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マイクロソフト、教育現場向け支援ツールキットをウェブサイトで無償配布、絵合わせパスワードでログオン可能

2000年04月11日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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マイクロソフト(株)は、教育現場向けコンピューター導入支援ツール『学校向けBackOfficeツールキット』を、4月11日に同社ウェブサイトを通じて無償提供すると発表、本日都内で記者発表会を行なった。

発表会場で挨拶を行なった同社文教営業統括部統括部長の岩田修氏発表会場で挨拶を行なった同社文教営業統括部統括部長の岩田修氏



同ツールキットは、教育現場の情報教育における4つの課題、“児童にとってログオン作業(ユーザー名やパスワード入力)が難しい”、“入学、進学、卒業による毎年のデータ更新作業が困難”、“アイコンなどデスクトップ環境の維持”、“時間割、共有リソース管理の要求”を解決し、教育現場へのコンピューター導入を支援するもの。

教育現場の生の声を反映するため、開発当初から、情報教育の専門家である慶應義塾幼稚舎教諭の鈴木二正氏と、千葉大学教育学部附属中学校講師兼千葉学芸高等学校講師の芳賀高洋氏を招き、アイデアを出し合って共同開発を進めたという。

同ツールキットは、以下の4ツールで構成されている。

ユーザ認証ツール

クライアントOSであるWindows NT 4.0 Workstationは、ログオン時にCtrl+Alt+Deleteキーを同時に押さなければならないが、小学校低学年の児童は手が小さく3つのキーを同時に押すことが困難な場合が多い。『ユーザ認証ツール』は、この作業をなくし、ユーザー名は一覧から選択、パスワードは絵合わせ形式にすることで、マウス操作のみでログオンできるツール。マシンの電源を入れると、学年選択画面、組選択画面が順に表示され、選択後、その組の生徒名簿一覧から自分の名前をクリックする。その後パスワード入力画面では、4種類のイラストから、自分用のイラストの組み合わせを選択することで、ログオンが可能となる。中高生向けは、数字によるパスワードとなっている。

ユーザアカウント管理ツール

マクロを利用したExcelシートを使って、生徒の名前や学年、組、性別を入力していくと、出席番号、ユーザー名、パスワードを自動設定する。同時に、Windows NTドメイン上に、ユーザーアカウント、学年と組のユーザーグループ、Microsoft Exchange Server 5.5上に生徒個人のメールボックスとユーザーグループ用配布リストをそれぞれ自動作成する。生徒が進級する場合は、“進級ボタン”を押すだけで、1年生のデータは2年生の学年グループに自動的に移動し、6年生のデータは削除される仕組みとなっている。また、生徒用のパスワード(先述の絵合わせパスワードや数字のパスワード等)を、クレジットカードサイズにプリントアウトし、生徒に配布できるパスワードカード作成機能を搭載する。

簡易版ポリシーツール

Windows NTの機能であるデスクトップ環境に制限を加える“ポリシーエディター”を、初心者でも容易に利用できるわかりやすいユーザーインターフェースにしたポリシーテンプレート作成ツール。5段階のポリシーレベルが用意されており、ポリシーレベルの内容のカスタマイズも可能。これにより、生徒がデスクトップ上のアイコンを削除する、ショートカットを勝手に作成するといったことを防ぐことが可能。

スケジュール管理ツール

組別/学年別の時間割を作成できるツール。授業時間を設定できるほか、体育祭/文化祭などの年中行事、臨時朝礼などの予定を反映できる。また、体育館や特別教室など校内の共有施設の予約管理も行なえる。

上記4ツールを利用するには、サーバー用にWindows NT Server 4.0とExchange Server 5.5が必要となる。クライアントPCは、Windows NT Workstation 4.0が必要。同社は、これらすべてを搭載した統合ビジネスサーバーパッケージ『Microsoft BackOffice Server 4.5』を推奨している。同社は今後、同ツールキットをWindows2000へも対応させるという。

同ツールキットは、サンプルアプリケーションとして、4月11日より同社ウェブサイトで無償ダウンロードが可能となっている。また、各地で行なわれる教育系フォーラムで、CD-ROMを配布するという。なお、サンプルアプリケーションのため、同社側で同ツールキットのサポートは行なわない。なお、(株)大塚商会と東芝情報機器(株)が、同ツールキットを利用した学校向け総合システム製品をサポート付きで今後提供するという。

発表会場で、同社文教営業統括部統括部長の岩田修氏は、「文部省により今年度から国内の公立学校で約84台のコンピューターを設置する計画が発表され、PCの導入、LAN環境の整備、インターネット接続という3つの波が教育現場に押し寄せてきている」

「しかし、インフラが整備されるだけではうまく使えない。まず先生が使いやすい環境を提供しなければ、教育現場への真のコンピューターの普及はない。今回、現場の先生と協力してツールを開発した。このツールキットに関しては、21項目の特許申請を行なっている最中だ。大塚商会や東芝情報機器ともタイアップし、市場開拓を行なっていく」と語った。

慶応義塾幼稚舎教諭の鈴木二正氏。「以前から絵合わせのユーザー認証ツールがほしいと持っていた。ログオン作業が容易になるだけではなく、自分専用のパスワードカードを持つことで、パスワードの大切さを感覚的に理解できるだろう」慶応義塾幼稚舎教諭の鈴木二正氏。「以前から絵合わせのユーザー認証ツールがほしいと持っていた。ログオン作業が容易になるだけではなく、自分専用のパスワードカードを持つことで、パスワードの大切さを感覚的に理解できるだろう」



千葉大学教育学部附属中学校講師兼千葉学芸高等学校講師の芳賀高洋氏。「私自身、生徒や教員など合計875名分のユーザーデータを毎年更新しなければならない状況にいる。これらの問題をいっしょになって解決してくれるというので、今回開発協力を引き受けた。今回のツールによって、ユーザー登録や管理が楽になると思う」千葉大学教育学部附属中学校講師兼千葉学芸高等学校講師の芳賀高洋氏。「私自身、生徒や教員など合計875名分のユーザーデータを毎年更新しなければならない状況にいる。これらの問題をいっしょになって解決してくれるというので、今回開発協力を引き受けた。今回のツールによって、ユーザー登録や管理が楽になると思う」

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