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【INTERVIEW】「アスキーとEC事業展開のインフラを築きたい」--米ConnectixのChihsan Ho氏

2000年04月19日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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米Connectix社は18日(現地時間)、同社のMacintosh用ユーティリティー『バーチャルPC』の日本国内での販売において(株)アスキーと提携したと発表した。今後アスキーはバーチャルPCの国内代理店として、製品の販売とサポートを行なう。

契約を締結したのは3月末で、この日に正式に調印、4月19日の正式発表となった。アスキーは取り扱い製品第1弾として、Window 2000に対応した『バーチャルPC 3.0 Windows 2000』を5月中旬に発売する。価格は未定。

今回の提携に伴い、ConnectixのインターナショナルセールスディレクターであるChihsan Ho(ホー・チイサン)氏が来日、ASCII24のインタビューに応えた。

米Connectix社のChihsan Ho氏。北米以外の各地域(欧州/南米/アジア/アフリカ/中近東)のセールスすべてを担当する
米Connectix社のChihsan Ho氏。北米以外の各地域(欧州/南米/アジア/アフリカ/中近東)のセールスすべてを担当する



アスキーのEC分野での強みに魅力を感じた

--Connectix社について教えてください

「約10年前に設立した会社で、最初にバーチャルメモリー関係のユーティリティーソフトウェアを開発しました。'94年にハードウェア製品『QuickCam』を開発し、会社規模が倍になりましたが、'98年の時点でハードウェアビジネスを米ロジテック社に売りました。現在は設立当初のソフトウェア会社に戻っています」

「会社のフォーカスは、マルチプルプラットフォームのエミュレーションです。現在の主な製品は、ソフトウェアの『バーチャルPC』製品ファミリー。これはMacintosh上でWindows 95/98/2000やLinuxを動かせるというユーティリティーです。また、欧米など日本以外の市場では、『バーチャルゲームステーション』という製品も出しています。これはPCやMacintosh上でプレイステーションのゲームをエミュレートするというもので、残念ながら日本では出せないのですが(笑)」

--バーチャルPCのこれまでの販売実績について教えてください

「バーチャルPCの日本での売上は、世界全体の10パーセントを占めており、米国に次いで2番目の市場となっています。日本のユーザーには愛用されています。日本でセールスを始めて6~7年になり、いろいろな代理店にお世話になっていますが、今回アスキーとやり取りできるということで、日本の代理店は合計3社となります」

「Connectix社自体は現在日本でのセールスオフィス/マーケティングオフィスはないので、代理店メーカーにはいろいろな負担をかけています。私は現在北米以外のすべての地域のセールスを担当しているのですが、各国の代理店は合計40社以上になります。日本での代理店はその40社の中でも、サポートのクオリティー、セールス/マーケティングの力などいちばんいいと思います。アスキーとやり取りを始めることで、日本のユーザーのためにもっといいサービス、サポートを提供したいと思います」

--アスキーの印象はどうですか

「アスキーとやり取りを始めるにあたり、これから拡大したいマーケットが、EC分野、教育分野です。アスキーのEC事業の取り組み、教育分野に関してのマーケティング力、アスキーのチャネルでのマーケティング/セールス両方面での力、この3つのファクターが今回の提携を決定につながりました」

「特にEC分野をみると、米国では当社の商品の一部はECサイトでダウンロード販売していますし、欧米の代理店もECサイトを通じて製品を売っていて、EC分野での売上の伸び率がすごいのです。日本の市場においてもいち早くEC展開のために準備しておきたいと考えていまして、アスキーとECのファウンデーションを築きたいですね。将来的に日本でのオンライン販売を計画しているので、今後そのインフラを一歩一歩組み立てていきます。パッケージ販売では、現在の販売ルートでカバーできない分野、例えば現在教育分野にマーケットシェアがないので、アスキーにはそういう分野にもこれから積極的に動いてもらいたいです」

Windows 2000対応版の後は、Linux対応版もリリース

--バーチャルPC Windows 2000対応版の主な機能について教えてください

「まず、Mac OS 9に対応していて、Mac OS 9上でWindows 2000を動かせるということ。それから“ファイルシェアリング”というMac OSとWindows 2000の環境間でファイルをシェアできる機能があります。これはドラッグ&ドロップでファイルを動かせるという便利なものです。またUSBもサポートしています」

--今後の製品スケジュールについて教えてください

「バーチャルPCはMacintoshのOSやマイクロソフトのOSのロードマップによって動きます。例えば、Mac OS が出た時点ですぐ対応版を出します。現在アップルの開発インフォメーションを待っている状態でして、それが出た時点で、すぐにMac OS の対応を行ない、パッケージ製品をリリースします。アップグレードも行ないます」

「また、バーチャルPC Windows 2000対応版をリリースした後、バーチャルPC Linux対応版を出す予定です。MacintoshユーザーはOSに対してうるさいですよね。一方Linuxのコアは何かというとオープンソースであり、これはMacitoshユーザーの好みに合うと思うんです。3月中旬に欧米で英語版のバーチャルPC Linux版を出しました。5月始めにはフランス語版とドイツ語版のLiunx対応版を出す予定です。日本語版は現在ローカライズの最中です。2バイトコードに対応するため少々遅れているのですが、6月くらいには日本語版のLinux対応版をリリースする予定です」

「現在、Linux PPCのようなネイティブなLinuxをMacintoshにインストールをした場合、コードベースでやり取りをしていて間違うとクラッシュしてしまいますね。HDDをクリーンにして再インストールしなければならない。バーチャルPCを利用すれば、Mac OSの上で、インテル86プロセッサー用のLinuxを動かせるわけです。ユーザーがLinuxで遊んでいてだめになったら、そのLinuxのディスクイメージをごみ箱に入れて、また新しいディスクイメージを作ればいい。Linuxで遊んでみたいなというMacintoshユーザーのための唯一のアプリケーションだと思います。安全にLinuxを試せます。英語版はRed Hat 6.0対応ですが、日本語版は2バイトコードの問題もありますので、日本語環境で安定して動作するLinux OSをセレクトして対応していきます」

--日本国内での製品サポートはどうなるのでしょうか

「製品のサポートは各代理店(アスキー、メディアヴィジョン、システムソフト)が行ないます」

今後は大手企業もターゲットに

--バーチャルPCの今後のターゲットについて教えてください

「昨年末に米国でバーチャルPCのユーザーアンケートを行なって、びっくりしたのですが、47パーセントが中小企業のビジネスユーザーなのです。日本市場はちょっと違うかもしれませんが。さらに面白かったのは、その47パーセントのうち半数以上が、仕事でひとつのアプリケーションを立ち上げるためにバーチャルPCを使っているのです」

「例えば、200~300人規模の企業内で、クリエイティブ部門の人たちはMacintoshを使っています。でも会社のERPやアプリケーションスイートはWindowsマシンでしか利用できない。だからクリエイティブ部門の人たちはバーチャルPCを使ってMacintosh上でWindowsを立ち上げてアプリケーションを使うのです。また、デベロッパーの人たちも使っています。バーチャルPCを利用して開発ソフトを異なるプラットフォームでテストするのです」

「既存のバーチャルPCのLinux版(英語版)は、ウェブデザイナーのみなさんに愛用されています。HTMLを利用してウェブデザインを行なう場合、違うプラットフォームのウェブブラウザーでフォーマットの差をテストしなければならないからです。ウェブデザイナーにとっては、Windows95/98、Windows NT、Macitnosh、Linuxと4~5台のマシンを用意するより、Macintosh1台で違う環境をテストできるほうがいいということです。だから思ったより仕事とか企業向けのほうが多いんですよ」

「特に日本で5月中旬に発売する予定のバーチャルPCのWindows 2000対応版は企業向けですね。Windows 2000対応版は、Windows 2000 Professional、要するにワークステーション向けの製品ですから、特に大手企業でMacintoshを使っている部署、けれどもWindows 2000も使う必要のあるところに導入していきたいと思っています。これまでは中小企業に導入されていましたが、今後は大手企業にも入っていくと思います。代理店のみなさんにはそういったマーケットに積極的にアタックしてもらいたいと思っています」

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