1000万円とはどういう意味か。
「電話、インターネットなどを通じて前入金された製品で出荷前のものが中心だ」

──台湾地震のあと、パソコン以外の事業にリスク分散することは考えなかったか。
「今年の1月から法人営業部を設置したが、サーバーの受注1000台と確実に伸びている。店舗での利益率の悪さをトータルサポートで解消していきたい。国内メーカーのPCは低価格化してきており、利益的には難しい。そこで、店舗ではフリーウェイデザインとして自社ブランドの商品、ケースなど付加価値のある製品を提供していこうとしている」

──債権者の反応に関して
「再建案が出るまでは、コメントできない」

----Web通販は未だに停止しているが、その割合はどのぐらいだったのか。
「売り上げは15~20%程度。停止しているのは、物流センターが本格稼動していないため、物流センターが稼動次第、再開したい」

──クレジット決済に関してはどうか。
「利用できないのが実際。今後は代引きを中心にした決済になる。物流センターは明日の午前中から開始。Webに関しても明日開けられる方向で動いているが、メンテナンスの時間がかかっている」

----エンドユーザー向けの製品出荷の優先度はどうか。
「エンドユーザーへの出荷に関しては、10万円以下の商品に関しては、すぐに出荷できる。10万円以上の商品に関しては、10万円の枠を拡大して、吸収していく。それを超えるものに関しては、別の法的な枠組みを用意する必要があるため、時間がかかる」

──再開した秋葉原の店舗の状況はどうか。
「秋葉原3店舗に関しては、通常の8~9割程度の来店数。売上に関しては確かに通常の売上よりも悪いが、そう極端には減ってはいないと思う」

──修理物件とサポートの件に関して
「修理預かり品に関しては最優先で修理している。売上台数が減っているため逆にサポート速度は速くなると思う」

──売り上げ減なのに名古屋店を出展した理由について聞きたい。
「4月の名古屋店出展は昨年12月に決まっている。月1.5憶、社員10名、粗利11%を目指していた」

──売り上げ減のもっとも大きな要因となったのは何か。
「人数が増え、店舗数も増えた。そして、情報共有、在庫管理、店舗間移動がうまくいかないという点が見られるようになった。そのため、納期などに大きな遅れが出るケースも多かった。それを打開するために7月1日にショップでユーザーが簡単にBTO注文できる基幹システムを稼動させる予定だった。それで差別化を図れればと思っていたが……」

──返金要求などはあるか。また返金は可能か。
「返金に関しては、10万円以下なら可能。しかし、それ以上に関しては、裁判所の許可がいる。早めに許可をもらいたい。ただし、返金対応は意外と少ない。逆に暖かい言葉をいただけることもある。なお、在庫に関しては、5月31日にルートに乗せて止まっているものもある。その数は100~150人分だ。これは早急に解決できるだろう」

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