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今夏にMac OS Xのパブリックベーター(公開β)登場。ドックのデザインなどの変更も――WWDC2000(前編)

2000年05月16日 00時00分更新

文● 林信行

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21世紀のMac像を期待し、過去最多の参加者が集まる

米時間5月15日、カリフォルニア州サンノゼ市で、毎年恒例の、アップル社によるWorldwide Developers Conference(WWDC)が開幕した。今年はMac OS XやWebObjectsといったアップルの最新テクノロジーを学ぶために、世界中から3600人弱の開発者(昨年に比べて40パーセント増)が参加した。
 
同イベントの公式ページには“Last year Mac OS X was a promise. This year it's a reality.”(昨年、Mac OS Xは公約に過ぎなかった。今年は現実となった)と掲げられているが、この言葉の通り、開幕イベントであるスティーブ・ジョブズ氏の基調講演直後にはMac OS Xの開発者向け最新リリース、Developer Preview 4も配布された。
 
このDP4が採用したAPI仕様は、最終形態であり、まもなく登場する製品版でも大きく変わることはない。
 
ジョブズ氏は“No more excuses ...(もはや言い訳は通用しない)”と、集まった開発者たちを(Mac OS Xに最適化したソフトをつくるように)焚きつけた。

ジョブズ氏は“No more excuses、Time is NOW!”――“今こそがその時だ”といった挑発的なメッセージで開発者のMac OS X開発を焚きつけた
ジョブズ氏は“No more excuses、Time is NOW!”――“今こそがその時だ”といった挑発的なメッセージで開発者のMac OS X開発を焚きつけた



ユーザー/開発者の声に応えるアップル、Mac OS Xは約束通りこの夏登場!?

気になる次世代OS、Mac OS Xだが、WWDCのオープニングイベント、スティーブ・ジョブズCEOの基調講演で、リリース予定に若干(じゃっかん)の修正が加わった。
 
これまでは夏ごろにパッケージ版を発売、来年1月から(ハード)製品にバンドルする予定だった。新しい予定では、この夏ごろリリース予定の仕様がほぼ固まったバージョンは、製品パッケージではなく、パブリックベーター(公開β)という形で一般公開される。

アップル社は、来年初めごろ、Mac OS Xの(ハード)製品へのバンドルが始まった時点で改めて、同OSをリリースする予定だ。

Mac OS Xの正式リリースは来年1月。今年の夏は一般向けにパブリックベーター版が公開される。配布形態などの詳細は明かされていない
Mac OS Xの正式リリースは来年1月。今年の夏は一般向けにパブリックベーター版が公開される。配布形態などの詳細は明かされていない



ジョブズ氏はパブリックベーター版が欲しいというユーザー/開発者の声に応えたとしているが、従来のMac OSと内部設計も外見も大きく異なる同OSの使用で、どういった影響が出てくるのかはかり知れていないというのも大きな理由の1つだろう。
 
ちなみに、今回の基調講演で初披露されたDP4は、これまでに公開していた開発者向けバージョン、DP3に寄せられた開発者やユーザーの意見を大きく反映する改良が加えられている(前バージョンのDP3は、これまで1月のMACWORLD EXPO/SAN FRANCISCOや2月のMACWORLD EXPO/TOKYOで披露され、既に一部の開発者に配られていた)。  

Mac OS X DP4のイメージ図、一見、これまでのAQUAと同じようだが、細かなところにユーザーや開発者の意見を生かした改良が加えられている
Mac OS X DP4のイメージ図、一見、これまでのAQUAと同じようだが、細かなところにユーザーや開発者の意見を生かした改良が加えられている



1番大きく変わったドックのデザイン

1番大きく変わったのはドックのデザインだ。

1月に初披露された『ドック』は汎用アプリケーションを登録しておくアップルメニューやランチャーとしての機能、実行中のソフトを切り替える“アプリケーション切り替え”の機能、ウインドーを最小化する“ウィンドウシェード”の機能などを併せたもった新しいユーザーインターフェースとして注目を集める一方で、これら異なる役割を持つアイコンを区別せず混在させていたことから専門家たちからの批判を浴びることになった。
 
アップルはこうした声に耳を傾け、DP4が採用するドックでは大幅な改良が加えられている。まず、ドックの中程に境界線が表示され、その左側にはアプリケーション、右側には書類のアイコンが表示されるという新しい決まりを採用している。

新しいドックでは境界線が引かれ、アプリケーションソフトと書類ウインドーなどが区別されるようになった
新しいドックでは境界線が引かれ、アプリケーションソフトと書類ウインドーなどが区別されるようになった



このほか、ドックの背景は半透明になり、画面の下にはみ出ているようなウインドーを最小化すると、1度ウインドーが(上方向に)ジャンプしてから、(ドックの中へと飛び込む)ようなアニメーションが表示されることも新たに分かった。

またDP3のデモを見た多くのユーザーが声を寄せていた、よりマックらしい操作(例えばグチャグチャ“無秩序”にアイコンを並べること)や、前バージョンよりはるかにきれいなアイコンを採用したこと(システムツール系はグラファイト系の色、それ以外はカラフルな色彩)などだ。

これまでMac OS X(DP3)では、採用しているフォントやボタン類などのデザイン的問題で同じアプリケーションの同じウインドーでもMac OS 9を使って表示した場合に比べてウインドーが大きめになってしまうデザインだったが、DP4では現在のMac OS 9(プラチナアピアランスと同じ大きさに収めることができるようになった。
 
ユーザーインターフェースが改良された(ユーザーの意見を反映した)のは、Mac OS X本体だけではない。

実は同OSに添付予定の新しいQuickTime Playerも機能的には従来通りだが、一部のユーザーの間で不評だったユーザーインターフェースが大幅に改良されることが明らかになった。これまでプレーヤーの下側に必ず表示されていたチャネルトレイはなくなり、なんと“TV”ボタンをクリックするとウインドーの中にチャネル一覧が表示されるのだ。

新しいQuickTime Playerではチャネル一覧はムービー表示エリアに表示される
新しいQuickTime Playerではチャネル一覧はムービー表示エリアに表示される

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