マイクロソフトは、コンシューマー用PC向け次世代OS『Microsoft Windows
Millennium Edition』(以下、Windows Me)のプレステクニカルセミナーを開催、関係者向けにWindows
Meの製品概要を説明した。
Windows Me起動画面 |
(クリックで拡大表示します)
Windows Meは、初心者向けのシンプルな操作性と、PCでのデジタルメディアの活用、より快適なインターネット環境を考慮したコンシューマー向けOS。米インテルと米マイクロソフトが共同提唱するPCデザインコンセプト“EasyPC”に対応した同社初のOSとなる。PCのハード/ソフトの両面から、操作性の向上、メンテナンスの自動化、レガシーフリーなどを目指している。
セットアップ終了直後のWindows Meデスクトップ画面。見た目はWindows 2000 Professionalとほとんど変わらない |
(クリックで拡大表示します)
初心者向けに操作性を向上
PCにトラブルがあった際などに、ある特定時点の状態までシステムを復元できる“システムの復元ウィザード”や、Windows 2000と同種のシステムファイルの書き換えを防ぐ“システムファイル保護”、サポート情報をヘルプセンターに統合した“ヘルプとサポート”などを搭載する。
(クリックで拡大表示します)
“Cドライブ”ウインドーとヘルプ画面。Cドライブを開くと、最初はフォルダやファイルといったドライブ内容は一切表示されず、ユーザーの誤操作などによるシステムファイルの書き換えを防いでいる。画面左の“このドライブの内容をすべて表示する”を選択すると内容が表示され、この作業を3回繰り返すとCドライブを開いた段階ですぐに内容をすべて表示するよう設定が変わる |
(クリックで拡大表示します)
デジタルメディア関連ツールを搭載
デジタルメディアを活用するためのツールとして、動画作成ツール『Windowsムービーメーカー』、デジタル画像の自動取り込みが可能な“Windows Imaging Acquisition(WIA)”アーキテクチャー、デジタルメディア再生ツール『Windows Media プレーヤー 7』を搭載する。 (クリックで拡大表示します)
WIAは、周辺機器などから画像データを取得、保存できるアーキテクチャー。WIAに準拠したデジタルカメラやスキャナーなどとPCを接続すると、“スキャナとカメラウィザード”が自動的に起動し、画像データをPCに取り込める。スキャナーで画像を取り込んだ場合は出力ファイル形式を選択可能、またデジタルビデオカメラを利用して、任意のシーンの場合静止画像を取得できる。取得した複数の画像データを利用して、スライドショーやスクリーンセーバーを作成することも可能。なお、WIA規格に準拠した周辺機器をPCにつなげると、“マイコンピュータ”ウインドーに周辺機器名が表示される。
インターネット関連ツール最新版やホームネットワークサポート機能を搭載
インターネット関連ツールは、DHTMLや印刷プレビュー、128bit暗号をサポートした『Internet Explorer 5.5』のほか、『Outlook Express 5.5』、『NetMeeting 3.1』、『MSN Messenger』といったコミュニケーションツールの最新版を搭載している。Outlook Express 5.5はバージョン5.01の障害やセキュリティーに関する問題を修正したバージョン、NetMeeting 3.1はチャット、ホワイトボード、アプリケーションの共有などが可能なオンライン会議ツール、MSN MessengerはOutlook ExpressやNetMeetingと連動するインスタントメッセージツールとなっている。また、ホームネットワークをサポートする“ホームネットワークウィザード”を搭載する。
ホームネットワークウィザード画面。ネットワークの設定やインターネット接続の共有、ファイルとプリンターの共有といった各種設定をウィザード形式で行なえる |
(クリックで拡大表示します)
ホームネットワークでWindows Me以外のOS(Windows 95/98)のPCを利用する際に、設定をバッチスクリプトにしたセットアップディスクを作成できる |
(クリックで拡大表示します)
『Windows Media プレーヤー 7』はWindows Meよりひと足早く7月に単体リリース
『Windows Media プレーヤー』は、デジタルメディア制作/配信/再生システムの最新版『Windows Media Technologies 7』の再生プレーヤー。『Windows Media プレーヤー 7』日本語版、およびコンテンツ制作ツール『Windows Media エンコーダ 7』日本語版は、6月末に製品版が完成予定で、ウェブサイトからの無償ダウンロードが7月中旬に開始される。また、SDKの最新版は7~8月にリリース予定という。Windows Media プレーヤー 7”画面。音楽CDを再生できる“CDオーディオ”や、コンテンツパートナーのリンクが表示される“メディアガイド”が追加されている。音楽CDをPCのドライブに挿入すると、専用ウェブサイトなどからCD情報を自動的に取得し、アーティスト名や曲名などが表示される |
(クリックで拡大表示します)
音楽CDから曲データをデジタルメディアにリッピング(圧縮コーディングしてコピー)することが可能。また、リッピングした曲データをドラッグ&ドロップして、オリジナルの再生リストを作成できる |
(クリックで拡大表示します)
プレーヤーのフレーム“スキン”は、さまざまな種類のデザインが用意されている。SDKを利用すれば、オリジナルのスキンを作成可能だ。プレーヤーの画面中央の稲光のようなものは視覚エフェクトで、音楽データを再生中に画面に表示される。また、グラフィックイコライザーも用意されている |
(クリックで拡大表示します)
年末商戦に合わせて製品をリリース
セミナー会場で、同社プラットフォーム製品マーケティンググループ御代茂樹グループマネージャは、Windows Meの製品概要とマーケティング戦略について説明した。
プラットフォーム製品マーケティンググループ御代茂樹グループマネージャ |
冒頭に紹介されたWindowsテクノロジーのポジショニング。Windows 95/98、Meは、エンドユーザーを16bitアーキテクチャーから32bitアーキテクチャーへ移行させるためのエスカレーター役だと改めて強調。また、次世代OS『Whistler』は、64bitアーキテクチャーへのアプローチという位置付けとのこと |
「Windows Meは、家庭用に特化したシンプルな機能と操作性を提供するOSで、初めてPCに触れる人向け。Windows 2000 Professionalは、ビジネス、および個人でビジュアルデータを扱う人向け。税制改革や、PCの低価格化、プレインストールモデルの増加に伴い、リテール市場やダイレクト市場でビジネスユーザーの割合が増加している。われわれは、インターネットや電子メール、ゲームを中心とした初級/中級ユーザーにWindows Meを、ビジネスユーザーやパフォーマンスを求める中上級ユーザーにWindows 2000を提供していく」
「Windows Meは、本来なら“Third Edition”とするべきだったのかもしれないが、正式名称『Microsoft Windows Millennium Edition』(和文:マイクロソフト ウィンドウズ ミレニアム エディション)にした。98の次ということで名称に“Millennium”という言葉を入れたが、メジャーアップデートではないため、“Edition”という言葉で表現した」
製品は、PCへのプレインストールとパッケージで提供される。プレインストールPCは、既存のWindows 98 Second Editionモデルを敬称する形となる。パッケージは、新規ユーザー用のスタンダード版(通常パッケージ)と、Windows 95/98/98 Second Edition用のバージョンアップグレード版を用意する。「アップデート内容としては、Windows 95からWindows 98へ上がったときの位置付けより小さい」(御代氏)。
日本語版のスケジュールは、5月下旬に最終仕様β版(RC版)が提供される。英語版のRC版は完成しているという。ハードウェアメーカーやパッケージ制作会社に配布するための製品版(RTM)は7月中旬にリリース予定で、パッケージ発売は今秋という。御代氏は「年末商戦に合わせて出荷したい」としている。
製品プロモーションについて御代氏は「年末商戦をターゲットに、リテール市場に完全フォーカスしたプロモーションを展開する。また、Windows 98 SEのときは、周辺機器などで動かないものがあり問題となったため、ハードウェアメーカーと話し合いを重ね、アップグレード対象機種を明示していく」と語った。
なお、発売時期や価格、販売戦略などにおける詳細は未定で、今後順次情報を提供していくという。