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【CA-World 2000 レポート Vol.6】サンジェイ・クマー社長兼COOによる基調講演--XML対応の『Jasmine ii』

2000年04月12日 00時00分更新

文● Tero Moda

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9日から14日までの6日間(現地時間)、米コンピュータ・アソシエイツ社(以下、CA)の主催する“CA-World 2000”が、米ルイジアナ州ニューオリンズの“Ernest N.Morial Convention Center”において開催されている。

10日午前に催された基調講演では、CAの社長兼COOを務めるサンジェイ・クマー(Sanjay Kumar)氏が登壇した。本稿では、この基調講演の模様をお伝えする。

クマー氏は、スリランカからアメリカに移民したタミール人。'83年、勤めていた米Uccel社がCAに買収された。その後、CAで戦略計画のトップとなり、'98年には社長兼COOに就任した。
クマー氏は、スリランカからアメリカに移民したタミール人。'83年、勤めていた米Uccel社がCAに買収された。その後、CAで戦略計画のトップとなり、'98年には社長兼COOに就任した。



電動キックボードからの挨拶

人気の電動キックボード『ZAPPY』で壇上に現われたクマー氏は、ZAPPYから降りる間もなく、「われわれの現在のビジネスは”eビジネス”です」と、聴衆に語りはじめた。

電動キックボード『ZAPPY』に乗って登場したサンジェイ・クマー氏
電動キックボード『ZAPPY』に乗って登場したサンジェイ・クマー氏



続けて、「今後、インターネットビジネスに携わる企業をターゲットにした『Jasmine ii』や『Neugents』といった製品を、積極的に販売してゆきたい」と、CAの考えを示した。また、「CAは、エンジニアリング企業のために働いている。製品、ライセンス、技術提供、インターネットのサポートといったあらゆる面で、支援していきたい」との方針を示した。

CAが提供するソリューションのアウトライン
CAが提供するソリューションのアウトライン



『Jasmine ii』などの新製品を紹介

ここでクマー氏は、9日の基調講演でチャールズ・B・ウォン会長兼CEOが発表した3つの新製品をあらためて紹介した。『Jasmine ii』、同製品を軸にした『eTrust』と『Neugents』だ。

「昨年からCAはウェブのインフラを整えるため、この分野で経験のあるいくつかの企業をパートナーに迎えてきた。米Sterling Software社を得たことにより、われわれの目標はほぼ達成された」とし、クロスプラットフォームを前提にしたインターネットセキュリティソリューション『eTrust』を紹介した。『eTrust』には、2月にCAが買収した米Sterling Software社の技術が用いられている。

「より速く、安全で、信頼性のあるソフトウェア製品を提供できるようになった」と、クマー氏は力強く述べた。eビジネスのシステム構造は複雑で、さまざまな注意を必要とする。複雑な組織下にあるビジネスプロセスにおける個々の過程は、オンラインで1つの流れにまとめられなければならない。また、異なるシステム、プラットフォーム、テクノロジーを統合することで、それぞれの操作を同じ流れにまとめる必要もある。その上に、高い利便性や安全性も求められる。

それを踏まえた上で、「『Jasmine ii』は、これらの要求に応える」と、クマー氏は説明。クマー氏は『Jasmine ii』のもう1つの特長に、XML(eXtensible Markup Language)への対応をあげた。クライアントは、ウェブブラウザーからXMLドキュメントを開き、『Jasmine ii』の情報にアクセスすることができる。ウェブ、データベース、アプリケーションの結合により、利便性が高められたという。

『Jasmine ii』の前身である『Jasmine』は、富士通とCAが共同開発によるもの
『Jasmine ii』の前身である『Jasmine』は、富士通とCAが共同開発によるもの



次にクマー氏は、予測管理ソフトウェア『Neugents』を紹介した。同製品は、広範囲にわたる様々な情報からパターンや関連性を分析し、変化の検知や結果の予測を行なう。

クマー氏が、「これらの製品は、複雑な機能をもちながらも、ウェブという既存のテクノロジーを使い、簡単な操作で処理をすすめてしまう」と、Neugentsの特徴を説明。「その能力は、実際に目にするまでは、おそらく信じることができないだろう」と言うと、CAのヨゲッシュ・グピタ(Yogesh Gupta)氏が登壇し、Neugentsのデモを始めた。ここでは、PC販売のウェブサイト“PCs-for-you.com”を例に、上記製品を使ったパーソナリゼーション、製造管理、環境管理などが紹介された。

CAのヨゲッシュ・グピタ氏が、Neugentsのデモを行なった
CAのヨゲッシュ・グピタ氏が、Neugentsのデモを行なった



Unicenter TNGの次期バージョンも披露

次にクマー氏は、『Unicenter TNG』の次期バージョンを紹介した。同製品は、IT管理のソリューション。多様なプラットフォーム、OS、ネットワーク、データベース、アプリケーション、ベンダーといったITリソースを、視覚的に管理するというものだ。

『Unicenter TNG』次期バージョンの操作画面
『Unicenter TNG』次期バージョンの操作画面



同製品の“Enterprise Management Portal”では、顧客の需要や関心のある情報を分析する。操作は、ウェブブラウザー上から行なう。同製品ではプラグインを利用することにより、ウィルスの検査と除去、コンテンツの検査、ファイヤーウォールなどの機能を持たせることができる。

最後に、同製品の操作を、音声で行なうデモが行われた。オペレーターの命令に端末が音声で受け答えをする様子や、操作言語を音声で英語から仏語、ドイツ語に切り替える様子などが紹介された。

音声で『Unicenter TNG』をコントロールするデモ
音声で『Unicenter TNG』をコントロールするデモ



eビジネスへの船出

クマー氏の基調講演とデモは、会場に集まった1万5000人の聴衆に十分な衝撃を与えていたようだ。eビジネスへの船出を果たしたCAにおけるここ数年の課題は、PR活動だった。'99年にはマイクロソフトや米IBMに次ぐ売上を記録しながらも、CAのビジネスや企業名を知る人は少なかった。

“CA-World 2000”はCAの大規模なコマーシャルイベントだが、新製品の宣伝に始終するのではなく、CAという企業を多くの人に知ってもらおうとする努力が伺える。あらゆる意味で走り続けて企業が、今イベントを境にさらにどのような成長を遂げていくのか、今後を期待したい。

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