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ソフトバンク、連結売上高は前期比19%減――孫氏、ネットバブルを否定しグループの価値を強調

2000年05月26日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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ソフトバンク(株)は26日、2000年3月期の決算発表会を東京証券取引所で開いた。連結売上高は前期比19%減と4232億円で営業利益は同30%減の83億円。昨年売却した米子会社の売上と利益が減ったため。米子会社の売却損は子会社の株式売却益で穴埋めし、純利益は前期比77%減の84億4600万円とした。決算発表会で同社社長の孫氏は、「グループ企業は400社に達した。一時的に市場の浮き沈みはあるだろうが、長期的には本質的なグループ価値を市場は評価するだろう」と“ネットバブル”との指摘を余裕で受け流し、将来のグループ経営に自信を見せた。

決算を発表する孫氏
決算を発表する孫氏



連結売上高と営業利益の減少は、米国のメモリー製造子会社であるKingston Technology社と、米国の出版子会社Ziff Davis社の一部事業売却により、両社の売上分が減ったためと説明している。また米国子会社のソフトバンクホールディングス社に対する円建て貸付金約2629億円の評価替えで475億円の為替差損が発生、経常利益がマイナス513億9200万円と赤字額がふくらんだ。またKingston社の売却損とZiff Davis社の無形固定資産の一時償却費合計約2000億円を特別損失に計上。だがトレンドマイクロ(株)とソフトバンク・テクノロジー(株)の株式売却益合計約2200億円を特別利益に計上することで穴埋めし、最終的に純利益は黒字を確保した。

今期の見通しについては、「ソフトバンクホールディング社への円建て貸付金など、予測不可能な要因が多い」(孫氏)として具体的な発表はしなかった。その分、同社のサイトでグループ時価総額を毎日更新して発表するなど情報公開を進め、業績予想も固まり次第、ウェブ上で発表するという。

孫氏は今後の方針として、ソフトバンク・ファイナンス(株)やソフトバンク・イーコマース(株)といった事業分野ごとの中間持株会社をすべて株式公開し、各事業分野の独立性を高める戦略を明らかにした。

これに伴い、ソフトバンク・ファイナンス社長の北尾吉孝氏とソフトバンク・イーコマース社長の宮内謙氏を、ソフトバンク本体の常務兼任を解く人事を発表した。事業分野の経営に専念させるのが目的で、両氏は引き続きソフトバンク取締役としてグループの戦略決定に関わっていく。また新任の常勤取締役として、安田信託銀行(株)取締役相談役の笠井和彦氏を迎えることも明らかにした。

「グループ企業はこれからも増え続ける。シリコンバレーのような“ソフトバンクバレー”を作りたい」と語る孫氏 「グループ企業はこれからも増え続ける。シリコンバレーのような“ソフトバンクバレー”を作りたい」と語る孫氏



社債の残高が2100億円に上っている点については、今後8年間で償還するスケジュールを示した。孫氏は「グループ全体で保有する現金は約2680億円に上っており、今すぐにでも返済することができる」と資産状況に十分余裕があることを強調した。

発表された今期の主な計画は以下の通り。

・ナスダック・ジャパンの6月オープン
・イートレード証券(株)、モーニングスター(株)、ソフトバンク・インベストメント(株)の株式公開
・PC雑誌を基盤とし、インターネットユーザーを取り込むウェブマガジン『V/Walker』創刊
・スピードネット(株)の追加実験

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