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JTBとヤフー!、旅行商品販売サイト“たびゲーター”を合弁で設立

2000年04月11日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

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(株)日本交通公社(JTB)とヤフー(株)、およびソフトバンク・イーコマース(株)の3社は、旅行商品の販売サイト構築を目的に、合弁会社を設立すると発表した。

今回の合弁で設立される(株)たびゲーターは、ヤフー傘下の事業会社を母体に、3社らが出資を行ない設立する。来週にも旅行業第3種の登録を取得し、5月には国内旅行商品を、7月には海外旅行商品の販売を開始する予定だ。ウェブサイトのURLは、現在はまだ未定となっている。

新会社の代表取締役には、現在JTBで経営改革部のマネージャーを務める金子和彦氏が就任。その他の取締役はすべて非常勤で、JTBの安田彰氏、ヤフー代表取締役の井上雅博氏と経営企画室長の喜多埜裕明氏、ソフトバンク・イーコマース代表取締役の宮内謙氏が就任する。当初は4~5人の社員で営業を開始する。

都内ホテルで開催された記者会見に出席した各社トップ。左からソフトバンク・イーコマース宮内社長、ヤフー孫会長、たびゲーター金子代表、JTB舩山社長、ヤフー井上社長
都内ホテルで開催された記者会見に出席した各社トップ。左からソフトバンク・イーコマース宮内社長、ヤフー孫会長、たびゲーター金子代表、JTB舩山社長、ヤフー井上社長



たびゲーターの資本金は1億円。出資比率は、JTBが42パーセント、ヤフーが30パーセント、ソフトバンク・イーコマースが10パーセント、ソフトバンクグループが18パーセント。ソフトバンクグループの出資分については、同グループが近日中に設立する中間持ち株会社が引き受ける。この持ち株会社では、ヤフーなど同グループにおける主要企業の株式を保有するという。

たびゲーターで販売するのは、JTB商品を始めとするパッケージツアー、ホテル、航空券、レンタカーなどの旅行商品に加え、旅行傷害保険やおみやげといった旅行関連商品も扱う。また仕入先はJTBに限定せず、他の旅行代理店が企画する商品も販売するとしている。

決済についてはクレジットカードを利用したオンライン決済を用意。JTBが運営する旅行商品サイト“INFO CLUE”のシステムをベースに、JTBカード以外のクレジットカードも利用できるようにする予定だ。

初年度の売上目標は未定。同社では、ウェブビジネスの先行きが不透明なことから、旅行商品のウェブ販売において一定のシェアを占めることを第一の目標においており、具体的な金額目標は立てていないとしている。パッケージ商品などの価格設定については、当面は各代理店の販売価格と同一にする。その後、中間コストを抑えることができるECサイトの特性を活かし、将来的には価格面での差別化を図っていくとしている。

都内のホテルで開催された記者会見には、JTB社長の舩山龍二氏、ヤフー会長の孫正義氏、同社長の井上雅博氏、ソフトバンク・イーコマース社長の宮内謙氏、たびゲーター代表に就任予定の金子和彦氏がそろって出席した。

ヤフー会長という肩書きで出席した孫氏は、「モノを出荷する必要のない旅行関連商品は、インターネットに向いている」と指摘。「映像もビデオストリームまで付いた形で、旅行先の特徴を見ることができる」と語り、ストリーミング配信による商品紹介の可能性を示唆した。

「(旅行商品の)在庫管理にはインターネットパワーが生きる」と孫氏。ある記者がソフトバンクのことを“孫グループ”と呼ぶのを聞いて苦笑いしていた
「(旅行商品の)在庫管理にはインターネットパワーが生きる」と孫氏。ある記者がソフトバンクのことを“孫グループ”と呼ぶのを聞いて苦笑いしていた



ヤフーでは、旅行チャンネルのYahoo! Travelをたびゲーターと提携させることで、旅行情報の提供を行なっていく。また、Yahoo! Travel上でたびゲーターの商品を購入できるようにもする予定だ。

JTBの舩山社長は、旅行商品の非対面販売について、「ここ1年、第三の動きとしてEコマースが非常に増えてきたと体験している」と語り、ネット販売の重要性が高まっている現状を指摘した。また、2001年にはEC市場が1780億円に広がるとの予測を挙げ、その中で旅行関連は10パーセントを占めると指摘。このEC市場に参入するため、ソフトバンクの協力が必要だったと語った。

JTBの舩山社長、「JTBは世界中に2万5000社の契約企業を持ち、他に負けない品揃えを持つ」JTBの舩山社長、「JTBは世界中に2万5000社の契約企業を持ち、他に負けない品揃えを持つ」



JTBは2月、(株)セブン-イレブン・ジャパンなど7社と合弁で、電子商取引を主な業務とする(株)セブンドリーム・ドットコムを設立している。この点について舩山氏は、セブンドリームについてはマルチメディアキヨスクでの販売がメインとしながらも、2社の棲み分けはこれからの検討課題であると述べた。

また、自社内に抱えるオンライン販売サイト“INFO CLUE”との関係については、たびゲーターが「なるべく広く、排他的にならないように、他のブランドも扱う」方針であると明言し、JTBとは一線を画した存在であることを強調した。

旅行代理店のオンライン販売では、国内線の航空券を扱えないという現状が問題点の一つとして指摘されている。その点について舩山氏は、「各航空会社と親しく話をしている」としながらも、具体的な動きについては明言を避けた。

たびゲーターの社長に就任する金子和彦氏、「(たびゲーターは)旅行業の一部であるコンサルティングが必要ないので、そのぶん安くできる」たびゲーターの社長に就任する金子和彦氏、「(たびゲーターは)旅行業の一部であるコンサルティングが必要ないので、そのぶん安くできる」



たびゲーターはJTBをあくまで仕入先のひとつとするオープンな姿勢をとる予定だが、各航空会社は自社サイトにおけるオンライン販売に積極的で、すでにクレジットカード決済も導入している。そのため、旅行代理店であるたびゲーターが、国内線の取り扱いを開始できる可能性は難しいところだ。

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