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キャッシュフロー ジャパン、日本法人設立――「日本はインターネット・キャッシング・アプライアンス導入に最適」

2000年04月18日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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*インターネット・キャッシング・アプライアンス製品の専業メーカーである米キャッシュフロー社は18日、都内で報道関係者向けにプレスカンファレンスを開催し、日本法人であるキャッシュフロー ジャパン(株)設立と製品戦略について明らかにした。

*インターネット・キャッシング・アプライアンス:ウェブサイトにアクセスが集中すると、サーバーの負荷が増大してレスポンスが低下してしまう。インターネット・キャッシング製品は、ウェブサーバーとインターネットの間に設置して、繰り返しアクセスされるデータをキャッシュし、サーバーへの負荷を軽減してレスポンスの低下を防ぐというもの。ウェブサーバーの負荷軽減以外に、クライアント側に設置し、いわゆるプロキシーとして、ネットワークへの負荷を軽減する目的でも使用される。アプライアンス(サーバー)とは、特定の(単一の)用途向けに作られたサーバーを指す。

米キャッシュフローは、ネットワークストレージ製品で知られる米ネットワーク・アプライアンス社の創業者の1人であるマイク・マルコム(Mike Malcolm)氏が'96年に起こした、インターネット・キャッシング製品専門メーカー。4月3日付けで100パーセント出資の子会社であるキャッシュフロー ジャパンを設立(資本金1000万円)した。

米キャッシュフローのVice President,Marketing & Product Management担当のスチュアート・アーロン氏米キャッシュフローのVice President,Marketing & Product Management担当のスチュアート・アーロン氏



冒頭に挨拶した、米キャッシュフローのVice Presidentで、Marketing & Product Management担当のスチュアート・アーロン(Stuart Aaron)氏によると、2000年度第3四半期('99年11月~2000年1月期。同社の会計年度は5月1日から翌年4月末日まで)の総収入は、前四半期から66パーセント増の800万ドル(約8億4000万円)で、好調な成長を続けている。売り上げの内訳では、29パーセントが新規顧客で、71パーセントがリピートの顧客であるという。また、ユーザー別内訳では、74パーセントがサービスプロバイダーで、26パーセントが企業。特にサービスプロバイダーにおいては、ウェブサーバーのキャッシングだけでなく、ネットワークオペレーションセンター(NOC)ごと、さらにIPルーターごとにキャッシングを行なっているところもあり、製品に対する信頼性をアピールした。

顧客には米ゼロックス社、三菱電機(株)、(株)タイタス・コミュニケーションズ、米ヒューレット・パッカード(HP)社、米AOL社、米ボーイング社、米ルーセント・テクノロジー社など。パートナー企業としては、フランスのアルカテル社、米HP、米ルーセント・テクノロジー、米エクストリーム・ネットワークス社などを挙げた。特に米HPには、キャッシュフローの製品を米HPのシステムの1つとして販売(OEMではない)する契約を結んでいるという。

またアーロン氏は、キャッシング・アプライアンス製品市場の今後について、'99年は7500万ドル(約78億円)だが、2000年は3億7100万ドル(約388億円)、2001年に8億5400万ドル(約893億円)、2002年に17億9100万ドル(約1873億円)、2003年には33億7900万ドル(約3534億円)に達するという、データクエスト/ガートナーグループの資料を挙げ、同社としてもこの予測に従って成長すると見込んでいると述べた。

インターネット・キャッシング製品には、UNIXのような汎用のOSの上に専用キャッシングソフトウェアを搭載した製品や、ファイルサーバーのようにもともと別の目的で作られたソフトに手を入れてキャッシング用とした製品などがある。これに対して、キャッシュフローの製品に使われているソフトウェア『CacheOS』は、まったくのゼロから、キャッシングだけを目的として作られているため、小さくて効率が良く、また何らかの障害により再起動する際にも、10秒程度で復帰できるという。CacheOSの機能としては、キャッシュされていないオブジェクトを高速にキャッシュするための“オブジェクトパイプライニング”や、効率よくオリジナルのオブジェクトと同期を取るための“アクティブ・アシンクロナス・リフレッシュ”といった特許出願中の機能を備えるという。

キャッシュフロー ジャパン、代表取締役社長の太田茂氏キャッシュフロー ジャパン、代表取締役社長の太田茂氏



次に、キャッシュフロー ジャパン代表取締役社長で、米本社Vice President兼アジア・パシフィックリムセールス担当の太田茂氏が日本法人のビジネスについて説明した。売り上げ(受注)目標額は、今月で終わる2000年度が4億円、2001年度に25億円としている。設立されたばかりで売り上げがあるのは、設立以前から、米キャッシュフローが日商エレクトロニクス(株)と販売パートナー契約を結んでおり、すでに販売活動を行なっていたため。製品を直接販売することはせず、住商エレクトロニクス(株)、日本HP、日本電気(株)、日本アルカテル(株)、日本ルーセント・テクノロジー(株)などのパートナー各社を通じてセールス活動を行なっていくという。

インターネット・サービス・プロバイダー、アプリケーション・サービス・プロバイダー、データセンター、一般企業のネットワーク部門、それに教育・研究関係機関を主な市場として見ているとし、今後、日本での売り上げをアジア・パシフィックリムで50パーセント、世界で15パーセントまで伸ばしていきたいと述べた。

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